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  • 公開日:2024.11.14
  • 最終更新日: 2025.03.29
COP29でさいたま市が表明――ゼロエミッション車促進する国際宣言に日本から初加盟へ

廣末 智子(ひろすえ ともこ)

COP29は、11月11日から22日までの日程で、アゼルバイジャン共和国の首都バクーで開かれている(Image credit: shutterstock)

アゼルバイジャンのバクーで開かれているCOP29(国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議)で12日、さいたま市の清水勇人市長がゼロエミッション車を促進する国際宣言にさいたま市が加盟すると表明した。宣言の内容は、2030年に世界の乗用車新車販売の60%以上をゼロエミッション車に、2035年には100%にすることを目指すもので、2021年のCOP26で発足した枠組み。これまでに43の国と地域の政府、79の自治体、14の自動車会社が加盟しているが、日本からの参加は初めて。(廣末智子)

さいたま市が加盟を表明したのは、「ゼロエミッションの乗用車およびバンへの全面的な移行の加速に関するCOP26宣言(A2Z宣言)」。COP26で、議長国の英国が、ガソリンを使う自動車の新車販売を主要市場で2035年、世界で2040年までに終えるとした宣言がもとになっている。

さいたま市は2010年に「EV(電気自動車)がもたらす低炭素社会の実現に向け、産業界と自治体の絆を強化し、EVの普及に連携協力して取り組んでいく」として、日産自動車や三菱自動車工業などの民間企業や、当時の埼玉県知事や神奈川県知事、横浜市長や川崎市長ら全国の自治体のトップとの間で「E-KIZUNAフォーラム宣言」を行うなど、日本において早い段階からこの分野におけるリーダーシップを発揮してきた経緯がある。

今回のCOP29には、G7各国の都市連合で構成する「Urban7」の一員として参加。12日にはUrban7の市長をはじめ各国の自治体の首長らが出席する「E-KIZUNA high-level talks(ハイレベル会議)」をさいたま市の主催で行い、気候変動における自治体の役割や、マルチレベルの連携の重要性などを共有する中で、A2Z宣言に日本から初めて参加することを清水市長自らが明らかにした。

さいたま市の主催で開かれた「E-KIZUNA high-level talks」で発言するさいたま市の清水勇人市長(右から2人目、グリーンピース・ジャパンのプレスリリースより)

EVの普及について、日本政府は「乗用車は2035年までに、新車販売で電動車100%を実現」「商用車は、小型車が新車販売で、2030年までに電動車20〜30%、2040年までに電動車・脱炭素燃料車100%を、大型車は2020年代に5000台の先行導入を目指す」とする目標を定めているが、A2Z宣言には加盟していない。自動車メーカーも世界ではメルセデス・ベンツやボルボ・カーなど14社が加盟しているが、日本では現時点でトヨタをはじめ1社も加盟していない。

経済産業省のサイトより。「電動車」は、バッテリーの電気を動力の全て、または一部として走行する自動車の総称を指す。EVはその一部で電気のみで走行する

今回、さいたま市がA2Z宣言への加盟を表明したことについて、国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンで、 気候変動・エネルギー問題を担当する、塩畑真里子氏は、「さいたま市が日本初のリーダーシップを示したことは、他の自治体にとっても良いシグナルとななる。アジアからはソウル市など複数の地方自治体と企業が加盟しているが、自動車産業が経済の基幹である日本の自治体が自動車の脱炭素化に注力する姿勢を国際的に明確化したことの意義は大きい」と評価。その上で、「自治体だけでの取り組みには限界があり、カーボンニュートラルの目標達成には、政府と自動車メーカーによるさらなるゼロエミッション車、特にEV普及の取り組みが必要不可欠だ。今後、日本の自動車メーカーがA2Zへの加盟を検討し、より野心的な炭素排出削減の目標設定などを進めていくことに期待する」とコメントしている。

2035年までに1990年比で81%削減――英国が高い目標も

COP29は、「気候資金」の新たな数値目標や、来年2月に提出期限が迫った「NDC(Nationally Determined Contributions、国が決定する貢献)」で、各国が2035年に向けた温室効果ガスの排出量削減目標をより野心的なものとするための機運醸成などが主要テーマに。13日には、100カ国の首脳が参加する「世界リーダーズ気候行動サミット」の中で、英国のスターマー首相が、温室効果ガスを2035年までに1990年比で81%削減するという1.5度目標に整合した高い目標を発表した。閉幕予定の22日までに、他の国がそれに続くかどうかが注目される。

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廣末 智子(ひろすえ ともこ)

サステナブル・ブランド ジャパン編集局  デスク・記者

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーを経て、2022年より現職。サステナビリティを通して、さまざまな現場の思いを発信中。

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