• スポンサー記事
  • ニュース
  • 公開日:2025.02.14
  • 最終更新日: 2025.03.28
旅行者にも観光地にも価値のある、日本ならではのツアーとは――観光庁の「第2回サステナブルな旅アワード」に見る

Sponsored by 観光庁

大賞に選ばれた下諏訪のツアーで、早朝に高ボッチ高原の山頂から諏訪湖や富士山、北・南アルプスを臨む景色(提供:下諏訪町地域開発公社観光振興局)

観光客が訪れた地域の資源や文化を継承し、そこに暮らす人々の生活の豊かさにも貢献するような旅の在り方が、今、世界で求められている。2024年の訪日外国人旅行者数が過去最高を更新するなどインバウンド需要が高まる中、日本においても、旅行者と観光地の双方にとって価値の高い、魅力ある旅の選択肢を増やしていくことは急務だ。そうしたニーズを背景に、観光庁は2023年、「サステナブルな旅アワード」を創設。国内での持続的な観光づくりを目指し、優良な旅行商品や取り組みを選出している。2025年の今、日本の各地でどんなサステナブルなツアーが企画され、高い評価を得ているのか――。1月27日に行われた2回目のアワードの表彰式からその一端を紹介する。

鈴木貴典氏

表彰式では、まず観光庁の鈴木貴典審議官が「インバウンドの調子が非常に良い一方で、オーバーツーリズムや(観光地での)働き手不足、都市部への観光需要の集中など課題も少なくない」と国内観光の現状を説明。観光客誘致に取り組む地元団体や住民と、都市部の大手旅行会社の連携が必要だとして、「このアワードを通して魅力的な商品を発信し、持続可能な観光振興につなげてほしい」と呼びかけた。

■地元の専門家と観光資源を探究できる「下諏訪 長期滞在の旅」(長野県下諏訪町)が大賞に

大賞に輝いたのは、一般社団法人下諏訪町地域開発公社 観光振興局(長野県下諏訪町)による「4つのテーマで紡ぐ!信州 下諏訪 長期滞在の旅 5日間」だ。諏訪大社や星ヶ塔遺跡(黒曜石採掘遺跡)などの観光資源を持つ長野県下諏訪町を舞台に、地元の専門家や博物館、研究機関と連携して、ハイレベルな研究・探究を提供する観光プランが組まれている。

黒曜石の宝庫である「星ヶ塔遺跡」を地元ガイドの案内で特別に見学するツアー参加者ら(提供:下諏訪町地域開発公社観光振興局)

例えば、通常は立入禁止となっている縄文時代の黒曜石採掘坑を、地元の発見者・発掘者の解説付きで見学できたり、普段は閲覧できない諏訪湖博物館所蔵の古文書を題材に中山道を学んだりすることができる。また諏訪湖でのカヤック体験は、あえて夜間に行うことで圧倒的な静寂の中での星空を楽しむことができ、実際に地域で暮らす人々が見ている風景や、大切にしている文化に触れられるツアーとなっている。

宮坂徹氏

表彰式で同法人の代表を務める宮坂徹・下諏訪町長は、「観光事業者だけでなく町民一人ひとりが『自慢』をしながらガイドになれるようなまちづくりを進めている。持続可能な観光地域づくりは町の観光基本計画に定めており、これからも『観光づくりイコールまちづくり』と肝に銘じながら取り組んでいく」と受賞の喜びを語った。

小林英俊氏

また審査委員長を務めた小林英俊・北海道大学観光学高等研究センター客員教授は、「少人数の参加に限定し、深い学び体験を実現している」と講評。「湖でのカヤック体験も、あえて夜間に実施することで『カヤックに乗ること』ではなく『暗闇と静寂、星空を感じること』を目的としている点がユニークだ」と大賞に選んだ理由を述べた。

■準大賞は、まちづくりの背景を伝える「城下町再生の物語」(愛媛・大洲市)に

木造で復元された大洲城など、江戸から昭和の歴史的な建造物が並ぶ、大洲市の町並み(提供:一般社団法人キタ・マネジメント)
リノベーションのプロセスを見学するツアー客ら(提供:一般社団法人キタ・マネジメント)

準大賞には、一般社団法人キタ・マネジメント(愛媛県大洲市)の「OZU STORIES 大洲城下町再生の物語」が選ばれた。同市の持続的なまちづくり戦略は、2024年に国際的認証機関グリーン・デスティネーションズのシルバーアワード認証を受けるなど高く評価されている。その特徴は、城下町に残る複数の建物をリノベーションし、分散型ホテルとしての魅力を創出している点だ。

本ツアーで「紡ぎびと」と呼ばれる案内人を務めるのは、地域で生活する事業者や住民。ツアー参加者は、紡ぎびとから直接話を聞きながら、古民家や歴史的建造物の再生、リノベーションの様子を知ることができるほか、さらに多くの地域住民との交流プログラムも用意されている。

表彰式で小林審査委員長は「完成後の建物だけでなく、再生前の現場も体験できるツアーになっており、リノベーションのプロセスを見せるという仕組みが面白い。『現在進行系のまちの再生』のストーリーを旅行者に感じてもらうことで、関係人口として関わりを続けたり、まちづくりに参画したりする好循環が生まれている」と同ツアーを準大賞に選んだ理由を説明した。

■縄文文化や禅の精神など発信――熊本と青森、長野など舞台の5件に特別賞

特別賞には以下の5件が選出された。

世界遺産「崎津集落」をガイドとともに歩くツアー

ユネスコの世界遺産、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録された集落の1つである熊本県天草市崎津集落(提供:一般社団法人地域観光研究所)

天草宝島案内人の会(熊本県天草市)による「世界遺産『崎津集落』をガイドとともに歩くサステナブルディナー付きツアー」は、公共交通機関が脆弱(ぜいじゃく)な天草地域において、オーバーツーリズム対策と深い観光体験を両立すべく、ガイドを務める地元の「案内人」とともに周遊バスで観光するツアー内容となっている。同集落は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として2018年にユネスコによる世界文化遺産に登録された12資産のうち、熊本県で唯一の集落であり、12資産には日本でキリスト教が禁じられていた17〜19世紀に、他の宗教との共存を図りながら、ひそかにキリスト教の信仰を継続していた歴史がある。

奥津軽縄文Well-Being滞在プラン

縄文時代の食文化を再現した「縄文キノコ鍋」(提供:一般社団法人かなぎ元気村)

一般社団法人かなぎ元気村(青森県五所川原市)の「奥津軽縄文Well-Being滞在プラン1泊2日」は、壮大な歴史のロマンを体験できるツアーだ。「奥津軽」とは青森県の津軽半島に位置する北西部の山々に囲まれた地域を言い、有名な遮光器土偶が出土したことで知られる亀ヶ岡遺跡をはじめ、日本独自の時代区分である、約8000年前の縄文時代の遺跡が多くある。本プランは、その縄文時代の暮らしや食、文化の体験にとどまらず、それらをウェルビーイングの観点から捉え直す内容で、歴史好きだけでなく幅広い層にアピールできることが評価された。

長野でネイチャーポジティブを学ぶ、旅するいきもの大学校!

専門ガイド講師によるネイチャーポジティブ講義(提供:クラブツーリズム株式会社)

大手旅行会社のクラブツーリズム株式会社(東京都江東区)は「ネイチャーポジティブ ※1スクール『旅するいきもの大学校!』」で受賞した。「ゼロカーボンビレッジ」を掲げる長野県生坂(いくさか)村を舞台に、全6回のプログラムが実施されるほか、地元住民との交流機会も豊富に用意している内容。生物多様性の損失を止め、自然を回復軌道に乗せるための取り組みや、訪問先をより良くして帰る新しい旅のスタイルである「リジェネラティブツーリズム※2」について学べる点が特徴だ。

※1 ネイチャーポジティブ:減少していく生物の種を回復させるための取り組みであり、生物多様性の損失を止め、自然を回復軌道に乗せる
※2 リジェネラティブツーリズム:再生型観光というかたちで訪問先をより良くして帰る新しい旅のスタイル

小豆島を満喫する散策&体験ツアー

湯船山から中山千枚田を見下ろす眺望(提供;一般社団法人小豆島観光協会)

瀬戸内海に浮かぶ島からは、一般社団法人小豆島観光協会(香川県小豆島町)の「中山千枚田と農村歌舞伎舞台を満喫する散策&体験ツアー」が選ばれた。小豆島内で隣接し合う小豆島町と土庄(とのしょう)町が行政の枠組みを超えて連携することで実現した観光ツアーで、標高150~250メートルの急峻(きゅうしゅん)な山腹に広がる、約800枚の大小さまざまな棚田の四季を楽しむと共に、江戸時代以来、島民によって演じ継がれてきた地芝居で、国の重要無形民俗文化財にも指定されている農村歌舞伎の舞台を見学するなど、地域に密着した旅の体験ができる。

僧侶と共に向き合う、福井「縁(えにし)」の旅

僧侶とともに食と向き合う(提供:ふくいヒトモノデザイン株式会社)

地域金融機関のグループ会社であるふくいヒトモノデザイン株式会社(福井県福井市)は、福井県永平寺町を舞台とする「縁(えにし)の旅~三方よしから十方よしへ」で受賞した。日本ならではの禅の文化や精神に触れてもらおうという企画で、禅の道場として知られる永平寺での坐禅や精進料理を体験し、僧侶との対話の時間も設ける。副題の「三方よしから十方よしへ」は、「売り手と買い手の幸せだけでなく、社会に貢献できてこそ良い商売と言える」という日本に古くから伝わる経営哲学「三方よし」にとどまらず、仏教用語で「あらゆる時間の全てのもの」を意味する「十方」を冠することで、自然環境や自分自身への感謝や、旅行者がツアーを終えた後も縁を大切にし続けていくことへの祈りを込めたという。

住民が主体となって観光に参画する旅の在り方が当たり前に

日本発の、旅行者と観光地の双方にとって価値の高い、魅力あるサステナブルな旅の選択肢は確実に増えている――。

表彰式で小林審査委員長はこれまでのアワードを総括し、「売り上げの一部を地域の保全に使う循環サイクルや、住民が主体となって観光に参画する在り方が、もはや当たり前になってきている」と観光による地域活性化の方向性の変化を指摘。そして「昨年は、本アワードで受賞したことをきっかけに、海外の旅行会社からオファーが来た団体があるなど(受賞の)反響は大きい。あと数年もすれば『この賞を取った地域に行ってみよう』という旅行の在り方も広まるかもしれない。優れた事例を選出し、発信することは重要で、継続していきたい」と来年以降を見据えた抱負を述べ、2025年のアワードを締めくくった。

2025年の奨励賞に選ばれたのは、有限会社岩崎呉服店(長野県佐久市)、株式会社エリアプロモーションジャパン(京都府大山崎町)、農業生産法人 株式会社オルタナティブファーム宮古(沖縄県宮古島市)、熊本県旅行業協同組合(熊本県熊本市)、一般社団法人なかしべつ観光協会(北海道中標津町)、の5件。

全ての受賞者の詳細は特設サイトで確認できる。

文:横田伸治 写真:田中亮平

Related
この記事に関連するニュース

サステナビリティに取り組むホスピタリティ・旅行会社が科学者を採用するメリットとは
2024.09.10
  • ワールドニュース
  • #ツーリズム
旅行ブームに沸くインド 地方の小規模ホテルでサステナブルな取り組みが進む
2024.06.20
  • ワールドニュース
  • #ツーリズム
廃校を活用し、地域の海洋生物だけを紹介する水族館 観光客を引きつけるアイデアのつくり方
2024.06.11
  • ニュース
Sponsored by 環境省『LIBRARY』
  • #ツーリズム
進化する民泊仲介プラットフォーム 地域とつながり、社会的取り組みを支援できる宿を紹介
2024.06.06
  • ワールドニュース
  • #ツーリズム

News
SB JAPAN 新着記事

自社の歴史から学ぶ、人の感動起点の製品開発とサステナビリティ
2025.04.02
  • ニュース
    米国の現状から何を学ぶべきか、「リジェネレーション」の可能性とは――米SBの創設者とCEOが語る
    2025.04.01
    • ニュース
    • #リジェネレーション
    SB-Jの発行元がSincに移行――サイトリニューアルでコンテンツを一層充実へ
    2025.04.01
    • ニュース
      本格的に動き始めたエネルギーの「アグリゲーションビジネス」とは何か
      2025.03.31
      • ニュース
      • #再生可能エネルギー

      Ranking
      アクセスランキング

      • TOP
      • ニュース
      • 旅行者にも観光地にも価値のある、日本ならではのツアーとは――観光庁の「第2回サステナブルな旅アワード」に見る