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  • 公開日:2024.05.23
  • 最終更新日: 2025.03.28
サントリーと電通の事例から探る、ネットゼロ社会の構築

SB国際会議2024東京・丸の内

Day2 ブレイクアウト

ネットゼロ社会の構築のために、自社だけでできることは限られている。サプライヤーや顧客、時には同業他社など、さまざまなステークホルダーと国内外で協働することが不可欠だ。多様なステークホルダーと協働するための鍵は何なのか。サントリーホールディングスと電通の取り組みを通じて、ネットゼロ社会への道を探った。(清家直子)

ファシリテーター
榎堀 都・一般社団法人CDP Worldwide-Japan アソシエイト・ディレクター
パネリスト
辻 敦浩・サントリーホールディングス サステナビリティ経営推進本部 課長
古田豪見・電通グループ グループ・サステナビリティ・オフィス シニア・ディレクター

榎堀氏

ロンドンに本部があるCDPは、世界の大手企業を対象に環境対策に関する情報を集め評価・分析している。全世界2万3000社の情報開示に貢献し、金融機関や投資家などがその情報を活用している。

CDP Worldwide-Japanの榎堀 都氏は、「情報開示は基本であり、ファーストステップ。情報をもとに、その先のGHG(温室効果ガス)削減やステークホルダーとの協働につなげなければならない」と主張。サステナビリティへの取り組みを、資金の調達などと連動させる新しい協働の形「サステナブルサプライチェーン・ファイナンス」がグローバルに構築されつつあるとした上で、今後もCDPが情報開示の中心となり、企業や金融機関、自治体や政府をつなぎ、ネットゼロにまい進していくと決意を表明した。

辻氏
  • GHG削減を目指し、競争から「共創」へ――サントリー

サントリーホールディングスの辻 敦浩氏は、サステナビリティに関する同社の多岐にわたる取り組みを報告した。水平リサイクル「ボトルtoボトル」では、新たな石油由来原料を使わずにペットボトルを再生。この活動は「清涼飲料水業界が連携した活動」だと説明し、「商売敵ではあるが、手を結べるところは結ぶ。このような取り組みが今後は発展していくだろう」と語った。

さらに同社は、外食産業の使用済み食用油から航空燃料SAFを作るアライアンスに協力するほか、同時に排出されるバイオナフサからバイオペットボトルを再生。環境負荷の小さい包装容器の開発や農業イニシアチブへの加盟、プラスチック再生研究、持続可能な原料調達など多種多様な取り組みを紹介した。辻氏は、「我々だけでGHGの削減は実現できない。取引先、ときには会社をまたがって取り組むべき問題で、競争から共創を目指したい」という。

その後、会場からはグループ企業に対する啓発や競合他社との共創のヒントなどについて質問が上がった。辻氏は「まずは数値化や可視化が不可欠。関係企業の中でも削減すべきだという認識は共有できており、数値化された目標を目指して切磋琢磨する雰囲気がある。他社との共創は先輩方からの恩恵もあった。一歩目は難しいかもしれないが、経済的な合理化を軸に検討してみてほしい」と話した。

古田氏
  • 先進事例を各地域に合わせて賛同を得て進める――電通

マーケティング領域のGHG削減について、電通グループの古田豪見氏は、まず、広告主から生活者にメッセージが届くまでには、複数の企業が介在したサプライチェーンが存在していると説明した。そして「スコープ3を含めたサプライチェーン全体でGHG削減努力が必要で、そのためには粒度の高いカーボンフットプリントの算定データが欠かせない」と述べた。

同社は、グループ会社や東北新社など5社による共同プロジェクト「メタバースプロダクション」と、テレビのCMや番組などの映像制作で排出されるCO2を算定する「Carbon Calculator for Movie Production」(カリキュレーター)を開発。このカリキュレーターは従来の手法の場合と、環境負荷対策を講じて撮影した場合のCO2排出量を比較・検証することが可能だという。算定と同時に、バーチャルスタジオやインカメラVFX撮影などの提供もしており、「飛行機移動や宿泊施設の利用、資材制作などの削減につながるデジタルを駆使したソリューションと掛け合わせることで、カーボンニュートラルに貢献したい」と古田氏は話した。

また昨年10月には、マーケティング領域の脱炭素化イニシアチブ「Decarbonization Initiative for Marketing」を立ち上げたことを併せて説明し、「海外と互換性のある可視化ツールの開発や、業界間の連携をより一層図ることで、生活者と社会をつなぐマーケティング・コミュニケーションのサステナブルな発展に貢献したい」と重ねて強調。さらに「マーケティング領域は土着ビジネスであるため、先進事例や取り組みをそれぞれの国や文化に適合させ、賛同を得ながら進めていくことが鍵になるだろう」と話した。

パネリスト2人の取り組みを聞いた榎堀氏は、「サステナビリティへの取り組みは、既に本業と深く関わっており、ビジネスに直結していると感じた。これからますます、自社ビジネスの中に環境や社会的な課題への取り組みをいかに落とし込んでいくか、またいかに協働していくかが問われるだろう」と締めくくった。

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