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  • 公開日:2023.11.13
  • 最終更新日: 2025.03.02
LGBTQ+の人たちが働きやすい職場づくりへ「アライネットワーク」発足――2030年までに経営者1000人の参加募る

廣末 智子(ひろすえ ともこ)

「work with Pride 2023カンファレンス」の席上、企業経営者アライネットワーク「Pride 1000」の設立を発表する呼びかけ人ら(11月7日、経団連会館・国際会議場)

「LGBTQ+」と表される性的マイノリティの人たちに関する理解を促進し、職場における心理的安全性を確保することで働きやすさにつなげようと、このほど、日本の18企業から23人の経営者が呼びかけ人となり、企業経営者によるアライネットワーク「Pride(プライド) 1000」が設立された。アライとは日本語で「仲間、同盟、同胞」といった意味合いで、「LGBTQ+」の人たちの理解者であり、支援者を指す。「Pride 1000」は、日本社会全体のDE&I(多様性、公平性、包括性)の推進を目的に、アライとして積極的にメッセージを発信する意思のある企業や団体の経営層ら個人に参加を呼びかけ、「2030年までに1000人のネットワークを目指す」としている。

ネットワークの立ち上げに動いたのは、日本の企業内でLGBTQ+(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなど)の人たちが自分らしく働ける職場づくりを進めるための情報提供などを行う「一般社団法人work with Pride」。同法人は企業や団体におけるLGBTQ+に関する取り組みを『PRIDE指標』制度で評価する事業などを行っており、今年の受賞企業を発表する『work with Pride 2023カンファレンス』の席上、18企業の23人の経営者らが、呼びかけ人となってPride 1000を発足させた。

Pride 1000の構成メンバーは、企業や団体としてではなく、あくまで、自身を「アライ」と自認する、企業や団体等の経営層に属する「個人」となる。ただし、そうした個人の参加を後押しする立場で、経団連と経済同友会、新経済連盟の3つの経済団体が活動を支援することを表明している。

スタート時の参加者は、上記の呼びかけ人のほか、経団連と経済同友会から各4人、新経済連盟の3人を合わせた33人に(うち1人は重複)。サイト上には、「声なき声を代弁する(貴田守亮・EY Japan チェアパーソン兼CEO)、「多様性を組織の力に」(北堀貴子・第一生命保険取締役常務執行役員)、「自分らしく生きるをあたりまえに」(宮間三奈子・大日本印刷取締役)、「THINK DIFFERENT!」(魚谷雅彦・経団連審議員会副議長ダイバーシティ推進委員長、資生堂代表取締役会長CEO)、「悠々として急げ!!」(新浪剛史・経済同友会代表幹事、サントリーホールディングス代表取締役社長)など、著名な経営者らが自らの言葉で語ったメッセージが並ぶ。

work with Prideによると、国内では近年、LGBTQ+への理解の遅れからくる職場環境の未整備などを理由に、離職せざるを得なかったり、ハラスメントに苦しむ人が増えている。2023年6月に成立したLGBT理解増進法では、企業に対して従業員への普及啓発・就業環境の整備などを推奨してはいるものの、努力義務であることから企業側の自主的な取り組みが必須な状況だ。

企業経営者自身が意思や行動を積極的に発信し、可視化することが重要

そもそも「PRIDE指標」や「Pride1000」に冠せられる「PRIDE」とは、Policy(行動宣言)、Representation(当事者コミュニティ)、Inspiration(啓発)、Development(人事制度・プログラム)、Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)の頭文字をとったもの。これらを総合的に評価するPRIDE指標で5点満点のゴールドを受賞した企業・団体は、2018年には130社だったのが今年は326社に上るなど、この5年間で大きく増えているが、日本企業全体でLGBTQ+の人たちを取り巻く職場環境が前進しているとは言い難い。

こうした状況を踏まえ、Pride1000では「組織や社会で影響力のある企業経営者自身がLGBTQ+に賛同・支援する意思や行動を積極的に発信し、可視化することが重要だ」として、「2030年までに1000人」を目標に、代表取締役社長や、担当部門が人事系ではない役員も含めて、参加を募る。「LGBTQ +当事者であるか否かを問うものではなく、自身の性のあり方を明かす必要もない」と門戸を広げている (問い合わせはこちら)。

今後の取り組みについては、初期参加者の33人と賛同する3つの経済団体を通じて、性的マイノリティの人たちへの理解を広げる発信を積極的に行い、LGBTQ+関連のテーマにおいて経営者が抱える悩みや課題解決の好事例を共有していく。具体的には、2024年春に開催予定の「東京レインボープライド」に合わせたネットワーキングイベントや、同性婚や性同一性障害特例法の現状について学ぶ「LGBTQ+と法制度」、国連が提唱する「ビジネスと人権」におけるLGBTQの位置付けといった、最新の情報に基づいた経営者向け勉強会などを計画しているという。

企業経営者によるアライネットワークが発足したことの意義について、work with Pride代表理事の松中権氏は、「発信力のある企業経営者がポジティブなメッセージ発信を強め、アライの輪を広げていくことで、より良い社会をつくるムーブメントをつくっていきたい」と話している。

written by

廣末 智子(ひろすえ ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。

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