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  • 公開日:2021.10.26
  • 最終更新日: 2025.03.02
あなたの企業や商品はどれくらいエシカル? 協議会が日本初の「エシカル基準」公表、あいまいな定義を明確化

小松 遥香(こまつ はるか)

日本エシカル推進協議会(JEI)は、企業や商品・サービスなどがエシカルであるかどうかを総合的に自己診断できるツール「JEIエシカル基準」を公表した。あいまいな「エシカル(倫理的)」の定義を明確にすることで、企業の取り組みを促進し、さらにエシカル・ウォッシュを防ぐことで、消費者が商品・サービスを適切に選択できるよう目指す。基準は、環境、人権、動物福祉など8分野43項目に照らし合わせ、どの程度エシカルなのかを6段階評価で判定する。JEIは、エシカルであることを示す認証ラベルの取得には費用がかかることから、特に中小企業や地域企業、小規模な組織、自治体に今回定めた基準を活用してもらい、ブランド価値の向上につなげてもらいたいとしている。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)

エシカル基準を策定したJEIは、消費者庁が2015年に開催した「倫理的消費」調査研究会の委員らが2017年に設立した団体だ。環境や人権、動物福祉、ファッションなど各分野の専門家が集まり、企業・団体会員には大手消費財メーカーや小売を含む50以上の組織が名を連ねる。

エシカル基準の必要性については設立当初から話し合われてきた。コロナ禍で議論が活発化し、10月13日に公表された。

JEIのエシカル基準策定担当理事でサステナブル・ブランド ジャパンのサステナビリティ・プロデューサーでもある⾜⽴直樹氏は、「エシカルはこれから重要な着眼点になる。コロナ禍でも、エシカルを追求することが地域や人々のレジリエンスを高めることが明らかになった。エシカルが基準になることで、お金の流れも変わっていく。しかし、企業と投資家の間でのお金の流れ『ESG投資』は主流化してきたものの、企業と消費者の間でのお金の流れ『エシカル消費』はまだ活発ではなく、仕組みも十分ではない。エシカル消費を推進するにはまず正確な定義が必要になる」と語った。

エシカルとサステナブルはどう違う?

一方で、SDGs(持続可能な開発目標)の認知度が高まるにつれ、「サステナブル(持続可能な)」という言葉が「エシカル」よりも企業や商品、サービスの広報・広告などで使われることが増えている。これについて、JEIは、「エシカル」に込められた意味はSDGsやサステナブルという言葉が示すよりも幅広く、人や生き物の命と権利を大切に扱うという点にも重きが置かれていることが特徴だと説明する。また、エシカルは「物質的な持続可能性の条件にとどまらず、より個々の人の気持ちに寄り添ったもの」としている。

これは一見、あいまいで抽象的にも思える。しかし人間はより精神的な豊かさを求めるようになり、その度合いは時代の流れと共に高まっている。さらに、気候変動などの地球規模の課題が、国民や消費者など個人の考えや行動が変わり、立場の異なる人々が互いに尊重して理解し合い、協力し合わなければ解決に向かって適切なスピードで進んでいかない現状をみても、単にサステナブルであることよりもエシカルであることは将来的にますます重要になってくる。

すべての組織に対応する包括的な基準

記者発表の様子。エシカルファッションの専門家の生駒氏、動物福祉の専門家の岡田氏

「JEIエシカル基準」は以下の8分野43項目から構成され、各項目をS(100点)、A+(80点)、A(60点)、B(40点)、C(20点)、D(0点)の6段階で評価する。分野ごとの項目の平均点数が60点以上であれば、おおむね「エシカル」と言えるレベルだという。基準はあくまで自己評価制だが、対外的に評価を公表する場合には、その段階に達していることを示す客観的なエビデンスが必要で、求められたら開示しなければならない。

8つの分野

1. 自然環境を守っている (7項目)
2. 人権を尊重している (5項目)
3. 消費者を尊重している (4項目)
4. 動物の福祉・権利を守っている (6項目)
5. 製品・サービスの情報を開示している (5項目)
6. 事業を行っている地域社会に配慮・貢献している (5項目)
7. 適正な経営を行っている (7項目)
8. サプライヤーやステークホルダーと積極的に協働している (4項目)

6段階評価

人権を尊重している (一部項目を紹介)

動物の福祉・権利を守っている (一部項目を紹介)

基準は現在、評価項目とその解説がPDFで公開されており、JEIは今後、各組織の自己診断結果をサイトで公開することなども検討している。国の機関や地方自治体がエシカルな調達を行う際にもこの基準を参考にしてもらいたい考えだ。

written by

小松 遥香(こまつ はるか)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。

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