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  • 公開日:2020.10.07
  • 最終更新日: 2025.03.02
JR東と日立、トヨタが連携してハイブリッド鉄道車両を開発へ

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

JR東日本旅客鉄道(以下、JR東)、日立製作所(以下、日立)、トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、3社協働によって水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した鉄道車両を開発すると発表した。車両形式は「FV-E991系」で愛称は「HYBARI(ひばり)」。2022年3月頃から、主として東京都や神奈川県の一部を走る鶴見線、南武線尻手支線、南武線のうち、川崎市と横浜市の区間で実証試験走行を行う見込み。革新的な「クリーンエネルギー鉄道」が実現に近づきそうだ。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

JR東はかねてより低炭素社会の実現を目指し、水素活用を促進するためにトヨタなどとも連携をはかってきた。「ハイブリッド鉄道車両」の開発についても昨年6月に着手を公表しているが、今回の発表では日立、トヨタとの連携を明らかにし、実証試験の時期や車両愛称などを具体的にした。

日立はJR東との共同開発による鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術を持ち、トヨタは燃料電池自動車MIRAIや燃料電池バスSORAの開発で培った燃料電池の技術を有している。燃料電池装置の開発はトヨタが、ハイブリッド駆動システムの開発は日立が担当することで、3社協働による水素と蓄電池によるクリーンエネルギー鉄道の実現を目指す。

トヨタは水素社会実現に貢献するために「FC(水素を活用するクリーン燃料電池)商用車活用・産業利用促進」を掲げる。これに沿った取り組みを実践したい狙いがある。

トヨタの広報は「FC技術・システムは、乗用車から商用車・産業車両、鉄道 、定置式発電などもさまざまな用途で大容量発電を可能とするなど応用性が高く、かつ環境負荷低減性能も高い、将来有力な技術。そのうえで20 年以上の開発実績、 FCV(MIRAI・バス)やフォークリフトの実用化、発電機の実証などで先行してきた」と話し、技術を活用した上で「業界の垣根を超え、さまざまな企業との連携・仲間づくりによる『協調』した取り組みの推進」が今回の目的のひとつだと説明する。

燃料電池ハイブリッドシステムの仕組み

JR東はグループ全体で2050年度にCO2排出量「実質ゼロ」に挑戦することを「ゼロカーボン・チャレンジ2050」として掲げてESG経営を積極的に推進しており、脱炭素社会への強い思いがある。同社の広報部は「実証試験の後、ハイブリッド鉄道車両の営業運転を現実的に考えている」と決意を明らかにする。

車両の愛称は「HYBARI(ひばり)」

開発される車両「FV-E991系」は2両編成、最高速度100km/h。航続距離は最大約140km。60キロワットの燃料電池装置を4基と、120キロワットのリチウムイオン電池を搭載。水素貯蔵容量は合計1020リットル。

愛称の「HYBARI」は「HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」を意味する。「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージし、名称を決定した、とJR東は説明する。

実証試験は鶴見線、南武線尻手支線、南武線の尻手~武蔵中原区間。横浜市、川崎市などの協力を得て、2022年3月頃から週1回程度の走行が行われるという。国内で「クリーンエネルギーの電車」に乗れる日は、そう遠くないのかもしれない。

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沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。

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