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環境を持続可能にするだけではなく再生させていくことまで考え事業を行おうとする動きがさまざまな業界で生まれようとしている。そんな中、米ティンバーランドは世界の牧草地の大規模な再生に取り組むセイボリー協会と連携し、ファッション業界が再生可能なサプライチェーンをつくることを目指している。(翻訳=梅原洋陽)
セイボリー協会はグッチやサンローランを擁するラグジュアリーファッション界の重鎮ケリング・グループとも提携しており、再生型の調達ソリューションを提唱し、再生型農業をファッション業界のグローバルサプライチェーンにおいて拡大しようとしている。
ティンバーランドは、アザー・ハーフ・プロセッシング(Other Half Processing)とも提携している。同組織は、餌には100%牧草を使い、生涯放牧をして牛を育てるサウザンド・ヒルズ・ライフタイム・グレイズド(Thousand Hills Lifetime Grazed、以下THLG)のような農家や牧場主とパートナーシップを結び、再生型でオーガニック、そして持続可能な方法で飼育された動物から皮革やその他の高品質な副産物を調達している。
ティンバーランドがこうした新たな提携を行う背景には、親会社VFコーポレーションが昨年、壊滅的なアマゾンの火災の際、ブラジルのサプライヤーとの関係を断ち、革の調達のための厳しい基準を守るという姿勢を示したことがある。
同社の目標は、靴やアパレルの再生型サプライチェーンの構築を支援するために、再生型牧場のネットワークをつくり、パートナーである大規模ななめし工場とそれらを連携させていくことだ。
「これまで環境再生型農業の取り組みは主に食品産業で顕著だったが、セイボリー協会は、アパレル産業と共同することによって、この地球にとってかつてない成功をもたらす機会があると考えている」と、セイボリー協会でLand to Market(牧草から市場へ)事業の広告宣伝部門の責任者を務めるクリス・カーストン氏は言う。
「ティンバーランドはこの分野において正真正銘のリーダー。認可された再生型の土地で育てられた革製品を多くの人に届けられるこのイニシアティブにワクワクしている」
提携の一環として、ティンバーランドはセイボリー協会の「生態学的成果の検証」に共同出資しようとしている。これはTHLGに属するすべての牧場経営者を対象にしたもので、土地で発生している目に見えるリジェネラティブな利益を測定し、農家の取り組みをさらに向上させようとする重要なデータを提供するというものだ。
ティンバーランドは今秋、THLGの牧場で生産されたリジェネラティブな革を用いたブーツのコレクションを発表する予定。将来的にはこのプログラムを拡大していく。