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  • 公開日:2021.05.20
  • 最終更新日: 2025.03.06
政府の2兆円脱炭素基金、18のプロジェクトからまず水素関連の公募開始

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

ロンドンでは全てのバスをゼロミッションにするという目標の下、水素燃料バスが早くから普及している 写真:Sludge G

経済産業省は、総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業(以下、脱炭素基金)の支援候補として定めた18のプロジェクトの中からまず、総額3700億円となる水素関連事業の支援について公募を開始した。基金は、脱炭素社会の実現に向けて革新的な技術開発に取り組む企業を支援するためのもので、10年間継続して企業を支援する。想定されるプロジェクトは、洋上風力発電、次世代蓄電池の開発から食料・農林水産業のCO2削減まで幅広く、2050年排出実質ゼロに向けて対応の加速化が必要な領域に重点的に投資する。 (環境ライター 箕輪弥生)

洋上風力、蓄電池、EVなど18の分野で脱炭素を進めるプロジェクトを支援

昨年末に菅総理が創設を表明した脱炭素基金が早くも具体的に動き出した。5月18日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は脱炭素基金を用いて支援する水素関連プロジェクトに関する公募を開始した。

水素の製造から輸送、発電までのサプライチェーンを構築する事業に3000億円(上限)、再エネ等由来の電力を活用したいわゆる「グリーン水素」の製造に700億円(同)を支出する。

水素は直接的に電力分野の脱炭素化に貢献するだけでなく、再エネなどの余剰電力を水素に変換して貯蔵して利用できることから、昨年末に策定したグリーン成長戦略でも重点分野の一つに位置づけられていた。

脱炭素基金で2021年度上半期に開始を想定しているプロジェクトは以下のようなテーマだ。

2021年4月6日経産省「グリーンイノベーション基金事業の今後の進め方について」より

研究開発プロジェクトの予算規模がおおよそ200億円以上で、収益事業を行う企業などが実施しているプロジェクトが支援対象となる。ただし、新たな産業を創出する可能性のあるベンチャー企業などは予算規模を下回る小規模プロジェクトであっても検討する可能性がある。

脱炭素基金の実施については、経産省が外部の専門家を含む「グリーンイノベーションプロジェクト部会」や「分野別ワーキングチーム」の意見を調整して各プロジェクトの企画を行い、NEDOが公募や資金の運用を行う。

EU、米国は200兆円超えのグリーン投資を推進

海外でも同様の基金や投資が決定している。脱炭素化で世界をけん引するEUでは 、気候変動対策を産業戦略としてとらえており、景気刺激策としてカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進している。コロナショックからの復興も目的として7500億ユーロ(約90兆円)規模の基金に、昨年1兆743億ユーロ(約129兆円)の「次期MFF」(次期多年次財政枠組み)の追加予算を加え、「グリーン」や「デジタル化」の推進を通して経済再建を目指している。

一方、気候変動対策を重要課題に位置付ける米国のバイデン大統領は2兆ドル(約220兆円)を超える巨額のインフラ投資の中から電力の脱炭素化やEV化・蓄電池の推進、ビルや住宅の断熱推進など脱炭素に向けた環境政策を進める。

2兆円の脱炭素基金は動き始めたものの、世界を見るとEUや米国に比べて日本の予算規模は大きく異なる。政策や削減効果では先を行く欧州や、雇用や経済政策の中心施策として本気で脱炭素を進める米国と同様に脱炭素化を進められるかどうか、2030年までの実効性が問われている。

written by

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。

東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。 著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。 http://gogreen.hippy.jp/

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