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株式投資の運用にESG情報を組み込む手法「ESGインテグレーション」を行うインベストメントマネージャーを決める上で、重要なステップを紹介したい。(翻訳=梅原洋陽)
サステナブル投資に万能なやり方は存在しない。企業が持続可能になる方法が多数あるように、投資家がサステナブル・ポートフォリオを築く方法もさまざまである。しかし、1つ重要なことがあるとすれば、企業がサステナビリティを追求する時と同様に、インベストメントマネージャーを選択する時に重要なのも全体的なアプローチをとることである。
それぞれの企業のサステナビリティへの取り組み方法が異なるため、インベストメントマネージャーは、各企業の立場に基づいて投資機会を吟味していく必要がある。その業界におけるサステナビリティとは何なのか、環境、社会、ガバナンスの観点から、彼らは企業の取り組みを検討する。
ESGの要因を効果的に分析できるインベストメントマネージャーの見つけ方は、これと似たようなものだ。デューデリジェンス(詳細な調査・適正評価)の過程では、投資における哲学や踏むべきプロセスへの理解、そしてESGに関する要因を、インベストメントマネージャーが効果的に投資決定に結び付けているかを理解する必要がある。
この最初の絞り込みをクリアしたインベストメントマネージャーのみが、次のステップに進むことができる。インベストマネージャーが、マネージメントメンバーに会わずに会社を評価できないように、デューデリジェンスを行う際には、投資チームに会う必要がある。これらの要素を合わせて、アセットオーナー(機関投資家)が、インベストマネージャーを選ぶときにすべき準備手順がある。
1. ゴール(目標)を決定する
アセットオーナーには、第一に答えを考えるべき質問がある。つまり「ゴールは何か?」。これはESG統合に関するあらゆる事柄を考え、さまざまな観点から検討すべき質問だ。資産の種類、特定の規範に基づくポートフォリオ(国連のSDGs等)、特定のESGテーマや、特定の領域を排除した投資(化石燃料不使用等)などがある。
アセットオーナーが設定したゴールは、投資方針に組み込まれ、インベストマネージャーにとっての投資対象の選定基準になる。
2. リサーチをする
ESG投資をする際のデューデリジェンスの手順では、さまざまなリサーチや投資プロセスの理解、そしてインベストマネージャーと顔を合わせて打ち合わせをすることで以下を確認することができる。
・ESG要因が投資プロセスの一環と見なされているか。
・インベストマネージャーが、業界や企業によって重要な要素が異なることを理解しているか。
・インベストマネージャーのとるプロセスが信頼のおけるものなのか。
国連の責任投資原則は、デューデリジェンスに関する詳細な原則をウェブサイトに掲載している。そして、資産の種類によって、異なる検討事項があることを強調している。
例えば、10年塩漬けの不動産を扱うマネージャーのデューデリジェンスと、流動債権を担当するマネージャーが国債に投資するのに行うデューデリジェンスは異なる。
例えば、長期の不動産ポートフォリオでは、ある地域の海面上昇を考慮することが必要だろう。一方で、流動債権を扱う際は、グリーン・ボンドがどのように評価されるかを理解することは欠かせない。
3. 厳しい質問をする
インベストマネージャーを選択する際には厳しい質問をしなければならない。インベストマネージャーはただ、ESGインテグレーションを行なっているという事実だけで投資を勧めてくるかもしれない。重要なことは、ESGインテグレーションのプロセスの中で、さまざまな要因を検証し、実体のある形にまとめていることである。
多くの企業は定期的にESGに関する情報を公表せず、企業の良い行いとは何なのかがそもそも確立されていないため、資産運用会社がどのようにこれらの課題と向き合っているかを知ることは、良い投資管理者を探す上で重要である。
アプローチが正しいかを知るためには、いくつかの質問をしてみると良い。
1.ESG分析を投資プロセスに組み込んでいるか。もしそうであるなら、どのように行なっているか。
2.なぜそれらの特定の要因を考慮するのか。
3.持続可能性やESG要因を投資プロセスに取り入れ始めてどれくらいになるのか。取り入れ方や考え方はどのように変化してきたか。
4.責任投資をする上で、第3者のサービスは活用しているのか。それとも自分の分析だけか。
5.ESGインテグレーションのインパクトを測定しているか。
6.ESGに関する課題のマネージメントや、取締役などとして、企業に関与しているのか。
7.代理投票のガイドラインはなにか。どのように履行されていることを保証するのか。
8.ESGに関する事柄で、企業と上手く関わっている事例があるか。
企業のESGに対するアプローチを効果的に測定することで、アセットオーナーはその企業のESG関連のリスクや、企業がチャンスを適切に扱っているのかが分かる。マネージメント界の偉人であるピーター・ドラッカーは、「測定できるものは、管理される」と言った。
ESGインベストマネージャーを評価する方法は、ESGファンドマネージャーが企業を評価する方法にそっくりだ。リサーチを行い、マネージメントチームに直接会いに行き、厳しい質問を投げかけることで、本当にサステナブルな事業モデルを持っている真のESGインベストマネージャーを見つけることができる。