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  • 公開日:2022.03.17
  • 最終更新日: 2025.03.28
「女性の活躍とは何か」を探り続ける、企業やスポーツ界のジェンダー平等の現在地

横田 伸治(よこた・しんじ)

大沢氏、小林氏、小椋氏

ジェンダー平等は女性のためなのか。真の目的は何か――。サステナブル・ブランド国際会議2022横浜では、企業やスポーツリーグの女性活躍推進担当者らが、取り組みや課題を互いに開示し、「向かうべき方向はどこなのか」を議論した。(横田伸治)

ファシリテーター
山岡仁美・サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー
パネリスト
大沢遼・豊島 東京二部二課 課長
小椋敦子・コーセー 執行役員 研究所長 働きがい創出実行委員会 多様な働き方分科会リーダー
小林美由紀・日本女子プロサッカーリーグ 理事/理念推進部 部長

「ジェンダー平等を加速する真の女性活躍推進とは」と題されたセッション。まずコーセーの小椋敦子氏が自社の取り組みを紹介。店頭販売員はほぼ女性が占め、新卒社員も女性が男性を上回ることから、「自社の成長のためには女性の活躍促進が必須という課題感があった」と明かす。2017年の取り組み開始以来、▽在宅ワークやジョブリターンなどの制度整備▽マネージャー陣のマインドセット改革をはじめとする風土づくり▽キャリア形成研修の実装などの育成・強化――の3本柱で改革を続けているといい、小椋氏は「女性が働きやすい会社は男性も働きやすい。一人ひとりが輝き、すべての人が最大限にパフォーマンスを発揮できる組織になることが重要」と意義を説明した。

豊島の大沢遼氏はオーガニックコットンの普及プロジェクトである「Hogara」ブランドを紹介。主力商品である女性向けの吸水ショーツは、同社の女性社員が海外出張時に経験したサニタリー面の課題感が発想の出発点だといい、「社内アンケートを通し、このブランドによって女性社員のエンゲージメントが高まったことが分かった」と手ごたえを語る。現在はクラウドファンディングや全社展示会への出店などを通してブランドの存在感が増し、「フェムテック市場に会社として挑む」とビジネス面でも軌道に乗せる覚悟を示した。

2021年9月に初めて開幕した日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ:ウーマン・エンパワーメント・リーグ)の小林美由紀氏は、同年に開催された東京オリンピックを例に、「選手の男女割合は同じでも、指導者は男性主体で75%を占めている」と指摘。WEリーグでは、参入条件として、クラブ役職員の50%を女性とするなど、コーチングスタッフや役職員の女性人数・比率を定める。さらに、試合以外の活動としては選手自身がスポンサーと共にスポーツ界のジェンダーの課題をリストアップするミーティングを開催し、約200の課題が浮かび上がったという。小林氏は「サッカー選手が少女たちの夢の職業の一つになることを目指す。そうなれば、一人ひとりが輝く社会になるのではないか」と話した。

セッションのファシリテーターを務めた山岡仁美プロデューサーは冒頭で「ジェンダーを『男性と女性』で考えがちだが、それが固定観念を生む」と指摘していた。後半のクロストークでは、女性活躍の在り方を型にはめてしまう危険性について意見が交わされた。小椋氏は「マネージャーとしてステップアップすること以外にも開発・デザイン面で能力を生かすなど、色んなキャリアがある。しかし、そもそも女性は自分のキャリアをしっかり考える機会が少なかった。それを考えられるように取り組んでいる」、小林氏は「女性選手は『私はサッカーしかやっていない』と自己肯定感が低い。エンパワーのパワーとは『自分の強みのこと』で、それを出して輝くことが大事。政界に入るとかキャプテンになるようなことが全てではない」、大沢氏も「制度を導入しても、実行するのは現場。他の企業やコミュニティの施策を共有する場が欲しい」と垣根を超えた継続議論の必要性を訴えた。

written by

横田 伸治(よこた・しんじ)

東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、サステナブル・ブランド ジャパン編集局デスク・記者。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。

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