• ニュース
  • 公開日:2019.09.26
  • 最終更新日: 2025.03.02
第1回SB-Jフォーラム分科会「N2X連携:社会課題の解き方(Solving)」

サステナブル・ブランドの法人会員コミュニティ「SB-Jフォーラム」で今年度の分科会がこのほど始動した。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社との共同企画として、ワークショップを中心に全3回を開催する。テーマは「N2X(NPO/NGOと企業)連携:持続可能な成長のためのクロスセクター連携を考える」。第1回は「N2X連携:社会課題の解き方(Solving)」と題し、複雑な社会課題を多角的な視点で捉え直し、悪循環を好循環に変えていく解決方法を探った。

分科会のファシリテーションを務めたのはサステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹氏。「環境課題、社会課題を解決し、サステナブルな状態に変えることは企業の力だけではできない。課題の最前線に立つNXO(NPO/NGO)と連携強化をすることが必要だ」とテーマの意図を説明。企業がNXOと連携する4つの大きなメリットは、その専門性、社会からの信頼性、外部の視点の反映、NXOの持つネットワークの活用だと解説した。

登壇したデロイトトーマツコンサルティングの金辰泰Social Impact Office Managerは「大企業でもNXOとの向き合い方を掴みきれていないという実態があると感じている」と話す。WHY(なぜNXO連携が必要か)、WHO(NXOとはどういう人たちなのか)、HOW(企業経営にどう連携を織り込むのか)という3つのポイントを語った。

なぜNXO連携が必要か

デロイトトーマツコンサルティングの金辰泰Social Impact Office Manager

「企業は財務業績だけを目的にするべきではなく、明確なソーシャル・パーパスを持って社会的な価値を生み出すことが大事になる。そのために自社が社会に与える影響や、社会の構造的トレンドなどを踏まえた上で戦略を練ることが重要だ」――。世界最大の資産運用会社、ブラックロックのラリー・フィンクCEOが2018年、各大企業のCEOに宛てて出した書簡には、そう綴られていた。企業に対して資本主義経済の側から、明確に軌道修正を求められた事例だ。

MDGs(ミレニアム開発目標)では既存のグローバル資本主義システムを前提として、あくまで企業は協力主体として位置づけられていた。一方SDGsではグローバル資本主義システムの構造的欠陥の克服を目指すことが明確にされ、先進国の課題を補完し、企業は主たる行動主体と位置付けられる。そんな中で、企業は「SDGsウォッシュ」と呼ばれることを避けなければならない。そのためには、より良い社会をつくり続ける企業としてシェアを拡大するという考え方が重要になる。

一方で「リターン・ファースト」の世界観から「インパクト・ファースト」の世界観に世界がシフトするなか、NXOの役割は「(外部不経済への)償いの触媒」から「資本市場の番人」「変革のカタリスト」へと変化しつつあるという。これが企業間の連携、NXOとの連携(N2X)の重要性が増す背景だ。

NXOとはどういう人たちなのか

一口にNXOといっても宗教法人や市民団体など、多種多様だ。企業がNXOと連携する上で、それらの定義や特徴を捉えなければならない。得意領域を踏まえた理解が必要になると金氏は解説する。NXOが取り組む課題は千差万別で、また実行型なのか、アボドカシー型なのかなど、さまざまな切り口があるため、構成人数や資本規模だけでNXOを判断することはできないことに注意が必要だ。

企業経営にどのようにN2X連携を織り込むのか

企業経営の在り方を徹頭徹尾、見直さなければならない。「パーパスは企業に好影響を与えるため、社会課題解決と紐づいた強いパーパスを打ち出すべきである」かつ「企業は利己的だが課題解決のポテンシャルは期待されているため、課題解決の先駆者であるNXOと組み、パーパスを補完・拡張すべきである」と金氏は解説する。これはデロイトトーマツコンサルティング社が実施した、企業役員、社員、ミレニアル世代消費者に対する調査データから導き出された前提だ。社会課題解決を夢想しても、パーパスに正統性が伴わないと、求心力も遠心力も生じず、実現が困難となる恐れがある。

一方、マテリアリティの特定においては、NXOの意見を尊重しつつも、他ステークホルダーの意見と統合する点も肝要となる。バランスを理解した上でのコミュニケーションが必要だ。またアドボカシーだけでなく、NXOが研究開発やプロモーションなどさまざまな段階で企業の機能を補完する場合もあり、多面的な観点から柔軟にシナジーを検討するべきだという。

またNXOとの組み方は、単なる業務提携に留まらず、企業と社会の接点となるような自社NPO設立や財団活用、ソーシャルアクセラレーションの活用等、多岐に渡る。分科会では具体的な座組の解説や、グローバル企業の事例も提示された。

3つのテーマでのワークショップ

参加者は3テーマからひとつのテーマを選んでワークショップを行った
実際に課題解決にあたるNXOから課題の周辺状況や現状を参加者に共有した
課題解決をゴール(中心)に置き、周辺状況をカードで整理する

ワークショップでは児童労働、海洋プラスチック、地方創生の3テーマでチームにわかれ、実際にそれぞれのテーマで活動するNPO法人ACE、美しい村連合、WWFジャパンという3つのNXOから課題の解説、現状の分析などが提示された。その上で、課題解決に至る行動がどのように悪循環に陥り、それをどう組み換えれば好循環になるのかを整理するという手順で、複雑化した課題を理解、把握し、参加者たちが解決方法を探った。

Related
この記事に関連するニュース

第50回 『JTC』にエールを送る!時代を味方につけるサステナビリティ経営
2023.07.25
  • コラム
  • #ファイナンス
  • #ブランド戦略
第49回 『らんまん』主人公に学ぶ!時空を超えたブランド・エッセンス
2023.06.19
  • コラム
  • #ファイナンス
  • #ブランド戦略

News
SB JAPAN 新着記事

水素を活用する社会の実現へ ホンダが進める多元的で多面的な取り組みとは
2025.04.03
  • ニュース
    自社の歴史から学ぶ、人の感動起点の製品開発とサステナビリティ
    2025.04.02
    • ニュース
      米国の現状から何を学ぶべきか、「リジェネレーション」の可能性とは――米SBの創設者とCEOが語る
      2025.04.01
      • ニュース
      • #リジェネレーション
      SB-Jの発行元がSincに移行――サイトリニューアルでコンテンツを一層充実へ
      2025.04.01
      • ニュース

        Ranking
        アクセスランキング

        • TOP
        • ニュース
        • 第1回SB-Jフォーラム分科会「N2X連携:社会課題の解き方(Solving)」