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  • 公開日:2019.02.08
  • 最終更新日: 2025.03.11
アーモンドが水不足招く? 米農家が持続可能な生産へ

吉田 広子(よしだ ひろこ)

日本でも人気が高まっているアーモンド

栄養価の高さから、日本でも健康・美容食として人気が高まっているアーモンド。米カリフォルニア州は、世界のアーモンドの80%を生産している。だが、1粒を生産するのに約4リットルの水が必要とされ、水不足に悩む米カリフォルニア州では、過度な灌漑が批判の対象になっていた。そうしたなか、カリフォルニア・アーモンド協会は、2025年までに水使用量を20%削減するという新たな目標を掲げた。(オルタナ編集部=吉田広子)

日本のアーモンドミルクの市場規模は、2013年に数億円程度だったのが、2017年には41億円に急成長した(アーモンドミルク研究会)。だが、アーモンド生産における環境負荷についてはあまり知られていない。

約6800のアーモンド生産者・加工業者を代表する非営利組織カリフォルニア・アーモンド協会は1月17日、「2025年に向けたアーモンド農園の目標」を発表。水の使用量削減、廃棄物ゼロ、病害虫管理、大気環境の目標値を定めた。

水の使用量に関しては、「マイクロ灌漑技術」を通じて、すでにアーモンドの生産量1ポンド(約450グラム)あたり33%削減することに成功しているという。さらに2025年までに20%削減することを目標に掲げる。

廃棄物ゼロは、アーモンドの果皮や殻を家畜用敷料、酪農飼料、発電などに利用する。病害虫管理方法は、環境負荷の低い管理方法を25%増やすことを目指している。

大気環境の改善や、アーモンドの受粉に欠かせないミツバチの健康管理にも力を入れていく。

米カリフォルニア州にあるアーモンド農園

カリフォルニア・アーモンドの収穫では、木を揺すって落とした実を日光で自然乾燥させた後、機械で集める時に、粉じんが飛散することがあるという。こうした問題に対処するため、収穫方法を改善し、収穫期に発生する粉じんを50%削減することを目指す。

さらに、カリフォルニア・アーモンド協会は1995年以来、ミツバチの健康に影響をおよぼす5つの主要因への対処を目的として、120件の研究プロジェクトに対し320万ドル(約3億5000万円)を投資してきた。ミツバチの健康に関する継続的な取り組みの一環として、カリフォルニアのアーモンド農家を対象に、「ミツバチの最良管理慣行」と呼ばれる包括的な手法も策定している。

カリフォルニア・アーモンド協会の最高執行責任者であるリチャード・ウェイコット会長は「2025年に向けたアーモンド農園の目標や、ミツバチの健康のような重要分野において協力し、カリフォルニアで末永く農業を営めるよう、最善を尽くして土地を管理し、責任を持って農業を行う」とコメントしている。

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吉田 広子(よしだ ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長

大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。

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