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  • 公開日:2023.05.11
  • 最終更新日: 2025.03.28
ウェルビーイングが欠かせないDEI&「Belonging(帰属意識)」

岩﨑 唱(いわさき となお)

SB国際会議2023東京・丸の内

(左から)山岡氏、秋山氏、木村氏、田中氏

Day2 ブレイクアウト

持続可能な社会にとっての重要な礎であるDE&I (ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン:多様性、公平性、包摂性)は、さらにB(ビロンギング:帰属意識)が加わり、「DEI&B」という新たなフェーズに入っている。従業員の一人ひとりが充実感を持って組織に属し、さらなる成長や価値創造を期待するには、ウェルビーイングの土壌が欠かせない。登壇者の先駆的な取り組みを紹介しながら、今求められるDEI&Bについて話し合った。(岩﨑 唱)

ファシリテーター
山岡仁美・サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー
パネリスト
秋山典子・QVCジャパン カスタマーサービス&エクスピリエンス ディレクター
木村博美・富士通 DE&I推進室 室長
田中宏昌・インテージ 生活者研究センター センター長

海外が注目する「Belonging」とは

冒頭、ファシリテーターの山岡仁美氏は「このセッションはDE&Iがテーマだが、ウェルビーイングに注視する必要性を話し合いたい」と述べ、海外ではDE&Iに「B」が付いた「DEI&B」と呼ばれていることを紹介した。「B」はBelongingの頭文字で帰属意識という意味を持つ。山岡氏は「帰属すると言うと、会社のルールに従うというイメージかもしれないが、自分が組織や社会の一員として受け入れられているという実感のようなもの。それを実現するには、心理的安全性やウェルビーイングが大きく関連してくる」と説明した。

田中氏
秋山氏
木村氏

存在の肯定、精神的な安寧は幸福感の大切な要素

マーケティングリサーチを手掛けるインテージの田中宏昌氏は、2023年1月の調査データからSDGsとウェルビーイングの現状について「SDGsの理解浸透状況は2022年で8割近くまで延び、現在は84%になった。17の目標の中で優先的に取り組むべきものに関する調査では 『すべての人に福祉と健康を』『働きがいも経済成長も』が上位にきている」と報告した。

また、関心のある社会課題・テーマでは、物価上昇、働き方、子育て、介護など暮らしに関わる課題への関心が高くなっているという。「調査項目の『存在の肯定』や『精神的な安寧』は、幸福感の重要な要素。ありのままの自分が受け入れられ、毎日、心地よく過ごせる居心地のいい場所があることがウェルビーイングにつながっている。一日の生活で多くの時間を占める会社・職場で、できることはとても多い」と述べた。

有志グループがDEI&Bを促進——QVCジャパン

続いて、QVCジャパンの秋山典子氏はBelongingについて、「当社ではBelongingとは、誰もが自分の本当の姿で、自分の居場所があると感じられることと考えている。会社の中で『人と違うこと』が劣等感や人間関係で衝突する要因にならないことが、安全な居場所をつくることになる」と話した。

また、2021年にDEI&Bを促進する有志の従業員から、「メンタルヘルス」「障がい+年齢」「民族・人種」「LGBTQ+」「ジェンダー」の5つグループが誕生し、誰にとっても居心地がよく、公正でお互いを認め合うコミュニティーを築くことをミッションとして活動しているという。秋山氏は「変化は待つのではなく、自分たちで起こすというのが当社の社風。DEI&Bの実現には、私たち一人ひとりが何かを始めることが重要」と述べた。

企業文化の変革がDE&I実現に必要——富士通

富士通では「パーパス」「大切にする価値観」「行動規範」から成り立つ『Fujitsu Way』が富士通グループ社員の拠り所になっている。同社の木村博美氏は「ダイバーシティは『Fujitsu Way』の中の大切な要素になっている」と話す。また、2022年4月に『Global DE&I Vision & Inclusion Wheel』を見直し、ジェンダー、健康・障がい・アクセシビリティ、文化・民族、LGBTI+、世代間の5つを重点領域とした。

木村氏は、「DE&Iの実現に向けて大切なのは企業文化の変革。培ってきた文化やマインドをどう変えていくか、一人ひとりが自分事として考える機会を提供している。また、心理的安全性の確保やアンコンシャスバイアスへの気づきも、DE&Iを推進する上で大切なテーマとなっている」と話した。さらに「DE&Iの日々の取り組みがウェルビーイングの実現を叶える。私たちが描くウェルビーイングとは、仕事もプライベートも自分自身が大切にしている価値観に向き合い、自分の未来の幸せに向かっている状況だ」と続けた。

違いを認めお互いをリスペクトすることが重要

山岡氏は登壇者に、「ウェルビーイングの実現に欠かせないポイント」について質問。秋山氏は、「当事者と局外者がインクルーシブに同じ理解をすることがスタート地点だと思っている」と述べた。木村氏は、「Belongingの意識により将来に対して安心感が生まれ、それがウェルビーイングの実現のキーになると考えている」と主張した。

山岡氏は「パーソナリティーがみな違うことをしっかり認識することが重要になってくる。誰に対してもリスペクトすることが重要。日常的に自分の周囲の人がどうあることがウェルビーイングなのかを考え、その積み重ねが本物のDEI&Bになっていくのではないか」とセッションを締めくくった。

written by

岩﨑 唱(いわさき となお)

コピーライター、准木材コーディネーター

東京都豊島区生まれ、日本大学理工学部電気工学科卒。いくつかの広告代理店、広告制作会社で自動車、IT関連機器、通信事業者などの広告企画制作に携わり、1995年に独立しフリーランスに。「緑の雇用」事業の広告PRに携わったことを契機に森林、林業に関心を抱き、2011年から21018年まで森林整備のNPO活動にも参画。森林を健全にし、林業・木材業を持続産業化するには、木材のサプライチェーン(川上から川下まで)のコーディネイトが重要と考えている。

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