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三井住友フィナンシャルグループは、世界的な気候変動を理由に石炭火力発電事業への与信方針の厳格化を検討し始めた。国内では4月末、日本生命が同事業への新規融資停止の検討を発表。第一生命も海外でのプロジェクトファイナンスを今年度は実施しないと明言した。動き始めた国内のダイベストメント(投資撤退)だが、国内案件に関しては国の「エネルギー基本計画」が石炭火力発電に一定の役割を与えていることから、同計画に足並みを揃える傾向にあるなど課題も残る。(オルタナ編集部=小松遥香)
三井住友フィナンシャルグループの国部毅社長は14日に行われた決算説明会で、「石炭火力発電は相対的に低コストであるものの、気候変動への影響が大きい。当該事業に対する与信方針についてさらなる厳格化を検討している」と話した。
環境について、同社はクレジットポリシーに「絶滅危惧種の生息地や原生林・熱帯林を大きく破壊する恐れがあるにもかかわらず適切な環境影響評価や環境管理計画の策定が行われていない大規模な開発・建設事業など、環境に著しく悪影響を与える懸念がある事業資金に対しても与信を禁止している」と記載。これよりも厳格化し、来月の株主総会には詳細が明らかになると見られている。
国内大手保険会社の動き
日本生命は4月末、気候変動への影響を理由に、石炭火力発電などに関連するプロジェクトファイナンスへの新規の投融資を行わないことを検討していると発表。しかし、すでに融資しているものや関連企業の株式売却などは対象に含まれない。
同社広報部によると、国内もしくは海外の案件のどちらか、またはその両方なのかなどの詳細についてはまだ決定しておらず、いつまでに厳格化の方針が決まるかも未定。同社が現在、国内外における石炭火力発電関連のプロジェクトファイナンスを行っているについては明言を避けた。
一部報道で、海外での石炭火力発電関連のプロジェクトファイナンスを見直すと報じられた第一生命は、実際にはこれまで国内外での投資実績はないが、今年度も引き続き海外での石炭火力発電関連のプロジェクトファイナンスへの投融資を実施しない方針を決めていることが明らかになった。
同社は再生可能エネルギーの普及に向けて国内外のプロジェクトファイナンスへの投融資を積極化しているものの、国内案件への投融資には慎重な姿勢を見せる。第一生命ホールディングス広報部広報課の畑岡雅人さんは、「日本の機関投資家として、石炭火力をベースロード電源とする日本のエネルギー政策なども考慮する必要がある。国内の案件については、日本社会における必要性などを十分吟味し、個別案件ごとに判断していく」と説明した。
世界的には、米シティグループやバンク・オブ・アメリカ、独保険大手アリアンツ、仏保険大手アクサ、都市ではニューヨークやシアトル、オスロ、コペンハーゲン、シドニー、オックスフォード、大学では米スタンフォード大学、カリフォルニア大学、英オックスフォード大学などが化石燃料産業からの投融資の引き揚げを表明するなど、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の達成に向けて、ダイベストメントの波が拡大している。
国内では、経済産業省が今月19日から、2030年にむけたエネルギー供給の方針「第5次エネルギー基本計画」に対するパブリックコメントの受付を開始した。政府が描く2030年の電源構成は、石炭火力が56%、再生可能エネルギーが22-24%、原子力が22-20%と2015年に定めたものと変化はない。自動車産業をはじめ民間企業が地球温暖化防止に動くなか、金融業界の未来は政府の描くものと同じなのか、はたまた新たな動きが生まれるのか今後の動きが注目される。
小松 遥香(こまつ はるか)
オルタナ編集部
アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。