• ワールドニュース
  • 公開日:2021.05.27
  • 最終更新日: 2025.03.14
米国でサステナビリティ部門の最高責任者が急増、女性が半数を占めるも人種の多様性に課題

サステナビリティやESG分野に特化した人材紹介企業「ワインレブ・グループ」(米サンフランシスコ)の新たな報告書によると、米国では2011年からの過去10年間でサステナビリティ部門の最高責任者CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)の数が3倍以上になり、とりわけ2020年は大幅に増加した。CSOの役職に就いている女性の割合は2011年の24%からほぼ2倍になり、現在では54%を占めている。しかし、人種では依然として圧倒的に白人が占める割合が高く、人種的多様性が課題だ。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

ワインレブ・グループ(Weinreb Group Sustainability and ESG Recruiting)は今月、米国でCSOの役職を設置する企業が急速に増えていることを明かした。発表した報告書では、米国で影響力のある95人のCSOのリストと調査への回答内容が紹介されている。95人のCSOは気候変動や資源の枯渇をはじめ、最近では経済的不平等や制度的人種差別にいたるまで、同国の大手企業が取り組む必要のあるあらゆる課題の解決に着手している。

フォーチュン500社の情報に基づき作成されたレポートによると、2020年に初めてCSOを採用した企業は、過去3年間の合計よりも多かった。同年に初めてCSOを採用した企業は31社に上る。CSOの役職に就く人の数は、2011年にわずか29人だったが現在では95人。10年間で228%以上増えた。CSOは企業が地球環境に及ぼす影響に対処するだけでなく、社会正義の問題に取り組み、支援する方法を考え、具体化する役割も担っている。

CSOの任命数の推移
女性CEOが占める割合の推移

ワインレブ・グループのエレン・ワインレブCEOは、「この1年は、新型コロナウイルスだけでなく、社会正義や気候変動、広がり続ける政治的分断に新たに注目が集まるなど、数十年の間でも最も壊滅的な年だった」と振り返る。報告書は、こうした潮流がビジネスや社会、経営幹部にどのような影響を与えたかを考察した内容となっている。CSOは、企業がこうした社会的課題にどのように取り組むかを決定する上で、ビジネス界で最も力のある立場にある。

今回の報告書は、2011年にワインレブ・グループが初めて発行したCSOに関するレポートから10年経過して行ったフォローアップ調査だ。米国の上場企業に勤め、CSOの肩書を持つリーダーの情報に基づいて作成した。

今回のレポートでは以下のようなトレンドが明らかになった。

●CSOが抱えるチームは拡大しているが、責任は分散する傾向にある。サステナビリティのチームは拡大しており、チームの平均人数は2011年の5人から現在は15人に増加。企業のリーダーシップヒエラルキーの中で、CSOはかつてのようにCEOの近くにいるわけではないが、約7割のCSOが月1回または週1回、定期的にCEOと面会している。

●CSOの後任は保証されていない。一部の企業ではCSOのポジションを完全に廃止し始めている。実際、CSOが退任した企業のうち33%はCSOを交代させていない。理由として考えられるのは、まず本人が昇進するなどして別の役職に就く場合がある。さらに、CSOが計画を立て、課題分野を定義するなど「ビルダー」としての役割を十分に果たしたことで、会社にサステナビリティが深く浸透し、他の役員などがそれぞれリーダーシップをとってサステナビリティ課題に取り組めるようになった場合もある。そのほかの可能性は、CEOが変わりサステナビリティの優先順位が変わることが挙げられる。

●女性は増えたが人種的な多様性はない。CSOの役職に就いている女性の割合は2011年の24%からほぼ2倍になり、現在ではCSOの54%を女性が占めている。しかし、ジェンダーバランスや社会正義への関心の高まりにも関わらず、CSOの役職に就く人は圧倒的に白人が多い。

●CSOの役割は進化し、拡大している。多くの企業がESGの「E」だけでなく「S」にも注目するようになっており、それに伴いCSOの役割も拡大している。さらに、企業では、従来の意味でのジェンダー平等への取り組みが進み始めている一方で、真にインクルーシブな職場、あるいは真にインクルーシブで持続可能な社会においては、人種的公平性とジェンダーをスペクトラム(性スペクトラム:男女は単純に二分化できるものではなく連続的なもの)として受け入れるという、この両方が育まれなければならないという認識が高まっている。また従業員向けプラットフォームを運営する「WeSpire」(米ボストン)が発表した調査で、企業のDE&I(Diversity, Equity and Inclusion:ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)への支持や従業員の関心は高まっているにも関わらず、DE&Iを浸透させる社内プログラムが2020年は2019年比で35%減少したことが分かった。こうした状況を踏まえると、CSOを含めビジネス界がDE&Iを実行していくためにやるべきことがまだ他にもあることが分かる。

SB.com オリジナル記事へ

Related
この記事に関連するニュース

平等、人権のすべては家から始まる――イケアが日本で産官学のコラボアクションを進めるわけとは
イケア・ジャパン
2024.10.24
  • インタビュー
  • #人権
  • #ダイバーシティー
多様性を重視した「インクルーシブな広告」は、ブランド価値と業績を向上させる――国連女性機関、オックスフォード大学、企業が初の実態調査
2024.10.23
  • ワールドニュース
  • #ダイバーシティー
マイノリティが理由を問われることなく、当然に存在する公正な社会を目指して 一般社団法人fair松岡宗嗣 代表理事
2024.10.22
  • インタビュー
  • #ウェルビーイング
  • #人権
  • #ダイバーシティー
持続可能な生理用品「月経カップ」を普及させるには? 立命館大らプロモーション戦略を提案
2024.08.06
  • ワールドニュース
  • #ウェルビーイング
  • #ダイバーシティー

News
SB JAPAN 新着記事

水素を活用する社会の実現へ ホンダが進める多元的で多面的な取り組みとは
2025.04.03
  • ニュース
  • #リジェネレーション
自社の歴史から学ぶ、人の感動起点の製品開発とサステナビリティ
2025.04.02
  • ニュース
  • #リジェネレーション
米国の現状から何を学ぶべきか、「リジェネレーション」の可能性とは――米SBの創設者とCEOが語る
2025.04.01
  • ニュース
  • #リジェネレーション
SB-Jの発行元がSincに移行――サイトリニューアルでコンテンツを一層充実へ
2025.04.01
  • ニュース

    Ranking
    アクセスランキング

    • TOP
    • ニュース
    • 米国でサステナビリティ部門の最高責任者が急増、女性が半数を占めるも人種の多様性に課題