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商船三井はこのほど、グリーンボンド(環境債:環境関連事業の使途に限定した社債)を発行すると発表した。発行総額は100億円。機関投資家と個人投資家向けに各50億円ずつ発行する。日本企業が個人投資家向けにグリーンボンドを発行するのは初めて。償還期日は5年で、8月から9月に発行を予定している。同社は、今回発行するグリーンボンドで調達される資金を、2020年から実施される船舶の排出ガス規制対応に重点的に充てる方針だ。(オルタナ編集部=中島洋樹)
商船三井 コーポレートコミュニケーション部広報・IR担当は、今回のグリーンボンドの発行について「IMO(国際海事機関)の決定で2020年から施行される船舶の排出ガス規制(排出ガス中に含まれる硫黄分を現行の3.5%以下から0.5%以下とする)対応によるところが大きい」と説明する。
船舶の排出ガス規制をクリアするためには、主に以下の3つの方法が考えられる。
1. 従来使用している燃料油から硫黄分の少ない燃料油に切り替える。排出ガス中の硫黄分を低く抑えることが可能となる。
2. 既存船舶にSOX(硫黄酸化物)スクラバーを搭載する。スクラバーは排出ガス中の硫黄分を除去する装置で、搭載することにより、従来の燃料を引き続き使用できる。
3. LNG(液化天然ガス)を燃料とするエンジンに切り替える。これまでの重油からLNGに燃料を変更することで、硫黄分の排出がほぼゼロになり、CO2やNOX(窒素酸化物)の排出も抑制することができる。
それぞれを実現するためには、次の課題がある。
1. 硫黄分の少ない燃料油は従来の燃料油より価格が高くなる。
2. スクラバーの搭載費用が発生することはもちろんだが、スクラバー自体が大きく重量が重いので、その点も考慮した付帯的な設備も必要となる。同社によれば、搭載費用と関連費用を合わせた総額について、目安として1隻あたり約6~7億円かかるという。
3. エンジン切り替えの費用とともに、LNGが重油よりも燃料としての比重が小さく、燃焼に必要な量も多くなることから、容量の大きい燃料タンクを設置する費用も発生する。
以上から、排出ガス規制対応には相応の費用が見込まれることが想定され、今回グリーンボンド発行の運びとなった。
機関投資家向けと個人投資家向けにそれぞれ発行するが、同社によれば、日本企業が個人投資家向けにグリーンボンドを発行するのは国内で初めてになるという。主幹事は大和証券と野村證券が担当する。
同社は今回のグリーンボンド発行で、自社の地球環境への対応を周知し、企業価値を高めていきたい方針だ。
中島 洋樹(なかじま ひろき)
株式会社オルタナ オルタナ編集部
2018年4月オルタナ入社。入社1ヵ月弱でCSR検定3級合格。趣味は高校野球観戦、絵画鑑賞、テニス、ビリヤード、サイクリング、ウォーキング、国内旅行など広範囲におよび、特技はカラオケ(レパートリーは50曲以上)。好奇心旺盛で、編集のオールラウンダーを目指す。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。