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  • 公開日:2023.09.04
  • 最終更新日: 2025.03.28
あなたと地球のウェルビーイング
【コラム 前野隆司のウェルビーイング講座】第2回 幸せの呪文「アリアリナンヤッ!」

前野 隆司(まえの たかし)

私たちの研究結果について説明しましょう。私たち前野研究室は、幸福に影響する要因29項目87個の質問を作成し、インターネットで1500人の日本人に対してSD法(Semantic Differential法)によるアンケート調査を行いました。質問には、「全く当てはまらない/ほとんど当てはまらない/あまり当てはまらない/どちらとも言えない/少し当てはまる/かなり当てはまる/非常によく当てはまる」の7段階で答えてもらいました。

さらに、アンケート結果を因子分析しました。計算にはSPSSというソフトウェアを用いました。その結果、幸せに影響する4つの心的因子を求めました。結果は以下の通りです。

図1 幸せの4つの因子

第一因子 自己実現と成長の因子(やってみよう因子):目標を達成したり、目指すべき目標を持ち、学習・成長していること。この因子は、自己肯定感と高い相関があります。また、主体性や視野の広さとも関係しています。

第二因子 つながりと感謝の因子(ありがとう因子):多様な他者とのつながりを持ち、他人に感謝する傾向、他人に親切にする利他的な傾向が強いこと。多様なつながりが幸福度に寄与することもわかっています。

第三因子 前向きと楽観の因子(なんとかなる因子):ポジティブ・前向きに物事を捉え、細かいことを気にしない傾向が強いこと。自己受容や楽観性がこの因子に関連しています。前向きにチャレンジする人は幸せです。

第四因子 独立と自分らしさの因子(ありのままに因子):自分の考えが明確で、人の目を気にしない傾向が強いこと。人と自分を比較しすぎる人は幸福度が低いので、はっきりとした自分軸を持って自分らしく生きることが重要です。

これら4つの因子を満たしている人は幸せです。どれかを満たしていない人は少し幸福度が下がり、全部を満たしていない人はさらに幸福度が低い傾向にあります。

最近監修した『99%の小学生は気づいていない!?ウェルビーイングの魔法』(Z会出版、2023年)では、幸せの4つの因子の順番をちょっと変えて、ウェルビーイングの国のキャラクター、ウェル族の呪文「アリアリナンヤッ!」(ありがとう、ありのままに、なんとかなる、やってみよう)にしてみました。ぜひ、4つの因子を「アリアリナンヤッ!と覚えてください。

「アリアリナンヤッ!」という呪文を唱えて、人間の子供たちをウェル族の世界に連れていく、タックさん(ウェル族の王様。私がモデルとのことです・笑)

関西の方に聞いてみたところ、これは、「よくあることである」という意味で日常に使う表現であるとのこと。つまり、「アリアリナンヤッ!という表現は、ありありなんやっ」ということですね。ちなみに、アクセントは、2番目の「あり」にあります。ありありなんやっ!と、2番目のありの音程を高く、他は音程を低く発音するのが正しい関西弁のイントネーションということです。

この本は小学生向けですが、大人でも十分楽しめると思います。内容は以下の通りです。前半はファンタジー仕立てになっています。小学生たちが、ウェル族の王様、タックさんを助けたことがきっかけで、ウェル族の国に修行に行き、幸せの4つの因子に分けて、ウェルビーイングなあり方について学んでいきます。後半は、リアルな世界です。修行を終えた子どもたちは小学校に戻ってきます。そして、実際に小学校の先生たちが行っているウェルビーイングに関する授業を受けてさらに幸せになっていきます。こちらも、幸せの4つの因子に基づいた学びとなっています。以上の中で、呪文「アリアリナンヤッ!」が何度も出てきます。楽しみながら学ぶ仕掛けがたくさん詰まっています。

あなたは、健康に気をつけていますか?
同じように、幸せにも気をつけていますか?

幸せな人は健康長寿で、生産性も創造性も高いことが知られているので、幸せにも気をつけるべきです。幸せの4つの因子「アリアリナンヤッ!」に気をつけることは、ありありなんやっ!

written by

前野 隆司(まえの たかし)

慶應義塾大学 大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 ヒューマンシステムデザイン研究室 教授

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年よりSDM研究科教授。2011年4月から2019年9月までSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。

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