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SDGs(持続可能な開発目標)のゴール5は、Achieve gender equality and empower all women and girls (ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る)であり、明確に「女性」「女の子」と明記されています。
ジェンダーとは、そもそも生物学的性別ではなく、社会的・文化的に形成された性別のこと。男性・女性のそれぞれの社会的役割を広義に観れば、男性はビジネスや社会の第一線で持てる力を発揮し、女性は家族やコミュニティのために貢献するということだったのでしょう。しかしながら、それがいつしか、女性自身の素養を蔑ろにしかねない、早期の結婚・出産や限られた領域での労働、権利や権限の制限などが当たり前とされるようになりました。
これでは、SDGsの根幹「誰ひとり取り残さない」の実現には到底ならず、誰もが一枚岩で持続可能な社会を築くこともできないのです。
とある自治体では、女性による女性のための女性活躍推進宣言が行われ、某メディアのイベントでは女性が一同に会し、スローガンで女性をマイノリティと言うのはやめようと提言。ある団体の全国女性部会では、役員一新の際に引き続き女性のみで構成し、G20でのエンゲージメントグループの一つである市民組織の国際ネットワーク「C20」での提言も、大半が女性の権利やポテンシャルを訴求する方向性です。こうした例にみるように、ジェンダー=女性活躍推進という風潮が強いことに違和感をもっています。
もちろんSDGsの側面からも、ダイバーシティ&インクルージョンの側面からも、女性活躍推進は取り上げるべきイシューでありソリューションが必要です。しかしながら、上記に散見されるような取り組みに躍起になっているばかりでは、真のジェンダー平等の実現にはならないのではないでしょうか。
女性が声を挙げる、問題提起する、行動を起こす場はとても重要です。しかしながら、その場の大半が女性だけで構成されることが多いうちは、Achieve gender equality and empower all women and girls (ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る) への試金石にしかすぎません。
今春、P&G傘下のジレットのCM動画が注目され、賛否両論、炎上をしていた時期もありました。その動画は「男らしさ」の定義に疑問を呈し、すりこまれたジェンダーバイアスを問うものでした。
そもそもの、女性の中のジェンダーバイアスを払拭することが必要なのです。昨今、LGBTやスペシャルニーズであっても、もはや、マイノリティという解釈から変容しつつあります。女性自身が女性の中で問題提起やチャレンジをする、イノベーションを起こすことをひとつの通過点としながら、本当の意味で「誰ひとり取り残さない」社会の実現へと逞しくもしなやかに邁進することを願っています。

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)
グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。