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移動可能な個室型授乳室「mamaro(ママロ)」を導入する自治体が増えている。今年2月に長崎県大村市が自治体として全国で初めて導入し、10月の東京都国立市で自治体導入は6件目となる。少子化対策として、安心して子育てができる環境整備が推進されているなか、福岡のベンチャー企業が手がける授乳室ママロは、移動式で手軽に設置できるため、外出時の授乳室不足という課題解消につながる。(辻陽一郎)
ママロの大きさは幅約180 cm、奥行き約90 cm。コンパクトで既存の施設にも設置しやすい点が特長の一つだ。内部にはソファがあり内側から施錠もできるので、周りを気にせず、安心して授乳にオムツ替え、着替えなどを行うことができる。授乳室は男性が入ることができないところが多いが、個室型のため男性も利用可能だ。
国土交通省が2016年に実施した「子ども連れで外出する際の授乳または調乳スペース、おむつ替えスペースの利用等に関するアンケート調査」では、交通施設での授乳または調乳スペース利用についての不便・不満・不安を問う設問(複数回答)で、「授乳スペースがない」が63.7%と最も多くあがった。
授乳室がないことが、外出先での不安につながっていることが読み取れる。子育てバリアフリーのためには、安心して利用できる授乳室が足りない現状がある。
ママロを設置した国立市役所子育て支援課子育て支援係担当者は「授乳スペースとしてカーテンで仕切られた場所はあったが利用が少なかった。子連れで来所する親子が増えていて、個室で安心できる授乳室を導入するに至った」と話した。移動式のため、今後はイベントなどの際に工夫して活用することも検討しているという。
ママロの導入を自治体に推進しているホープ(福岡県福岡市)は自治体に特化したサービスを展開するベンチャー企業。同社広報担当者は「自治体によっては古い施設もあり授乳室がないこともあった。ママロ導入を広げることで子育てをする家庭の支援につなげたい。今後も自治体への導入を全国に展開していきたい」と話した。
辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)
オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。