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  • 公開日:2022.06.27
  • 最終更新日: 2025.03.28
サステナビリティとESG経営 3社が進めるSXとは

松島 香織 (まつしま・かおり)

竹田氏、稲継氏、五十嵐氏、田中氏 (左から時計まわり)

気候変動が深刻化し、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックによりサプライチェーンが寸断されるなど、企業にとっては不確実な要素が高まっている。そうしたなか企業は、自社の事業継続だけでなく社会の持続可能性をも中長期の時間軸で考えることが求められるようになった。企業経営はこうした「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」へ向かわざるを得ないのではないか――。カシオ、ブリヂストン、三井住友フィナンシャルグループが取り組みと課題について議論した。(松島香織)

ファシリテーター
田中信康・サステナブル・ブランド国際会議 ESGプロデューサー
パネリスト
五十嵐和典・カシオ計算機 ESG・総務部 サステナビリティ推進室 室長
稲継明宏・ブリヂストン Gサステナビリティ部門 部門長
竹田達哉・三井住友フィナンシャルグループ 企画部 サステナビリティ推進室 室長

カシオは1990年代から環境経営を定着させ、CSR経営、ESG経営へと変化させてきた。経営会議から独立したサステナビリティ委員会を設置し、社内の一部で取り組んでいたサステナビリティを全社の経営課題と位置付け、2010年に国連グローバル・コンパクト、2021年にSBT認定を取得、RE100にも加盟した。こうした国際イニシアティブに参加したのは、取り組みの本気度を表したものだとサステナビリティ推進室長の五十嵐和典氏は説明した。

五十嵐氏は、今後のサステナビリティの社内推進について、「行動力があり、方針を掲げると一気に取り組みが進むのが当社らしさ。時間軸を持って、繰り返し繰り返し浸透させていく」と語った。

ブリヂストンはサステナビリティを経営の中核に据えている。サステナビリティと企業文化、事業戦略、事業活動を統合し、顧客価値を創造してビジネスにつなげると同時に社会的価値も創造し、両立しながら競争優位につなげていくことで、パートナー・顧客と共に成長することを目指している。Gサステナビリティ部門長の稲継明宏氏は「カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを手段の一つとしてビジネスモデルに組み込み、どのように価値を生み出していくのか、サステナビリティとの統合においても重要なポイントだ」と話した。

また「サステナビリティの推進は、どうわかりやすく相手に伝えるかがカギであり、しっかりやらないと次につながらない。トップダウンだけでは難しい」と企業文化にしていく重要性を強調した。さらに「社会の変化を自社の戦略にどう落とし込んでいくか、規制が決まってからというよりも、先読みして実際の活動に落とし込み、価値として伝えることが重要」だとした。

三井住友フィナンシャルグループでは、太田純社長が、年頭メッセージで「2022年は、経済的価値の実現を目指すとともに、気候変動をはじめとするサステナビリティへの対応を加速して、社会的価値を高めていく1年にしたい」と表明した。このメッセージは投資家だけでなく、ステークホルダー、社会へ向けたものであり、大きな意味をもつとサステナビリティ推進室長の竹田達哉氏は考えている。つまり、社会的な価値を創造できないと社会から評価されず、ビジネスを続けていけないというサステナビリティの重要性を語っており、これこそSXだと思ったという。さらに、同社は従来の金融機関の事業にとらわれず、温室効果ガス排出量可視化ツールを自社で開発し、削減支援やレポート作成支援サービスを提供するなど事業を拡大している。

竹田氏は、同社も賛同表明するGX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想について紹介した。GXリーグは4月1日時点で440社が賛同しており、全社・団体のCO2排出量は日本全体の排出量の約28%と試算され、脱炭素化の加速が期待されている。

最後に、ファシリテーターの田中氏が「SXのドライバーとなる人的資本の価値をどう上げていくか。また、日本はPBR(株価純資産倍率)が低い。これだけESGを推進しても、非財務価値が尺度として測られていないということではないか」と尋ねた。

稲継氏は「これからはミッションやパーパスといった会社の価値観を共有しながら、従業員とエンゲージメントをし、お互いがお互いを認め合いながら価値を共有していく世界になる。そういう意味で、サステナビリティの文脈やビジョンは非常に重要。エンゲージメントをする上での共通の価値観を立てながら、企業文化を変えていくことが大事だ」、五十嵐氏は「今年度からCHRO(最高人事責任者)を選任した。人的資本の価値向上につながることを期待している」、竹田氏は「日本のメガバンクはPBRが0.5倍。PBRをまず1倍にし、従業員の価値、お客さまとのネットワーク、400年の歴史のあるブランドがあることを正しく評価してもらうことが大事だ」と語った。

written by

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。

アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。

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