![]() |
日本国内では、上半期のビールや発泡酒の出荷量が過去最低を更新したと報じられるなど酒離れが進み、各社は苦戦が続いている。酒類業界は、SDGsの「目標6:安全な水とトイレを世界中に」「目標12:つくる責任 つかう責任」などのほか、「目標3:すべての人に健康と福祉を」のターゲット「2030年までに、飲酒などの生活習慣が原因の非感染症疾患(NCD)による早期死亡を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進する」の達成に取り組むことも求められている。
IARDは2013年の創設以来、低年齢の飲酒や飲酒運転の防止、責任ある製造に関する情報開示、有害飲酒を削減するための小売り企業との連携などに取り組んできた。同連盟には、アンハイザー・ブッシュ・インベブやアサヒグループホールディングス、バカルディ、ビーム サントリー、ブラウン=フォーマン、カールスバーグ、ディアジオ、ハイネケン、キリンホールディングス、モルソン・クアーズ、ペルノ・リカールの大手11社が加盟している。
同連盟は毎年、有害な飲酒の防止に関する報告書を発行している。今月6日に発行された報告書によると、加盟企業は商品を販売する国や地域で昨年、331の飲酒運転を防止するためのプログラムを実施し、広告会社との契約の約9割に責任ある飲酒に関する条項を盛り込んでいるという。
環境保護に関しては、カールスバーグが100%生分解性のボトルを開発していることや、アサヒグループホールディングスが製造過程で発生する副産物・廃棄物を100%再資源化していること、同社とキリンホールディングスが共同配送に取り組み、二酸化炭素の排出量の削減に努めていることなどが取り組み事例として挙げられている。
世界のアルコール飲料業界が生産から消費までの過程でもたらす経済効果は約154兆円。報告書では、その影響力を社会に良い影響を与えるために使っていくと宣言されている。
IARDのヘンリー・アッシュワースCEO兼会長は、「NGOや政府など各ステークホルダーとの良好な協力関係のおかげで、取り組みを進めることができた。そうしたパートナーシップを成功させるには、自社が責任ある企業活動を行い、さらにステークホルダーが責任ある活動を行えるよう協力することが不可欠だ。地方、国、世界のどのレベルであってもSDGsを達成するには社会全体が連携する方針が必要。連携を強化することによってNCDの防止に努め、SDGsを達成してきたい」と話している。