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環境省は、2012年に公表した環境報告ガイドラインの改定案をこのほど発表した。内容について6月8日締め切りでパブリックコメントを募集している。同ガイドラインは、企業などが環境報告書やCSRレポートなどで環境への取り組みを報告する際の指針とされてきた。6年ぶりとなる改定では、SDGsやパリ協定など国際的な枠組みが確立するなど社会情勢の変化に合わせて、「事業者がバリューチェーンを含めて重要課題を特定し、自らの持続可能性を説明することを求める」内容へと変更するという。 (辻 陽一郎)
企業などは、事業活動を行う上で環境負荷を低減するなど持続可能な社会とするための取り組みを社会に対して説明する責任がある。環境省は、環境報告を行う際の実務的な手引きとして2003年に環境報告書ガイドラインを公表して以来、改定を重ね、2012年に最新版の環境報告ガイドラインを発行した。
一方、国際的な動向として2015年にはSDGsが成立、翌年にはパリ協定が発行された。ESG(環境・社会・企業統治)投資の広がりもあり、社会に対する企業の説明責任において求められるものが変化してきた。
今回の改定では、「国際的な規制・実務動向と整合的な環境報告の枠組み」としたという。従来型の環境マネジメント情報に加えて、「組織体制の健全性(ガバナンス、リスクマネジメントなど)」や「経営の方向性(長期ビジョン、戦略、ビジネスモデル)」を示す将来志向的な非財務情報が記載事項となった。
企業は環境課題へ取り組みながらも、長期的に持続可能な社会に適合するビジネスモデルを確立し、持続的に成長するような長期戦略が重要となってくる。
一方、国内では売上高1000億円未満の事業者に環境報告を浸透することに課題があるという。改定するガイドラインは「コンパクトに構成、作成の手引きなども作成する」という。
辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)
オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。