福井県鯖江市は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に取り組むため、推進本部を設置したと発表した。同市はまちづくりに地元女子高校生が参画する「鯖江市役所JK課」を設けるなど、女性の活躍に向けて積極的なことで知られる。国連の評価も高く、本年5月31日(現地時間)にニューヨークで行われたSDGs推進会議で市長が演説を行った。同市は推進本部の設置により、女性の活躍や市民の行政参加について、企業や民間団体と連携し取り組みを強化する。(オルタナ編集部=中島 洋樹)
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鯖江市は福井県嶺北地方の中央部に位置している。人口約6万9000人(2018年4月1日現在)、めがねフレーム国内製造約96%のシェアを誇る産地の中心で、めがね産業のまちとして知られる。
同市は2018年5月、SDGsに取り組むためにSDGs推進本部を設置した。牧野百男市長はNYで開かれたSDGs推進会議で、まちづくりに女子高生らが参加する「鯖江市役所JK課」などの取り組みを紹介した。さらに、女性活躍推進計画を2018年度中に策定する予定だ。
鯖江市役所めがねのまちさばえ戦略室・さばえブランド推進グループの仲倉由紀参事は「鯖江市が100年後も持続的な成長を続けていくためSDGsに取り組み、その1つとしてSDGs推進本部を設置した」と説明する。
仲倉参事は「鯖江市はもともと家内工業の形態をとる事業者が多く、古くから女性も働き手の1人として従事することに一定の理解があった。そのことが女性が活躍できる下地になったのではないか」と分析する。
同市は2003年から「鯖江市市民活動によるまちづくり推進条例」や「鯖江市民主役条例」を市民の提案で策定するなど、市民協働のまちづくりを全国に先駆けて行ってきた。
女性の進出を推奨する同市の取り組みとして、「鯖江市役所JK課(以下JK課)」「鯖江市役所OC課(以下OC課)」がある。JK課は、現在、市内に在住または同市の高校に通う1~3年生43人の女子高生がメンバーだ。市役所の会議室に放課後定期的に集まってオブザーバーの市職員も参加してミーティングが行われる。
JK課のこれまでの活動として、市立図書館の現在の空席状況がわかるアプリ「Sabota(サボタ)」の開発や、コンビニエンスストアのローソンで地域期間限定販売されたおにぎりのプロデュースなどがある。このほか、ハロウィンの際に仮装してごみひろい活動を行うなど、「女子高生ならではのアイデアが盛り込まれている」(仲倉参事)という。
そのJK課に触発され、40代~50代の女性を中心にOC課を立ち上げた。このOCは「おばちゃん」の略称である。これまでに市の大きな公園の男性用トイレに子どものおむつを交換する場所の設置を働きかけるなどしてきた。
さらに、IT企業のサテライトオフィスを設置したり、「データシティ鯖江ポータルサイト」をオープンしたりするなど、IT化も進めている。鯖江市は行政手続きをオンライン上で可能にし、手続きの煩雑さを簡素化した。
このような女性の活躍の推進と市民協働のまちづくりが好循環をもたらし、同市の人口は60年以上にわたり毎年増加を続け、2015年から2018年の人口増加率は1.3%に上り、人口密度ともに福井県内において第1位となっている(福井県推計 国勢調査人口)。
SDGs推進本部での具体的な取り組みはこれから随時検討を重ねていくとのことだが、各自治体のモデルケースになる鯖江市の持続的な成長を続けるための挑戦はこれからも続いていく。