![]() ©スウィーツ・アンカバード
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長年にわたり含有糖分を明確に表示し、消費者の信頼を得ている米国のスナックバー・ブランドがこのほど、国内の同種の他社製品に含まれる糖分をはじめとする甘味料についての情報をウェブ上で公開した。同時にニューヨークでは拡張現実(AR:注1)を取り入れたインスタレーションを展示。作品を通じて、人気商品に使われている多種にわたる甘味料を紹介し、警鐘を鳴らした。他社にも製品に用いる糖分削減に努めるよう求めている。(翻訳=クローディアー真理)
カインド・ヘルシー・スナックス(本社・ニューヨーク)の指摘によれば、スナックバーやヨーグルト、シリアル、グラノーラは健康的な食品として認知されてきているが、実はデザートやアイスクリームなどのおやつ類と変わらない甘味料が使われているという。例えばスナックバーによっては、その30%以上が砂糖でできているそうだ。
医学誌、『ランセット』の研究では、米国内で販売されている加工食品や飲料の約75%に砂糖もしくは低カロリー甘味料が使われていることがわかっている。市場調査会社、モーニング・コンサルト(本社・ワシントンDC)が行った調査(注2)によると、回答者の41%が食品表示ラベルを読んでも、どの原材料が甘味料かわからないとしている。
カインドを創始したダニエル・ラベツキー最高経営責任者は「現在、出回っている甘味料や砂糖の種類は100以上。消費者にとってわかりにくいのは当然だ。問題は、デザートと変わらない量の糖分が含まれているにも関わらず、人々がヘルシーだと信じている点。消費者は、自分が何を食べているか知ってしかるべきだ」と、同社の今回の動きを説明する。
![]() ©カインド・ヘルシー・スナックス
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同社のヘルス&ウェルネス専門家、ステファニー・サザール栄養士は、「消費者の甘味料への関心は高まっているものの、食品表示ラベル中のどれが糖分に当たるのかわかっていない。人々の理解を助けるために、データベースには100以上の甘味料・砂糖の名称と説明を掲載している」と説明する。
カリフォルニア州立大学サクラメント校の登録栄養士、ジェニー・ガッザニガ・モルー博士は「添加糖類を甘味料であると見極めるのは難しく、実際国民のほとんどがあらゆる種類の添加糖類を大量に消費している」と指摘。一般人が知っておくべき重要事項として、毎年学生にこのことを教えている」と言う。
カインドの糖分削減運動は、2017年にメニューにある料理や飲料への添加物をすべて排除した、パネラ・ブレッド(本社・ミズーリ州サンセット・ヒルズ)の企業努力をさらに増強させたものといえる。同社では飲料用カップに、オリジナルドリンクや既成のソフトドリンクに含まれる糖分やカロリーを明示することも行っている。パネラ・ブレッドは国内とカナダに2000のチェーン店を展開する、ベーカリー・カフェ兼ファストカジュアル・レストラン(注3)だ。
カインドは栄養成分含有量を包装の表面に記載することを求める市民の署名をまとめ、今回のキャンペーン発表の数週間前にアメリカ食品医薬品局に提出した。現行の規制では、食品に含まれる栄養素の量に主に焦点が当てられ、質をないがしろにしていると指摘する。食品会社によってはこれを悪用し、不健康な商品であるにも関わらず、ヘルシーだと装って販売を行っており、注意が必要だという。
注1:拡張現実(AR):現実世界の物事にコンピュータによる情報を付け加えること。またその世界
注2:この調査はカインドにより資金提供され、2019年2月27日から3月3日の間に2200人の大人に対して行われた
注3:ファストカジュアル・レストラン:ファストフードとファミリーレストランの中間業態