• 細田 悦弘
  • コラム
  • 公開日:2020.06.17
  • 最終更新日: 2025.03.02
第13回 営業のためのサステナブル・ブランディング入門(2)

細田 悦弘  (ほそだ・えつひろ)

コロナ禍によって、「変化への対応力」が企業の競争力をいかに左右するかが鮮明になったのではないでしょうか。変化に対応できる組織風土、しなやかに時代を味方につける営業活動が強く求められています。そのキーワードは、「社会性」といえましょう。

コロナが試す、「変化への対応力」

新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の事業環境を劇的に変えました。経験したことのない困難に直面し、あらためて持続可能性を高める経営が問われています。その軸となるのが、「変化への対応力」です。いつの時代にも、磐石な経営基盤を確保しつつ、あらゆる変化に柔軟に対応していくことこそが、サステナブルな企業の競争優位の源泉です。

営業の現場ではきわめて過酷な制約下におかれ、とりわけ緊急事態宣言後は対面の商談はほぼ断念せざるを得ない状況となり、オンラインのコミュニケーション等を余儀なくされました。緊急事態宣言は解除されたものの、暫くは対面の商談を避けるなどの制限は続き、Web会議、電話・メール等、オンラインのコミュニケーションは定着していくものと予想されます。

「これでは営業にならない」という悲観的な声も聞こえてきますが、「非接触」「遠隔化」に関わる社会的ニーズの高まりを受け、デジタル化を一気に加速させ、効率化と新たな商機に結びつける手ごたえを感じておられる方も多いのではないでしょうか。「衛生」、「リモート」、「働き方改革」などは、新しい価値創造のキーコンセプトとなっています。

ここにきて、「変わったところ、変わろうとしているところ、そうでないところ」が明白になってきているようです。「今どき、そんなことをしているのか」「今どき、そんなこともしてないのか」と、社会から烙印を押されてしまうと組織存亡の危機にさらされるといっても過言ではありません。『当たり前』が当たり前でなくなった世の中にしなやかに対応し、いかに存在意義を発揮するかが問われています。

withコロナとwith社会性

コロナ禍を経験し、時代の価値観は大きく変容しました。 withコロナ時代に企業が経済活動をするに際して、ぜひとも兼ね備えなければならい要素が「社会性」(with社会性)です。ここにきて、社会的な文脈の中でいかに生活者の共感を呼ぶ企業であるかが問われるようになりました。ブランドを語る上では、自社商品が社会に生み出す新たな価値(社会的価値)づくりのストーリーが大事です。財務的側面だけではなく、社会的な文脈のなかで企業価値を感じてもらうことが必要です。

ブランドに磨きをかける「社会性」

一般に、ブランドの条件として、「卓越性」「独自性」「伝説性」「公知性」の4つが挙げられますが、時代の変化への対応をおろそかすると、ブランドは錆びます。ブランドは老けます。そのために、時代にふさわしく磨きあげ精緻化(リファイン)する5つ目の要素が「時代性・社会性」です。すなわち「サステナビリティ」です。「時代性」とは、時代の変化を捉え、それに応じることであり、「社会性」とは、社会の一員であるにふさわしい資質を備え、存在意義を認められることです。

営業部門においても、このような変化をどのように捉え、日々の活動に「社会性」を取り入れるべきかがアドバンテージとなります。「社会性」は、経営戦略や営業活動において、急速に標準化してきています。

企業は社会とともに発展する

企業は、「社会」や「地球環境」を前提に存在しています。健全な社会や地球なくして、持続的な企業活動を実現することができないのは、今回のコロナ禍で身に染みることになりました。

これまでの企業は、「経済性」を主眼として評価されがちでしたが、これからは「社会性」によって、社会から一目置かれる存在となります。そして、自分たちしか生み出すことができない排他的(exclusive)な価値と、自社ならではの役割をいかに果せるかが肝となります。それが、サステナビリティ時代の企業ブランド力です。これによって、営業パーソンが業績(数字)に加え、質的にも誇り・活き活きと活動できるモチベーションにつながるでしょう。

ウイズ・コロナ時代の企業ブランディングのニューノーマルは、「サステナブル・ブランディング」です。

written by

細田 悦弘  (ほそだ・えつひろ)

公益社団法人 日本マーケティング協会 「サステナブル・ブランディング講座」 講師 一般社団法人日本能率協会 主任講師

1982年 中央大学法学部卒業後、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン) 入社。営業からマーケティング部門を経て、宣伝部及びブランドマネジメントを担当後、CSR推進部長を経験。現在は、企業や教育・研修機関等での講演・講義と共に、企業ブランディングやサステナビリティ分野のコンサルティングに携わる。ブランドやサステナビリティに関する社内啓発活動や社内外でのセミナー講師の実績豊富。 聴き手の心に響く、楽しく奥深い「細田語録」を持ち味とし、理論や実践手法のわかりやすい解説・指導法に定評がある。 Sustainable Brands Japan(SB-J) コラムニスト、経営品質協議会認定セルフアセッサー、一般社団法人日本能率協会「新しい経営のあり方研究会」メンバー、土木学会「土木広報大賞」 選定委員。社内外のブランディング・CSR・サステナビリティのセミナー講師の実績多数。 ◎専門分野:サステナビリティ、ブランディング、コミュニケーション、メディア史 ◎著書 等: 「選ばれ続ける会社とは―サステナビリティ時代の企業ブランディング」(産業編集センター刊)、「企業ブランディングを実現するCSR」(産業編集センター刊)共著、公益社団法人日本監査役協会「月刊監査役」(2023年8月号) / 東洋経済・臨時増刊「CSR特集」(2008.2.20号)、一般社団法人日本能率協会「JMAマネジメント」(2013.10月号) / (2021.4月号)、環境会議「CSRコミュニケーション」(2010年秋号)、東洋経済・就職情報誌「GOTO」(2010年度版)、日経ブランディング(2006年12月号) 、 一般社団法人企業研究会「Business Research」(2019年7/8月号)、ウェブサイト「Sustainable Brands Japan」:連載コラム(2016.6~)など。

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