![]() |
ソロ動物園、ソロ水族館、ソロキャンプ…。グループや団体とは違い、ひとりで好きなことを好きな時に好きなだけ楽しめることが『ソロ』の最大の魅力のようです。もちろん、サステナビリティもライフスタイルの中で、ソロで取り組むことが大事です。ただ、企業(コーポレート)のサステナビリティは留意する点がありそうです。
ソロ活とは
ソロはイタリア語で「単独」を意味し、日本語の「活動」と組み合わせ、『ソロ活』という表現もよく見聞きするようになりました。従来から「一人焼き肉」や「一人カラオケ」など単独で外食やレジャーを楽しむスタイルがありましたが、最近ではよりポジティブに「積極的にひとりの時間を楽しむための活動」という意味あいで、よく使われるようになりました。
![]() |
ソロ動物園、ソロ水族館、ソロプラネタリウム…。好きな時に、好きな場所で、ひとりを楽しむ人生をテーマにした、江口のりこさん主演のドラマ「ソロ活女子のススメ」も人気となりました。さらには、お笑い芸人のヒロシさんが配信する「ヒロシちゃんねる」が注目され、ソロキャンプのブームが巻き起こったりしています。今ではソロキャンプの指南役として脚光を浴びています。
![]() |
ただソロ活というと、とかく一人で出かけるレジャーや外食、旅などを連想しますが、わざわざ遠出をしなくても、生活のなかで場所を選ばず、どこでも楽しめるのがソロ活の魅力といえます。そうした視点から、時代の価値観を反映した「サステナビリティ」を自然に取り入れるライフスタイルを、本稿では『ソロ・サステナビリティ』というコンセプトで捉えてみます。
ソロ・サステナビリティとコーポレート・サステナビリティ
サステナビリティ(Sustainability)を希求するには、個人(ソロ)でも企業(コーポレート)でも、自らの活動によって生ずる地球や社会への「影響」という着眼点が重要です。企業も個人も、生活や事業を営めば、地球や社会に必ず影響を及ぼします。それには、負の影響(Negative Impact)と正の影響(Positive Impact)があります。この『影響』がキーとなります。
![]() |
ただし留意すべきは、企業(コーポレート)は個人(ソロ)に比べ、比較にならないくらい大きな『影響』を地球や社会に及ぼすということです。したがって、企業セクターがサステナビリティに取り組む場合は、まずは、自社のビジネスが環境や人権などに悪影響を与えるのを防ぎ緩和することが 『要請』されているということです。その上で、各社の強みを活かして社会課題の解決などの良い影響をいっそう醸し出してほしいと『期待』されている、ということがポイントです。この時代が求める「要請と期待」に応えることが、企業の持続可能性を高めることにもつながります。
すなわち、『要請』にきちんと対応することによってリスクを回避し、『期待』に応えて機会の創出につなげるという文脈です。後者が「事業による社会課題解決」の概念であり、「CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)」と位置づけられます。まずは、自社の事業プロセスや製品・サービスが環境・社会に及ぼす影響に関わる責任をきちんと果たし、その上で、事業を通じて社会課題を解決するという押さえ方が大事です。
現代社会からの「要請と期待」をかみ砕くと、以下のとおりです。
![]() |
影響の範囲 (Sphere of influence)
もうひとつ大事な観点は、とりわけ大企業は「サプライチェーン」「バリューチェーン」における「影響の範囲 (Sphere of influence)」という概念を認識し、厳重に注意を払わなくてはならないということです。自社工場のみならず、契約工場、取引先等であったとしても、環境や人権等に関する社会的責任は免れません。さらには、他のステークホルダーにも影響を及ぼします。企業は影響力の範囲内において、意思決定や活動に対して責任を負うことになります。
昨今サプライチェーンは、企業にとってリスク管理上の重要課題として認識されるようになりました。「サプライチェーンを含めて」「サプライチェーンを通じて」の影響が、ますます注視されるようになりました。
![]() |
政府も、サプライチェーン全体で人権侵害を把握し改善する『人権デューデリジェンス』に取り組む企業を政府調達で優遇する仕組みを検討しています。サステナビリティへの対応次第で、リスクにもなれば、アドバンテージにもなるという証左ともいえましょう。
サステナビリティ・マインド
![]() |
個人も企業も、『サステナビリティ・マインド』を備えることで、生活やビジネスのクオリティが向上する時代です。サステナビリティ・マインドとは「サステナビリティ的モノの見方・考え方」であり、時代の襞(ひだ)を読み解く力となります。
ソロでもコーポレートでも、一人ひとりがサステナビリティ・マインドを備え、『らしさ』を意識しながら、『要請や期待』に応えることが、サステナブル・ブランディングの要諦です。時代と調和し、時代を味方につけたセルフブランディングやコーポレートブランディングにつながります。

細田 悦弘 (ほそだ・えつひろ)
公益社団法人 日本マーケティング協会 「サステナブル・ブランディング講座」 講師 一般社団法人日本能率協会 主任講師
1982年 中央大学法学部卒業後、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン) 入社。営業からマーケティング部門を経て、宣伝部及びブランドマネジメントを担当後、CSR推進部長を経験。現在は、企業や教育・研修機関等での講演・講義と共に、企業ブランディングやサステナビリティ分野のコンサルティングに携わる。ブランドやサステナビリティに関する社内啓発活動や社内外でのセミナー講師の実績豊富。 聴き手の心に響く、楽しく奥深い「細田語録」を持ち味とし、理論や実践手法のわかりやすい解説・指導法に定評がある。 Sustainable Brands Japan(SB-J) コラムニスト、経営品質協議会認定セルフアセッサー、一般社団法人日本能率協会「新しい経営のあり方研究会」メンバー、土木学会「土木広報大賞」 選定委員。社内外のブランディング・CSR・サステナビリティのセミナー講師の実績多数。 ◎専門分野:サステナビリティ、ブランディング、コミュニケーション、メディア史 ◎著書 等: 「選ばれ続ける会社とは―サステナビリティ時代の企業ブランディング」(産業編集センター刊)、「企業ブランディングを実現するCSR」(産業編集センター刊)共著、公益社団法人日本監査役協会「月刊監査役」(2023年8月号) / 東洋経済・臨時増刊「CSR特集」(2008.2.20号)、一般社団法人日本能率協会「JMAマネジメント」(2013.10月号) / (2021.4月号)、環境会議「CSRコミュニケーション」(2010年秋号)、東洋経済・就職情報誌「GOTO」(2010年度版)、日経ブランディング(2006年12月号) 、 一般社団法人企業研究会「Business Research」(2019年7/8月号)、ウェブサイト「Sustainable Brands Japan」:連載コラム(2016.6~)など。