• ワールドニュース
  • 公開日:2018.12.18
  • 最終更新日: 2025.03.16
放送禁止のCMはサステナビリティを民主化するか
  • ベッキー・ウィラン

Image credit: Greenpeace/YouTube

冷凍食品を専門にする英国のスーパーマーケットチェーン、アイスランド社のクリスマス向けCMが放送禁止になったのは非常に残念なニュースだった。アイスランドのCMは今年の初めにグリーンピースによって製作された、消費者に馴染みやすい、サステナビリティに関する強いメッセージを持つ映像を短く編集したものだ。同社はこの映像で、世界に良い影響を与えるための活動を紹介した。(翻訳=梅原洋陽)

今年の初めに、アイスランドは自社製品からプラスチック包装を廃止した世界で最初の大規模小売店になった後に、自社ブランドの製品からパーム油の排除を約束した。同社はこのCMで重要なパーム油についての関心を高める狙いがあった。

パーム油の使用量削減は複雑な問題であり、同スーパーの行動に対して批判的な見方もある。しかし、このCMが禁止されたのは非常に恥ずべきことである。クリスマスのCMはブランドが消費者と繋がる最も有力なチャンスであり、アイスランドのサステナビリティに着目する取り組みは大変進歩的なものである。

さらに、アイスランドのようなブランドがこうしたスタンスを取ることは、サステナビリティを押し広げるために非常に重要である。近年のブランドの「パーパス」を重視した政策は、時にお金や時間を有している、左寄りのミドルクラスをターゲットにしがちだからだ。

ここ数年をかけてアイスランドは顧客層を広げてきたが、顧客の多くは低所得者層である。同社はビジネス展開を通して、パーパスを体現する行動をしている。このキャンペーンの狙いは、サステナビリティについて、そして複雑なパーム油のような製品がもたらす影響を身近に感じてもらうことだ。

ガーディアン紙のジェシカ・ブラウン氏は論説で、アイスランドの広告を「勇敢で必要なもの」と呼んでいた。大衆市場で展開する大きなブランドが、自社の良い取り組みを伝える活動は当然である。アイスランドや同様のブランドが、社会的な課題や環境問題を、富裕層以外のターゲットに伝えることをしなければ、サステナビリティや社会的責任は一生、「誰かの問題」であり続けるであろう。

アイスランド社のCM動画

SB.com オリジナル記事へ

Related
この記事に関連するニュース

“感動創造企業”として、自社の歴史から「未財務」な価値のヒントを探る――ヤマハ発動機が今、サステナビリティの社内浸透を進める理由とは
ヤマハ発動機株式会社
2025.03.10
  • インタビュー
  • #ブランド戦略
サステナビリティ推進には「新しいあたりまえ」を意識した共創を
2025.03.05
  • SBコミュニティニュース
  • #ブランド戦略
EUの新経済戦略「競争力コンパス」の中身とその影響――競争力と持続可能性の両立は可能か
2025.02.27
  • ワールドニュース
  • #ブランド戦略
分断されたかに見える米国市民も「公正な企業」への期待は一致、最も重要なのは「人間第一」のビジネス思考
2025.02.12
  • ワールドニュース
  • #ブランド戦略

News
SB JAPAN 新着記事

花王の挑戦:ナプキン備品化プロジェクト『職場のロリエ』で社会にムーブメントを 
2025.04.24
  • スポンサー記事
Sponsored by 花王
  • #ウェルビーイング
  • #人権
責任あるビジネスの新基準の確立を――「パーパス・プレッジ」の10の誓約とは
2025.04.23
  • ワールドニュース
  • #グリーンウォッシュ
  • #パーパス
  • #ガバナンス
途上国支援は独りよがりでなく、現地による自走が不可欠
2025.04.23
  • ニュース
  • #人権
  • #行動変容
GXを通し、官民一体で経済成長につながるイノベーションを
2025.04.22
  • ニュース
  • #再生可能エネルギー
  • #サーキュラーエコノミー
  • #カーボンニュートラル/脱炭素

Ranking
アクセスランキング

  • TOP
  • ニュース
  • 放送禁止のCMはサステナビリティを民主化するか