オーレ ムルスコウ ベック社長
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デンマークの製薬会社ノボノルディスク社の日本法人ノボノルディスクファーマ(東京・千代田)は郡山工場(郡山市)で、2018年にCO2排出量ゼロを達成する見通しだ。16年には電力消費によるCO2排出量ゼロを達成し、昨年、日本自然エネルギー(東京・品川)とグリーン熱証書を購入する契約を締結。ガスを含むすべての利用エネルギーについて、CO2を排出しないエネルギーに転換する施策を進めている。(富永周也)
同社は2005年から郡山工場で継続的な省エネルギー活動によるCO2排出量の削減に取り組み、11年には05年と比べ43%まで削減した。しかし同年発生した東日本大震災に伴う原発停止と火力発電へのシフトで、12年は排出量が増加してしまった。13年からバイオマス発電と風力発電による2種類のグリーン電力証書を購入し、電力消費によるCO2排出量を一気に削減、16年に排出量ゼロを実現した。翌17年、総CO2排出量ゼロを目指しグリーン熱証書システムを導入。購入したグリーン熱証書は1万4800GJ分で、工場で1年間に使用される電気・ガスを熱換算した値に相当する。
ノボノルディスクは2020年までに世界各地の生産拠点の電源を再生可能エネルギー化するという目標を掲げている。16日に都内で会見したオーレ ムルスコウ ベック社長は、郡山工場の完全グリーン電力化を「サステナビリティ・アジェンダにドライブをかける実績」と評価。今後は「工場は大量の水が必要なため、排水の管理も課題だ。また、工場以外のグリーン電力化、例えば営業担当者の移動に電気自動車を使うことも考えたい」と語った。
同社の2017年度(1~12月)の売上高916億円(前年比0.2%増)で過去最高、3期連続の増収となった。一方で18年の薬価制度の抜本改革については「イノベーションへの支持が損なわれた。将来ドラッグ・ラグが再燃するリスクをはらんでいる」と影響を危惧している。