• ニュース
  • 公開日:2021.05.22
  • 最終更新日: 2025.03.02
中小企業や地域企業がサステナビリティの取り組みを進めるにはーーゼロ・ウェイスト・ジャパンなど5月25日からイベント開催

小松 遥香(こまつ はるか)

サステナビリティやSDGsの取り組みというと大企業が注目されがちだが、日本の社会経済を根底で支えるのは企業数の99%を占める全国の中小企業だ。そんな中小企業、地域密着型企業のサステナビリティの取り組みを後押ししようと、5月25―27日にオンラインイベント「サステナ茶会 お店や事業所ですすめるサステイナビリティ」が開催される。主催するのは、自治体や企業の循環型経済への取り組みを支援する一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンと、持続可能な商品を販売する店を検索できる地図アプリ「mamoru」を展開するスタートアップ企業Gochiso(大阪市)だ。それぞれの代表にイベント開催の意義を聞いた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

「コロナ禍で経済的に厳しい事業者も多いなか、今回のイベントがこれからの事業展開の可能性を広げるきっかけになってほしい」――。そう話すのは坂野晶・ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表だ。坂野氏は、日本で初めて廃棄物をゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町のNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーで理事長を務め、2019年のダボス会議では世界の若手リーダー6人のうちの一人として共同議長に選ばれた経験を持つ。イベントを共同開催するのは、ベトナム系米国人で京都大学への留学をきっかけに社会起業家としてGochisoを立ち上げたニュエン・フィリップ社長。共に30歳代で、グローバルな視点を持ちながら、地域に根ざした形でビジネスを通して社会的課題を解決することを信念にしている。

イベント「サステナ茶会」は、さまざまな分野の中小規模事業者が集まり、環境・社会・経済・ウェルビーイングという視点から、事業における持続可能性を模索し、地域で実践できる世界の最新トレンドを学ぶ場だ。

坂野氏は、日本のサステナビリティの推進を底上げするためにも、中小企業や地域企業の取り組みは欠かせないと強調する。

「持続可能な社会・経済システムへの転換は急務。大規模な投資を行い、社会を転換していく大企業の取り組みはもちろん重要だが、日本のマジョリティを占めるのは中小企業や地域企業。人材や財政面でリソースが限られているそうした企業にとって、自分たちの足下から着実に取り組めることが何かを知ることは今後の展開の大きなカギになる」

3日間で6つのセッションが行われる。テーマは「飲食店で取り組むゼロ・ウェイストと無理のないエコ」「ビジネスを持続可能にシフトするためのパートナーシップ」「スタッフや顧客の協力を得て取組をすすめる秘訣」「コワーキングスペースで環境配慮のエコシステムをつくる」「地域事業開発に活かすサステナブル・ツーリズム」「コミュニティからはじめるシステムチェンジ」。

「飲食店やコワーキングスペースは、事業者は多いもののまだサステナビリティが進んでいない業態。そうした業態に携わる方たちに参加してもらいたい。当日は『コワーキングスペース向けゼロ・ウェイスト認証』も初めて公開する」(坂野氏)

パネリストとして登壇するのは、全国各地で「土着型」の取り組みを行う人たちだ。フィリップ氏以外にも、サステナビリティの先進国として知られる英国やカナダで生まれ育った登壇者もいる。日本語話者でない人たちも参加できるようにと、4つのセッションは日英同時通訳で行う。さらに、各セッションの最後には「スピードネットワーキング」というランダムに参加者や登壇者を2人組に振り分け、5分ごとにペアが入れ替わるネットワーキングを行う。

フィリップ氏は「参加者同士がつながることで、このコミュニティの連携が深まり、イベントで得た知識や人脈をもとに新たなビジネスチャンスや取り組みが生まれれば」と期待を込める。坂野氏は「こういう視点もあったのか、こんな工夫もあるのかという気づきや、逆に疑問もたくさん持ってもらいたい。そして、自分の会社だったらどうだろうか、何ができるだろうか、と考えるきっかけになってほしい。私たちもフィードバックを生かしていきたい」という。

チケットは1セッション1000―1500円で、6セッションすべてに参加する場合は4000円(申し込みはhttps://www.mamoru.earth/sustainabili-tea-talks?lang=jaから)。いまだコロナ禍が続き、都道府県の境をまたぐ移動がしづらいなかで、全国のさまざまな地域密着型サステナビリティを学ぶ貴重な機会になりそうだ。

written by

小松 遥香(こまつ はるか)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。

Related
この記事に関連するニュース

LIXIL、ユニセフとの協働でアフリカでのトイレ普及に成果――インド、インドネシアへも活動拡大
2021.11.19
  • ニュース
  • #エシカル
  • #パートナーシップ
「共感資本社会」で新しい経済圏をつくる――新井和宏・eumo社長
2019.10.07
  • インタビュー
  • #エシカル
  • #パートナーシップ

News
SB JAPAN 新着記事

米国の現状から何を学ぶべきか、「リジェネレーション」の可能性とは――米SBの創設者とCEOが語る
2025.04.01
  • ニュース
  • #リジェネレーション
SB-Jの発行元がSincに移行――サイトリニューアルでコンテンツを一層充実へ
2025.04.01
  • ニュース
    本格的に動き始めたエネルギーの「アグリゲーションビジネス」とは何か
    2025.03.31
    • ニュース
    • #再生可能エネルギー
    新たな局面を迎えたESG 投資家がいま求めているものとは
    2025.03.27
    • ワールドニュース
    • #情報開示
    • #ESG投資

    Ranking
    アクセスランキング

    • TOP
    • ニュース
    • 中小企業や地域企業がサステナビリティの取り組みを進めるにはーーゼロ・ウェイスト・ジャパンなど5月25日からイベント開催