• 山岡 仁美
  • コラム
  • 公開日:2019.02.21
  • 最終更新日: 2025.03.02
第34回:川崎市殿町国際戦略拠点キングスカイフロントから見るウェルビーイングの行方

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

キングスカイフロント

世界最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーションによる新産業創出を目指す「殿町国際戦略拠点 キングスカイフロント」。

それは、ナノ医療イノベーションセンターiCONM、社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーション拠点COINS、慶應義塾大学殿町タウンキャンパスなど、「経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積拠点の形成について先駆的取組を行う実現可能性の高い区域」つまり、国家戦略総合特区のことです。

その中で、私が注視しているのが、Tonomachi Wellbeing Research Campusです。

日本の人口動態は、歴史上の諸外国よりも、超高齢化社会加速度が早く、その課題に向け、「持続的にすべての人のより魅力的な生き方(Wellbeing)」を高め、誰もが健康健全で豊かな生活を実現させるための知見とサービスを生み出すことを目標としたプロジェクトです。

慶應義塾大学はもとより、東京大学、東京工業大学、横浜市立大学、横浜国立大学、東邦大学といった教育機関、富士フィルム、味の素、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ヤマトロジスティックスなどの企業、理化学研究所、国立医薬品食品衛生研究所などの研究機関が複合的に関わり、設備共同利用・融合研究・事業化支援・人材育成という4つの柱を推進する、まさに先駆的取組といえるでしょう。

今現在も学術やテクノロジーの力を掛け合わせ、研究開発に留まらず、多くのカンファレンスやシンポジウムおよび、学び・研鑽の機会を提供し、新たな価値創造や創業を見据えています。

ただ、考察を進めると、設備共同利用・融合研究は、確かに先駆的な取り組みが観られ、事業化支援についても川崎市産業振興団体や神奈川県産業技術総合研究所などが関わり方向性もうかがえる一方で、人材育成については詰めの甘さがあるのではないかと案じています。それは、技術的な研究開発が軸足となっているため、表層的もしくは偏ったWellbeingとしての理解のもと、人材が育成されることになりかねないという点です。

SDGs(持続可能な開発目標)で言えば、Wellbeingは17のゴールの根幹となる前文にも明記されており、さらに言えばその大前提として「誰一人取り残さない」というコアがあるのです。

私たちの未来にも、地球の未来にも、技術を研究開発し、駆使することは欠かせません。しかし、その大前提やコアには、人としての「在り方」が問われるものです。

研究開発を進めるなら、新産業を創出するなら、人としての“あり方”をなおざりにしない、それこそが、Wellbeingへの近道と私は認識しています。

written by

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役

航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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