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  • 公開日:2020.07.23
  • 最終更新日: 2025.03.14
ブルーエコノミーに乗り出そう 民間セクターの力で海はきれいになる――トム・ザッキー テラサイクルCEO

Image credit: TerraCycle

米テラサイクル・グローバル財団は、プラスチックの海洋流出を止めるために、流出経路の河川にプラスチックごみを収集する装置「リバー・トラップ」を設置する取り組みを進めようとしている。(翻訳=梅原洋陽)

世界的に公共セクターによるリサイクルの仕組みは存在しているが、それも減少傾向にある。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大によって、これまで以上にリサイクルできない製品や梱包材が増えてきている。「リサイクル性の高い」商品すら、リサイクルされずに見逃されてしまっているのが現状だ。世界の人口が増え、モノで溢れかえる中、せいぜい地方自治体の廃棄物管理者に回収され、燃やされ、埋められているのが現状だ。それ以外のものはポイ捨てされ、中には海に流出してしまうものもある。

さまざまな努力にも関わらず、毎日1分間にゴミ収集車1台分相当のプラスチックが海に流出している。そしてこうしたプラスチックのうちの80%が、陸地から河川などの小さな水路を経由して流入しているのだ。このような傾向は、経済的な資源がなく施設が不足している地域において特に顕著にみられる。

政府や地方自治体の動きが遅い地域では、民間セクター(営利組織、非営利組織、NGOなど)が短期的にも長期的にも最も影響力を持っている。すべてのステークホルダーや地域のコミュニティを動員した健全な「ブルーエコノミー(海洋経済)」を維持するために、民間セクターは迅速に動き出すことができるはずだ。

テラサイクル・グローバル財団は、ペプシコ財団の支援によって2018年に公共的慈善事業として設立された。地域の人々や組織を巻き込み、そして後押しする形で、海洋ゴミや世界の水路で見つかるプラスチック廃棄物を削減していくことを目指している。

東南アジアで海洋プラスチック汚染に取り組む

タイにも支部を設立することができた。同国の海洋プラスチック汚染に取り組む地元の独立非営利組織として活動を行っている。6月8日には、バンコクで行われたタイ政府の海洋沿岸資源局主催の国連世界海洋デーのイベントに参加できた。

今年の世界海洋デーのテーマは、私たちの取り組みにまさにぴったりで「持続可能な海のためのイノベーション」だった。イノベーションという言葉は往々にして問題解決のために作られたり、改良された技術や機械、物理的な道具といったものを連想させる。しかし、セクターを超えて行動を生み出し、価値を創造するシステムや新たなプロセスといったものもイノベーションに含まれる。さらに、それらは結果として海洋資源のより持続可能的な利用へと繋がる。

現在、海洋経済の年間総生産額は2.5兆ドル(約270兆円)に達しているが、人間の活動によって生じる海洋への被害額は2050年までに毎年4280億ドル(約46兆円)に達する可能性がある。このままでは、あらゆる地域社会の住居や観光・漁業などのビジネスの発展を後退させるだけでなく、人間の活動が海洋汚染や廃棄物の世界的課題の要因になってします。

適切な海洋廃棄物除去装置を提供し、包括的・効果的な分別リサイクルシステムと連携させることで、タイの住民は地元の自治体の支援を得て、海洋プラスチックゴミを減らせるようになる。テラサイクル・グローバル財団は回収した材料の効率的で費用対効果の高い利用方法を提供する。例えば、主要ブランドの一次包装や道路や建設資材などに利用する。

財団では今、独自に設計した河川用プラスチック捕獲トラップを導入しようとしている。大量の浮遊廃棄物の主な原因になる行動を変えていくことを目的にしたアウトリーチ戦略に取り組み、活動を行う地域内の人口密度が高い、低所得層の運河近くのコミュニティにも参加してもらおうと考えており。

ペプシコ財団の支援のおかげで、タイでの活動規模を広げ、他の東南アジア市場にも進出することができそうだ。次の国はインド。その立ち上げに向けて準備を進めている。インドでは、ゴミの回収率を高めるために、公正な賃金、道具、備品、そして健康面や安全面でのトレーニングなどを提供し、民間のゴミ回収者のネットワークを束ねていこうと考えている。

民間セクターは、公共セクター(政府)と共同イニシアティブを推進することで、水中のプラスチック汚染の解決に着手することができるし、そうして取り組んでいかなければならない。ビジネスがもたらす悪影響を拡大しつづけると、死んだ川と海だけが残されてしまうだろう。テラサイクル・グローバル財団のような民間セクターは、より健全な海洋を目指し、保全活動を拡大し、すべてのステークホルダーに価値をもたらす機会を提供することができるのだ。

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