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  • 公開日:2025.04.08
  • 最終更新日: 2025.04.08
ソニーが「世界を感動で満たし続ける」ための環境とアクセシビリティ配慮

横田 伸治(よこた・しんじ)

Day1 プレナリー
木井一生・ソニー 執行役員 副社長


企業活動におけるサステナビリティは、いかに本業と直結させ、パーパス実現のために不可欠な取り組みとして位置づけるかが重要となる。「サステナブル・ブランド国際会議2025東京・丸の内」のプレナリーで、ソニーの木井一生・執行役員副社長は「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」という同社パーパスに触れ、「いつまでも世界中に感動を届け続けるために、誰もが感動を分かち合える未来のために」推進している取り組みの事例を紹介した。

講演冒頭では短い動画が投影され、プラスチック使用量低減やインクルーシブデザインの導入、社内におけるジェンダーギャップの解消など、同社のサステナビリティに関する取組みの概要がまとめられた。特にアクセシビリティ向上を図っている同社らしく、動画の全体を通して、視覚障がい者向けに場面の様子を音声でナレーションし、映像情報を補足する「音声ガイド」が挿入されていたのが特徴的だ。

ソニーのパーパスは、クリエイティビティやテクノロジーの力で、「世界を感動で満たす」ことであり、持続可能な社会こそが同社の企業活動の土台となる。木井氏は改めて、パーパス達成のために「環境・アクセシビリティ・ダイバーシティを軸とするサステナビリティが、重要な経営基盤になっていく」と強調した。特に環境分野について、同社は1970年代から社長を議長とする全社的な環境会議を設置し、1990年代には環境行動計画を策定するなど、早期から取り組みを加速させてきた。2010年に定めた環境計画「Road to Zero」では2050年の環境負荷ゼロを宣言し、バックキャストする形で5年ごとの環境中期目標を設定しながら歩みを進めている。

具体的には、テレビやカメラ、スマートフォンなどの製品本体に、ペットボトルや廃ディスクなどの廃材を再生したプラスチックを使用する技術「SORPLAS」を展開。またパッケージにもプラスチック使用を控え、成長が早い竹や、砂糖を抽出した後のサトウキビなどから再生した紙素材を独自開発し、化石燃料から作られる「バージンプラスチック」の使用低減を進めているという。

また製品のアクセシビリティについて、木井氏は「健常者と呼ばれる人でも、けがや老化などで誰しもバリアを抱える。誰でも安心して使っていただくことが目的」と理念を説明。テレビ「BRAVIA」を例に、音声読み上げや色反転、さらに人間の声だけをAI抽出して音量を調整するボイスズームなどの機能を紹介した。インクルーシブデザイン導入に向けては、社内のエンジニアが障がい者がデバイスを活用する場面に立ち会い、ヒアリングを重ねながら当事者のニーズを把握し、改良を続けているという。

木井氏は「ソニーだけで実現できることは非常に限られている。ぜひ、この場にいらっしゃる皆さまと協力して、われわれや皆さまの活動をスケールアップしていきたい」と締めくくり、サステナブル・ブランド国際会議を通した新たな共創に期待を込めた。

written by

横田 伸治(よこた・しんじ)

サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者

東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、現職。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。

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