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先のG20ブエノスアイレス首脳宣言では、「本年、我々は、次の柱に焦点を当てた。すなわち、仕事の未来、開発のためのインフラ、持続可能な食料の未来、そしてG20のアジェンダ全体としてジェンダーを主流化する戦略である」との記述が入り、「全ての分野」においてステレオタイプの視点を見直し、マイノリティや女性視点を取り入れることが共同宣言の冒頭に記されており、それは各国首脳が合意した「戦略」と位置付けられていることがうかがえます。
しかしながら、マイノリティ視点やジェンダーを主流化するには、その道のりは険しく奥深いものとなりそうです。なぜなら、キャリア先進国や一部の分野、一部の人や価値観など、表層に留まることが想像しやすいものでしょう。
次回のG20は、2019年6月に大阪で開催されます。日本にとって初のG20開催です。
その場に、アジア太平洋人権情報センター、SDGs市民社会ネットワーク、ACEなど、NGOやNPOなどもメンバーとして参画し、市民社会やビジネスセクターなど、社会の様々なセクターの声を集めて届け、C20(Civil20)が開催国の首脳と対話をする運びとなります。
C20の活動の核が「ジェンダー視点には社会全体を変える力がある」であると、先日聴講したシンポジウムで聞き及びました。市民社会における現状や課題の中にも、まだまだジェンダーフリーが浸透していないことが浮き彫りになっています。
C20が掲げる課題としては、「性の多様性の認識」「男らしさという規範を変えていく努力」「無償労働の認識」「性教育・メンタルヘルスなどの健康問題」「経済的エンパワーメントを促進する社会保障・公共投資」など、マイノリティ視点やジェンダーを主流化する以前の人権や社会課題が多く挙がっています。
各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数は、世界経済フォーラムによれば、日本は0.657で144カ国中114位となっています。健康や教育などの数値は高めですが、特に政治参画の数値が著しく低い状況です。
女性活躍推進や働き方改革と躍起になっているにもかかわらず、このような指数ということは、まさにマイノリティ視点やジェンダーを主流化するにおいて、取り組みが表層に留まっているということになります。言い換えれば、本質的な展開には至っていないと考えられます。
「戦略」、しかも、仕事の未来、開発のためのインフラ、持続可能な食料の未来を創出するのであれば、キャリア先進国や一部の分野、一部の人や価値観に限らず、抜本的には人権や社会問題を解決する大きなパラダイムシフトが必要です。そうでなければ、持続可能とは言えないでしょう。

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)
グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。