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マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という有名な言葉を残している。
「企業文化に重きを置く」という考えに、私は同意する。
あなたの会社の根幹にあるバリューとパーパスは、企業文化の土台だ。企業のバリューに基づいてパーパスを考えるということは、まさに企業文化を定義するということだ。したがって、日々の中で、バリューに基づいた行動をとることや企業のパーパスを実践することが重要になる。
これが成功するブランドをつくることにつながるのだ。
成功するブランドに必要な5つの要素
成功するブランドをつくるために重要な5つの要素がある。明確さ、一貫性、特性、コミュニケーション、文化だ。
・ 明確さ:成功するブランドは、メッセージと行動を明確に示す。
・ 一貫性:すべてにおいて一貫性のあるメッセージを伝えることで、その影響力と地位を高める。
・ 特性:ブランドの特性に沿ってブランドの声と性格を形成していくことは、競合相手と自社ブランドの差別化を図るのに有効だ。かわいい、違う、魅力があるなどそういうもののことだ。
・ コミュニケーション:言うまでもないが、成功するブランドは、全てのステークホルダーと常に意識的にコミュニケーションをとっている。中でも重きを置くのは、成功するブランドに不可欠な内部の声だ。そのブランドの中で役割を担い、日々働き、それで生計を立てている人の声を聞くということだ。
・ 文化:文化というのは、ブランド構築のための究極の戦略である。バリューやパーパスに基づき、意図的に形成されるものが文化だ。
この5つがなぜ重要か説明しよう。昨今、数値化できるデータマーケティングが重宝されている。しかし企業文化の特性の一つは、数値で計測しづらい点にある。
もちろん不可能というわけではないが、必ずしも単純ではなく、どちらかというと、企業文化はこれまでの情報を考慮しながら推測していくことで計測できる。
企業文化は真似できない無形資産
企業文化はいくつもの無形資産でできている。だから、企業文化こそがブランドにとって重要性を持つのだ。その無形資産が積み重なることで、容易には真似できない企業文化が築かれる。
上手く醸成された企業文化というのは、商品とは対照的で、競合企業が簡単に企業文化の特徴や利点、それまでの歩みを真似することはできない。
こうしてブランドには違いが生まれる。これこそが、成功するブランドの根幹にあるものだ。
マイケル・ポーターは以下のように戦略を定義している。
戦略とは、市場において独自の地位を築くこと。
戦略とは、競争優位になること。
戦略とは、持続的な競争優位性を確立すること。
これはつまり、企業文化は戦略に勝るというより、戦略そのものなのだ。
企業文化は、顧客やこれから採用する人たち、現在その企業で働く人たちにとって、ブランドや企業を差別化する要素になるのだ。つまり、企業文化は、マーケティング投資や生産性、優秀な人材の採用や維持においても重要な分岐点となる。
そこで、みなさんに最後に質問がある。
あなたは今日、自社の企業文化を構築するために意識的に何をしましたか。
(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松 遥香)
Russ Stoddard
アイダホに本社をかまえる広告代理店「オリバー・ラッセル」の創業者。約30年間、社会的責任の分野で活躍しており、企業で務めた後、これまでに4つの会社と5つのNPOを立ち上げた。