サステナブル・ブランド ジャパンがこのほど開催した法人会員向け「第5回SB-Jフォーラム」では、SB国際会議2017バンコクの開催報告が行われた。現地でGood Lifeについて調査をしたリサーチ会社、インテージの星晶子氏が登壇し、調査結果を明らかにした。バンコクでセッションに登壇したカシオ計算機CSR推進室の木村則昭・室長は会場の様子を語った。フォーラムの後半では南アルプス市の12haの土地をサステナブルに活用することを想定したワークショップが行われた。
サステナブ・ブランド国際会議2017バンコク開催報告
インテージの星晶子氏
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インテージによるリサーチはタイ全国の全年齢2000人を対象にオンラインで行われ、ソーシャルメディアでの発信も参照された。調査によれば「Good Life」の中でもタイで重要視されていることは「Good Basic Needs」と「Good Health」だ。ベーシック・ニーズとは水や食料、教育などの社会の基本的サービスなどだ。その他、年齢別など多岐なアンケートと回答結果が発表された。
星氏は「調査を通じてブランドはどのように人々のGood Lifeを実現するのかを考え、それに向かってサービスや製品を作ることが必要だ」と述べた。
サステナブル・ブランドでは、同内容での調査を日本でも行っている。結果は3月1日、2日のSB2018Tokyoで発表される。比較することで日本の特徴もクリアになるだろう。
カシオ計算機の木村則昭氏
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SB2017バンコクで実際にセッションに登壇したカシオ計算機の木村氏は、現地会場の当日の様子を報告した。バンコク会場ではスピーカーが部屋の中心のテーブルに着席し、周囲を囲むように来客が配置されたという。このことにより、質疑応答時などはより来場者がディスカッションに参加しやすくなっていた。
バンコクでの全体の参加者は日本のSB国際会議の半分程度だという。木村氏が登壇したセッションの参加者は30~40人程度。しかし熱心な参加者が多く、非常に活発な議論が繰り広げられ、満足度は高かったという。
南アルプス市12haを活用し、Good Destinationを考える
ワークショップの様子
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南アルプス市は人口約7万2千人の中規模の市で、その面積の72%以上が森林だ。2014年には後世に遺すべき自然環境と認められ「ユネスコ エコパーク」にも登録されている。桃、サクランボ、リンゴなどの豊富な果樹の特産品や、風光明媚な展望が観光資源。加えて、同市はリニアなどの開通により関東・中部圏からの交通の便が非常によくなると見込まれる。
プロジェクトでは、南アルプス市の玄関口である中部横断自動車道の南アルプスIC周辺エリア12haを活用し、企業と連携して地域の特色を生かした新産業拠点として再開発をする。事業のコンセプトは「持続可能な街づくり、地域資源を生かした事業」だ。参加者はこの土地でどのような事業を展開すればGood Destinationを実現できるかを、グループごとに話し合い発表した。
発表では「全ての生活をその場所で完結できるシェアリングスペースなどを核とした街づくり」といったアイデアや、「人生100年時代には人間らしさが求められる。南アルプス市はクリーンで人とのエンゲージメントが可能な街になってほしい。そこでオープンリソースのキッチンはどうか」という意見が出された。また「街づくりを考えた場合、土地の中での市場原理と、外とのコミュニケーションを両立させることでサステナブルな土地活用になるのでは」などの提案があった。