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大手自動車メーカーは、軽量化や環境負荷を低減するために、自動車の内装材に使う循環型で植物由来の素材開発を進めている。今回はBMWとフォルクスワーゲンの事例を紹介する。(翻訳・編集=小松はるか)
BMW、座席の循環型デザインで大賞受賞
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テスラやトヨタ、フェラーリ、フォード、ベントレーなどますます多くの自動車メーカーが、自動車に使用する循環型で植物由来の素材のイノベーションを促進している。そんななか、BMWグループのパフォーマンスカーの子会社BMW Mと、スイスの軽量化素材メーカーBcompとの共同事業が「アルテア・エンライトゥン・アワード2024」で高く評価された。
「BMW M」のビジョナリー材料シートは、自動車シートの組成物を見直し、Bcompのアンプリテックス(ampliTex)という亜麻繊維を使った織物素材でつくられている。ライフサイクルを重視するサステナブル・プロセス部門で大賞を受賞した。
BMWとBcompのパートナーシップが始まったのは2019年。BMWがフォーミュラEマシン「BMW iFE.20」にBcompの高性能な天然繊維複合材を使ったことからだ。
BMW Mで軽量構造・サステナビリティ部門のイノベーションマネージャーを務めるファルコ・ホールマン氏は、「私たちはすでに既存の技術・素材を使い、将来的にCO2排出量を削減し、資源を保全できる可能性についての見通しを示しています」と話す。「これは単に素材を置き換えるという話ではなく、循環のためのデザインの話なのです」。
大賞を受賞した座席のデザインは、従来の製造方法や構成材料を見直し、大量生産の需要を満たすより軽量で循環型の製品を導入している。天然のリサイクル素材を使うことに加え、より単純な構造の部品と単一素材を分類することで、製品寿命が尽きる際にシートをリサイクルできるようにしている。
Bcompによると、同社の亜麻繊維を使った織物素材は原料調達から製造までがカーボンニュートラル。活用法にもよるが、炭素繊維と比べて、高性能複合素材の製造に伴う排出量を最大85%まで削減でき、現在の大量生産型のプラスチック素材よりも50%軽量化できるという。
2011年に軽量で高機能なスキー板をつくることを目指して設立されたBcomp。同社はその後、自動車をはじめレクリエーション用製品、大量輸送機関分野向けの、天然素材を使った高機能繊維複合素材の先進企業となった。
Bcomp はNASCAR(全米自動車競走協会)が毎年開催するシカゴ・ストリート・レースで、同社の亜麻繊維複合素材を車体に使用した新型バッテリー電気自動車の初期モデルを発表して話題をさらったばかりだ。この植物由来素材は、従来の炭素繊維と同じ剛性でありながらも、CO2排出量を最大で85%まで削減し、さらに数珠つなぎになる自動車レースで特に心配される安全面の一つ、衝突時の破片の飛散を防ぐ特性のおかげで、モータースポーツの安全性を向上させることを約束している。
フォルクスワーゲン、麻からできた「レザー」を内装に試用
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一方、フォルクスワーゲンはドイツの新興企業Revoltechと提携し、自動車の内装に使用する植物由来の素材を研究開発している。
受賞候補で、皮革や石油を使わないヴィーガン素材で端材を使ったLOVR(leather-free, oil-free, vegan, residue-based)は、Revoltechが発表した最初の生地。地域の麻産業から出た残余素材をつかったLOVRは、100%植物由来でプラスチックフリー、リサイクル可能な生分解性素材だ。フォルクスワーゲンの目指す新しい代替レザーをはじめ、さまざまな生地や最終商品に成形することができる。同社は、持続可能な表面素材を2028年以降の自動車に使うためにLOVRを試験しているところだ。
LOVRは、プロダクトデザイナーに牛革のような手触りと耐久性を提供する植物由来で循環型の代替レザーの一種で、従来の革製品が抱えてきた環境とビジネスのトレードオフ(両立できない状態)はない。Revoltechによると、LOVRは多用途性があり、加工が容易で、また既存の生産工程を使用してつくることができ、生産の拡大や大規模製造への統合も簡単だ。さらに家具やファッション、自動車産業での使用に適している。
フォルクスワーゲンの戦略責任者を務めるアンドレアス・ヴァーリンゲン氏は「資源の持続可能な活用は当社のACCELERATE戦略の重要な柱であり、私たちの考え方や行動にしっかりと根ざしているものです。私たちの明確な目標は、顧客の意向や持続可能性の要件、企業の利益を融合させることです」と話す。そして今回のコラボレーションは、スタートアップと老舗企業、それぞれの強みを組み合わせて得られるメリットを示す好事例だと付け加えた。
フォルクスワーゲンによると、LOVRの初披露では、顧客からの好意的な反応とフィードバックがあったという。