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  • 公開日:2022.12.23
  • 最終更新日: 2025.03.13
サステナビリティ部門の女性リーダーは次世代の女性リーダーとどう連携すべきか

10月に開かれたサステナブル・ブランド国際会議2022サンディエゴでは、女性のリーダーシップをテーマにしたランチセッションが行われた。各社でサステナビリティを推進する女性リーダーらが、次世代の女性リーダーにチャンスをもたらし、重要な会議の場に若い女性・有色人種の女性が参加できるようにすることの重要さや、持続可能な未来の実現に向けてどう次世代のリーダーと関わりを持ち、導いていけるかを探った。

満席となったセッションには、テトラパック米・カナダのラリーナ・ユービナ氏、ジョンソン・エンド・ジョンソンのジェン・デュラン氏、広告代理店「WE Communications(ウィ・コミュニケーションズ)」のシャンテル・アダムス氏の3人が登壇した。ファシリテーターは英ガーディアン紙の米西海岸支局で働く記者ダニー・アンギアノ氏が務めた。

女性はリーダーや個人として、サステナビリティ課題の解決を推進する上でどういう役割を果たしているか――。この問いに対して、登壇者からは「女性の方が深く関与する準備ができている場合が多い」「気候危機やSDGsといった非常に複雑で、さまざまなステークホルダーの協力が求められる課題に取り組む場合には、女性は協調の精神で立ち向かい、異なるステークホルダーをまとめあげる傾向にある」といった意見がでてきた。

ジョンソン・エンド・ジョンソンで製品のレジリエンシー・サステナビリティ部門の責任者を務めるデュラン氏は、「女性はマルチタスクが得意な傾向にあり、効率的に仕事をする」と話し、150年の歴史をもつ同社では働く半数以上の従業員が女性であると説明した。女性が創設・運営する企業「WE Communications」のコンシューマー部門で責任者を務めるアダムス氏は「サステナビリティ部門は女性リーダーが過半数を占める、事業部門の中でも希少な存在だ」と指摘した。

議題は、DEI(多様性・公平性・包摂性)を根付かせるためにいま取り組んでいることへと移った。スウェーデン生まれのテトラパック社の米・カナダ支社でコミュニケーションの責任者を務めるユービナ氏は、男性優位で欧州に拠点を置く自社の経営層がDEIの根本を理解し、それに慣れるように取り組んできた自らの経験を共有した。

デュラン氏は、有色人種の若い女性たちが教育を通じてあるべき姿を実現できるようにする必要があると語り、アダムス氏もこれに同意した。アダムス氏の企業では、優れた才能のある人材を獲得するためにインターンシップ制度を強化するほか、HBCU(歴史的黒人大学)のハンプトンカレッジと連携して授業を行っているという。同氏は、若手社員の中から成長株となる人材を探す必要性についても語った。

アダムス氏は、「自社のブランド調査から、気候変動に最も関心があるのは有色人種の女性だということが分かっています。また、私たちがここで話していることはこの場にいない女性たちの声でもあります。女性たちは、企業の掲げるサステナビリティ目標が幅広いコミュニティにどうインパクトをもたらしているかという厳しい問いを投げかけています」と語った。

若手リーダーをどう応援するか

デュラン氏はキャリアメンターやこれまでの経験から学んだ教訓を振り返り、男性中心のR&D部門で責任者を務めていた女性上司の下で働けたことが幸運だったと話した。さらに、その女性上司はデュラン氏にインポスター症候群に苦しんでいることを打ち明けたという。インポスター症候群とは、客観的に高い評価を受けながらも自分自身を過小評価してしまう心理状態のことで、男性よりも女性が陥りやすいといわれる。デュラン氏にとって、女性上司が自身の脆さについて打ち明けてくれたことは新鮮であり、強く心に残る出来事だったと話した。

ユービナ氏は、40代前半という若手でもベテランでもない立ち位置にいる自身が転換期にあると感じている。若い女性たちと関わり合うことの重要性を理解し、自らが年下の女性たちから誇りに思われる存在であるかを自問自答しているという。「若い女性たちと連携することは大きな責任があることです。私はその責任を果たせているかを考えています。いつだってあなたの後ろにはあなたを尊敬する若い人たちがいるのです」と語った。

アダムス氏はこれまでキャリアについて難しい決断を下す際に助けになってくれた女性リーダーたちがいたことを紹介し、メンターという形で意図的に支援・育成に取り組むことの重要性を訴えた。「人には、メンターの視点を通して、自分自身を見つめられるよう手助けすることが必要な場合があります。若い女性は特にそうです。そういう人たちの可能性を開花させることが会場にいる皆さんにとって真に名誉なことであるべきではないでしょうか」。

セッションは、これからの時代のサステナビリティリーダーに向けたアドバイスで締めくくられた。

・インポスター症候群や「成功するまでは、成功しているかのようにふるまう」という考えを捨てること。代わりに協調する考えを持つこと。

・若い世代のプロフェッショナルがそれぞれどんな役割を果たせるかを認識すること。

・若いリーダーから学ぶこと。そして、若いリーダーが勇気を持ち、自らが信じるものや価値観に沿って全力で取り組み、自らの才能を尊重してくれる場所を見つけられるように後押しすること。

セッションを通して分かったのは、サステナビリティの分野には、次世代の情熱のあるプロフェッショナルの力がいますぐにでも必要だということだ。

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