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  • 公開日:2024.06.11
  • 最終更新日: 2025.03.28
人を生かせずして企業は成り立たない――LIFULL、JTBらの取り組み

SB国際会議2024東京・丸の内

Day1 ブレイクアウト

企業経営における「DE&I」を中心に、人的資本の最大化に取り組む企業が昨今、増加し続けている。それは「多様な個性を最大限に生かすことこそが、組織の価値創出につながる」という認識が、主流になりつつあるからだ。企業や組織は、いかにして社会の生命線ともいえる人的資源を生かすことができるのか――。さまざまな業界から3人のパネリストたちが、企業側の取り組み事例などを交えた議論した。(清家直子)

ファシリテーター
山岡仁美・サステナブル・ブランド国際会議D&Iプロデューサー
パネリスト
伊東祐司・LIFULL代表取締役社長執行役員 LIFULL HOME’S事業本部長
髙﨑邦子・JTB 執行役員 DEIB推進担当 コーポレートコミュニケーション・広報担当(CCO)
増渕颯音・Emunitas 取締役

増渕氏

冒頭、SB国際会議D&Iプロデューサーの山岡仁美氏は、企業経営のキーワードは、「DE&I(Diversity多様性、Equity公平性、Inclusion包括性)」から、ここに帰属を意味するBelongingの「B」を加えた「DEIB」に変容してきたと強調した。「DE&Iに加え、組織や国に属している安心感や自己肯定感を持つことで、人はパフォーマンス力を上げられる。日本における唯一の資源と言える人的資本を生かしながら、未来に貢献したいと思える社会を描いていこう」とセッションを開始した。

「すべての人の可能性を証明する」というポリシーの下、外国人留学生と日本企業の協業事業などを行っているEmunitasの取締役を務める増渕颯音氏は、現役の大学生だ。増渕氏はまず、人材を単なる足し算にしないため、「1つ目は無駄かもしれない部分を含めて喜びを共有すること。2つ目は信頼するために自己開示をすること、3つ目は組織や国と自分を照らし合わせて、ステークホルダーとしての自覚を持つこと」の3つのポイントを挙げた。さらに価値の相対性にも着目し、「定量化できず必然性もないところにこそ、面白いことが生まれる余地があり、そこを大事にしたい」と述べた。

伊東氏

続いて「あらゆるLIFEを、FULLに」という理念を掲げるLIFULL代表取締役社長執行役員の伊東祐司氏が登壇。同社は創業以来、「人がすべて」と人への投資を続け、企業文化をアップデートしてきた。D&Iに取り組む企業を認定・表彰するD&l AWARDの「D&l AWARD賞」を2023年に獲得するなど、人を中心に据えた事業展開を強みとしている。

伊東氏は人的資源を守り生かすために、企業文化の設計や浸透に注力するほか、社員の内発的動機を大切にし、キャリア選択制度や社内副業制度を実施していると説明。健康診断やストレスチェックなど独自のスコアを導入し、社員のウェルビーイングにも目を配っているという。伊東氏は「社員のLIFEをFULLにすることは、顧客サービス向上につながると確信している」と語った。

髙﨑氏

JTBは、「つなぐ、つなげる」をミッションに掲げている。同社、執行役員の髙﨑邦子氏は「旅行者と企業、地域と企業、地域と旅行者など、さまざまなステークホルダーをつなげることが、私たちの事業の礎」と強調する。

JTBグループがDEIBにおいて重視していることの1つが、事業の「可視化」だ。テーマ設定や指標、評価などについて緻密なKPIマネジメントを実施しており、「目指す先を明確にし、やること自体が目的とならないよう、整理して共有することを大切にしている。そのためにもKPIマネジメントによる可視化は不可欠。進捗を把握、見直しすることでこそ、次のステップに飛躍できる」と語った。

2社の話を受け、増渕氏は、「若者世代は大企業などの既得権益層に、漠然とした嫌悪感を持っている人が多い。この要因はおそらく、お二人が報告されたような活動が、各企業に浸透していないからだと思う。今後は世代間での対立構造を作らないよう、対話し、喜びを共有しながら社会を変えていくことが、僕たちの世代に任せられているのではないか」と話した。

伊東氏、髙﨑氏共に、対話やコミュニケーションの重要性に強く共感したようだ。加えて両氏は、「挑戦を阻害する雰囲気を取り払い、後押しするような心理的安全を確保したい。鍵になるのはやはりコミュニケーションだ」などと語り、若者や社員が挑戦できるための心理的安全性にも言及した。

こうしたやり取りを踏まえ、最後に山岡氏は「日本で唯一の強力な資源である人的資源を生かすためには、制度や施策を整えるだけでなく、日頃の慣習を見直したり、新たな文化を構築したりすることが必要だ。日常的なコミュニケーションを通じてお互いをリスペクトしつつ、多様なアプローチをしていこう」と締めくくった。

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