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吉田広子

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<h2>SB 2018 Tokyo</h2>
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<tbody>
<tr>
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<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/04/02/FW2X4521_1.jpg"/></div>
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</tr>
</tbody>
</table>
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<p>「人々がある状況を現実であると定義すれば、結果としてその状況は現実となる」ロンドンに拠点を置き、サステナビリティに関するコンサルティングを行うフテラの共同創業者ソリティア・タウンセンド氏は、米社会学者ウィリアム・Ｉ・トマスの言葉を紹介した。(オルタナ編集部＝吉田広子)</p>
<p>タウンセンド氏は「より良い生活に向かっているのか、危機的な状況に向かっているのか。岐路に立たされたときに、どちらを信じるかが重要だ」と話す。</p>
<p>フテラはリサーチ会社に依頼し、日本をはじめ世界26カ国で気候変動に対する姿勢を調査した。必ず解決できると信じる「強い楽観主義」、テクノロジーなどによって解決できるかもしれないと考える「楽観主義」、解決できないと考える「悲観主義」、運命だとあきらめる「運命論者」、そもそも気候変動を否定する「否定主義」――。</p>
<p>調査の結果、グローバルで見ると、強い楽観主義が16％、楽観主義が40％で半数を超え、否定主義は４％にとどまった。一方、日本は強い楽観主義が８％、楽観主義が24％、運命論者が最も多い32％に上り、否定主義は18％だった。</p>
<p>タウンセンド氏は「世界でも日本でも気候変動に関するネガティブな話の方が、解決策よりも多くみられる。私たちは解決策を持っていることをもっと大きく示さなければいけない」と訴える。</p>
<p>例えば、ジュエリーブランドのティファニーはトランプ米大統領に対し、新聞広告などを使って「パリ協定から脱退しないで」といったメッセージを発信した。</p>
<p>タウンセンド氏は「みなさんは素晴らしい『ハッピーヒーロー』の仲間。世界中でサステナビリティを実現できることを確信している。企業はヒーローになれるはずだ」と呼びかけた。</p>
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SB国際会議

ニュース

サステナブル・ブランド国際会議2017～2020

話題のキーワード

企業も「ハッピーヒーロー」に

ジョン・イッツォ 　ジェフ・ヴァンダーウィレン

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<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
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</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<div class="elem_paragraph">
<p>企業やビジネスリーダーが、時代に求められる「パーパス革命」を成功させるためには、企業文化をどのように変革すれば良いのでしょうかーー。今回は、それを紹介するシリーズの4本目の記事です。(翻訳：梅原 洋陽)</p>
<p>サステナビリティを企業理念の根幹に取り入れる企業「サステナブル・ブランド」にとって幸運なことは、消費者が好感を持てる企業から商品を購入したいと考える傾向にあることです。世界的に見て、80%の消費者は「ソーシャル・グッド」な企業から商品を購入したいと答え、そして34%はそうした企業には定期的に報いたいと考えています。一方で、悪影響を与える企業に対しては、あえて無視したり罰したりもします。</p>
<p>しかし私たちの新著『The Purpose Revolution-How Leaders Create Engagement and Competitive Advantage in an Age of Social Good』で掘り下げたように、サステナブル・ブランドにも大きな課題があります。</p>
<p>消費者はグッド・カンパニーから購入したい(そして悪い企業は罰したい)と願っているものの、購入している企業が実際に「ソーシャル・グッド」であるという自信があると答えた人はわずか6%しかいません。別の言い方をすると、消費者は企業が伝える優良企業であるというストーリーに対して懐疑的で、困惑しているのです。市場に溢れ返っているグリーン・ウォッシュや一貫性のないメッセージの量を考えると、驚きはないかもしれません。</p>
<p>企業はプラスの価値やCSRについて語るときに、複合的な問題に直面します。マーケティング担当者にとっての課題は、消費者は広告やソーシャルメディアで語られるあらゆる企業のメッセージを、およそ16%しか信じないという事実です。</p>
</div>
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<div>
<h2>消費者が信じるのは誰か</h2>
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<div class="elem_paragraph">
<p>消費者が私たちの企業や価値を選択してくれるようにするために、私たちはどう「ソーシャル・グッド」な会社であることを伝えれば良いのでしょうか。</p>
<p>実は、企業はとても重要な資源を持っています。それは、従業員です。調査によると、企業が伝えることは16%しか信じないものの、従業員が企業に対して語ったことは52%も信じると答えています。</p>
<p>従業員が発信しているソーシャルメディアでの企業情報をシェアする割合は最大で、企業自身が発信するより10倍高いのです。もし良い企業から商品を購入したいという消費者の気持ちに応えたければ、従業員が自社ブランドのパーパス大使になり得るかを判断して、彼らにパーパスに関するストーリーを伝えてもらう努力を真剣にすることが必要になります。</p>
</div>
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<h2>従業員はパーパス・ストーリーを信じているか</h2>
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<p>あなたの会社の従業員が、最も信頼できるパーパスの伝道師であるために、最初の課題となるのが、従業員自身があなたのパーパスに共感できるかどうかです。パーパスは、従業員の共感を呼ぶものでしょうか。正当なものでしょうか。企業の真実の瞬間(Moment of truth：顧客との接点)において、確固たるものであるでしょうか。</p>
<p>多くの企業はこれらの質問に答える術を持っていません。もちろん、アンケートもチーム内にどれほどパーパスが浸透しているかを測定する方法の一つです。フォーカスグループ(定性調査)も有効な方法の一つと言えます。</p>
<p>現実に目を向け、従業員に、彼らがパーパスを理解しているか、そしてパーパスは正当なものかを尋ね、パーパスに沿ってないと感じる決定事項がもしあれば、異論を唱えてもらいましょう。彼らはあなたのビジョンを外の世界に広めて行くことに完全に前向きでしょうか。もし少しでも違和感があるようだったら、彼らの感じる課題に対処することが最初のステップとなります。</p>
<p>前ホール・フーズの共同経営者であるウォルター・ロッブ氏にインタビューをした際、彼は「従業員があなたがパーパスに対して本気かどうかを判断する指標の一つに、あなたが短期目線のビジネスのためではなく、パーパスに基づく決断をするかどうかがあります」と語っていました。</p>
<p>ホールフーズでもそうした経験がありました。サステナブルではないシーフードの販売を中止することは、収益性に影響を与えることですが、消費者がラベルに基づいて選択できるようにするためには不可欠なことでした。ロップ氏は、その時のことを振り返り、「結果として、従業員から信じられないほどの良いフィードバックがありました。私たちがパーパスに対して真剣だということが伝わったのです」と言っていました。あなたがパーパスに従って生きていることを従業員が知れば、チーム全体の共感を呼び、会社に対して誇りを持つようになります。</p>
<p>多くの企業は、従業員が会社のパーパスやソーシャル・グッドなストーリーに関してどのように感じているかを聞くことを恐れています。しかし、勇気を出して、より優れたパーパスの伝道師を生み出すために必要な意見を知ることは偉大な一歩です。</p>
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<h2>従業員がパーパス・ストーリーを語れるように努めているか</h2>
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<p>第一の関門を乗り越えたら、目標に近づいている証拠です。あなたのパーパスも確固たるものになり、あなたの従業員達もパーパスを信じているでしょう。次のステップは、あなたの従業員がソーシャル・グッドなストーリーを語ることを可能にすることです。つまり、従業員に企業のパーパスに基づく行動を一貫して示し、彼らがシェアできる内容を提供することです。</p>
<p>私たちのお気に入りの事例は、社会的利益とサステナビリティを大切にする、私達のクライアントの一つである大手銀行です。その企業は、大手企業では一般的にストーリーは薄まってしまうことを心得ています。そのため、全てのリーダーに銀行の社会的意義とサステナビリティへの挑戦に関する情報を定期的に共有するようにしています。そして、統計や図表やビデオを含む最新の情報を伝達しあうチャンネルも設けています。また、マネージャーはミーティングの際にパーパスに関して話し合う時間を意図的につくり、スタッフがどのようにクライアントに関わりながら、企業のパーパスを体現しているかを話し合えるようにしています。</p>
<p>企業が犯しがちな最も残念な過ちの一つに、パーパス・ストーリーを顧客や社会に伝えために打ち出す巨大なキャンペーンがあります。それよりもむしろ、良いストーリーを企業内で広めるコミュニケーションに努力を払うべきです。他の全ての条件が同じであれば、従業員間のコミュニケーションと社外向けのコミュニケーションの流れを逆にすべきです。企業内で本当のストーリーを語り合うために力を費やし、従業員が世界に対して発信していく大使になるように力づけるのです。</p>
</div>
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<h2>従業員がパーパス・ストーリーを語れるよう後押ししているか</h2>
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<p>もし、あなたの従業員を本物のパーパスの伝道師にしたいのであれば、最後に自問することが必要です。あなたは、あなたの従業員が伝道師になれるように後押し(エンパワーメント)をしているでしょうか。</p>
<p>エンパワーメントは、従業員にストーリーを共有することをお願いすることから始まります。対面でも、ビデオやソーシャルメディアを通してでも可能です。あまりに多くの経営者やリーダーが、従業員にブランドの大使になることを依頼していないという事実には驚きます。多くの従業員は彼等自信が最も重要な資源であり、大切な役割を果たしていることに気がついていないかもしれません。この真実を伝え、ストーリーを共有してもらうようにしましょう。</p>
<p>あくまでも、彼等の邪魔をしないように！多くの企業はブランドやブランドイメージに固執しすぎるため、従業員が自分自身の言葉でストーリーを語れないようにしています。本当の意味での大使になってもらうためには、企業のコミュニケーション戦略は隅に置き、彼等自信の言葉で、彼等のやり方で伝えてもらうことが重要です。</p>
<p>正真正銘のストーリー・テリングといえる良い例があります。米シスコシステムズの前CEOであり会長のジョン・チェンバース氏が、マーケティング費用の一部を、同社で働くことをなぜ選んだかをYouTubeで紹介する従業員に高機能ビデオカメラを買い与えました。つまり、企業は従業員にストーリーを語ることを促しましたが、どうやって語るかは指示しなかったのです。結果的に、数百、数千もの再生回数を記録しました。企業のパーパスを実際にそこで働く従業員から聞くことは、最高の広告会社が製作したハイクオリティのビデオよりも断然影響力があります。これ以上に信頼感のある情報を伝えることはできません。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>消費者との情報ギャップを埋める</h2>
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</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>私たちの本では、「ソーシャル・グッド」な会社から商品を購入したいという消費者の望みと、彼等が持っている情報のギャップについて説明しています。企業の良さをアピールする戦いにおいて、従業員が果たせる重要な伝道師としての役割を見逃していることが多くあります。3Mの社員をインタビューした時に最も驚きだったのは、企業のサステナビリティに関する取り組みに対して100%完全に肯定的だった人が一人もいなかったことです。</p>
<p>だから、あなた自身にこの3つの重要な質問をして欲しいと思います。</p>
<p><strong>１．あなたは自社のパーパスが真実のもので、実行されていると感じていますか。</strong><br /><strong>２．あなたは従業員が良いストーリーを語れるように、ホンモノの情報を与えていますか。</strong><br /><strong>３．あなたは従業員がストーリーを語れるように力づけ、彼等自身が語れるように、自分を脇において考えていますか。</strong></p>
</div>
<p></div>
<p></p>

ワールドニュース

従業員こそがパーパス浸透のキーパーソン

沖本啓一

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<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/27/p1-01_600.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph">子どもたちが持っているのが途上国向け簡易式トイレ「SATO」。安価で少量の水で洗うことができる。</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<p>LIXILは今年4月から9月まで、昨年に続き「みんなのトイレプロジェクト」を実施する。同プロジェクトは、日本でシャワートイレが一台購入されるごとに、途上国などに簡易式トイレ「SATO(サトー)」1台を寄付する取り組み。昨年は寄付予定台数が20万台以上にのぼる反響があった。同社は「2020年までに1億人の衛生環境を改善する」と意気込みを話す。2年目の今年は何が違うのか。(オルタナ編集部＝沖本啓一)</p>
<p>「みんなのトイレプロジェクト」の2年目となる2018年は4月から9月まで実施する。国内での一体型シャワートイレの購入ごとに「SATO」が寄付される仕組みは昨年同様だが、今年は「アジア・アフリカの学校を中心に」寄付を行うという。</p>
<p>同社の「みんなのトイレプロジェクト」は昨年取り組みがスタートした。日本で一体型シャワートイレ一台が購入されるごとに、簡易式トイレ「SATO」がインド、バングラディシュ、タンザニア、ルワンダなどの地域に寄付され、衛生環境の改善に役立てられた。単なるコーズマーケティングではなく、「世界の衛生課題解決とともに、日本国内における理解を促進する」ことを掲げた。今年の寄付先を学校中心とした意図もそこにある。</p>
<p>「昨年の取り組みは、世界の衛生課題の理解を促進するためのフェーズ1でした」と同社は説明する。「フェーズ2」となる今年の取り組みでは、より具体的な課題の存在を社会に伝える。</p>
<p>世界にはまだトイレが設置されていない学校が多数ある。特に女児は、この影響が大きく、トイレがないことで教育の機会が奪われてしまう現状がある。衛生環境が整っていないことが一因となり教師が着任を希望せず、教育格差が生まれる場合もある、と同社は説明する。</p>
<p>LIXILは2020年までに1億人の衛星環境を向上させるという目標を持つ。同社は「グローバルな衛生課題の解決は、当社のCR戦略の優先取り組み分野の一つとして位置付けています。本プロジェクトもこの目標の早期達成に向けた積極的な取り組みです」と、意気込む。</p>
</div>
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<p></p>

LIXILのトイレ寄付2年目へ、昨年との違いは？

サステナブル・オフィサーズ

インタビュー

統合思考を実践する組織づくりで環境と経営を両立――積水化学工業 平居義幸 常務執行役員（経営戦略部長）

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
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<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/financial600.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph">CC0:Creative Commons</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<p>第21回環境コミュニケーション大賞(主催・環境省、一般社団法人地球・人間環境フォーラム)の表彰式が2月21日、都内で開催された(オルタナ総研スペシャリスト・室井孝之)。</p>
<p>今回の環境コミュニケーション大賞は、環境報告書部門209点、環境活動レポート部門130点、合計339点の応募があり、それぞれ78点、28点が受賞した。</p>
<p>環境報告書部門では、大和ハウス工業の「大和ハウスグループ　サステナビリティレポート2017　～共に創る。共に生きる。～　」が、環境活動レポート部門では、共和アスコンの「環境活動レポート　平成28（2016）年度版」が、大賞を受賞した。</p>
<p>「大和ハウスグループ　サステナビリティレポート2017」は、「2055年を目標とした環境長期ビジョンの実現に向けた3年ごとに到達レベルを見直す計画目標の設定」「環境長期ビジョン達成のためのCSRマネジメントの重要視」「低炭素化社会の実現に向けた取組の紹介」が評価された。</p>
<p>共和アスコンは、「写真、イラスト、グラフが多用され、色使いも工夫され、見やすいレポートであること」「環境目標が、全社に加え、事務所・工場ごとに、詳細に中長期まで設定されている点」「取組未達成項目の要因分析、課題抽出、見直しの的確さ」が評価された。</p>
<p>環境コミュニケーション大賞審査委員の後藤敏彦氏は評価ポイントとして、「持続可能な社会の形成、気候変動への対応について積極的に経営戦略として取組んでいることを明確に示すこと」「マテリアリテイを踏まえた目標設定」「エネルギー／資源に関わる中長期的戦略と目標との関係性」「グリーン調達」「CSR調達」を挙げた。</p>
<p>後藤氏は「今年度の審査では、3年程度しか策定していない長期ビジョンに対しては、審査員の目が厳しくなった」と述べた。</p>
<p>環境活動レポート部門選考ワーキンググループ座長の首都大学東京・都市教養学部都市政策コースの奥真美教授は、評価ポイントとして、「本業に即した目標や取組内容が、事業所単位に中長期に設定され、結果に対し的確な原因分析、改善案が提示されているか」「社員全員が取り組みに参加しているか」「それらがレイアウトの工夫、ストーリー性で、『見える化』されているか」の3点を示した。</p>
<p>「エコアクション21を通して情報開示に取り組む意義は、社会全体で環境負荷低減に貢献すること、ステークホルダーとコミュニケーションの充実を図ることだ」と述べた。</p>
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<h2>第21回環境コミュニケーション大賞の全受賞内容</h2>
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<p><strong>■環境報告書部門</strong><br />【環境報告大賞(環境大臣賞)】(1点)<br />大和ハウス工業 大和ハウスグループ サステナビリティレポート2017<br />～共に創る。共に生きる。～</p>
<p>【持続可能性報告大賞(環境大臣賞)】(1点)<br />積水ハウス Sustainability Report 2017 本冊子・別冊・WEB詳細版</p>
<p>【地球温暖化対策報告大賞(環境大臣賞)】(1点)<br />富士通 富士通グループ環境報告書2017</p>
<p>【環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)】(2点)<br />トヨタ自動車 環境報告書2017―トヨタ環境チャレンジ2050に向けて Sustainability Data Book 2017 Annual Report 2017<br />日立製作所 日立 サステナビリティレポート 2017</p>
<p>【持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)】(2点)<br />セブン&amp;アイ・ホールディングス セブン＆アイ HLDGS. CSR レポート 2017 セブン＆アイ HLDGS. 統合レポート 2017<br />武田薬品工業 サステナブルバリューレポート 2017</p>
<p>【地球温暖化対策報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)】(2点)<br />キリンホールディングス キリングループ環境報告書 2017<br />コニカミノルタ コニカミノルタ CSR レポート 2017<br />コニカミノルタ 環境報告書 2017</p>
<p>【生物多様性報告特別優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)】(1点)<br />住友林業 住友林業グループ CSR レポート 2017<br />住友林業 統合報告書 2017</p>
<p>【信頼性報告特別優秀賞(サステナビリティ情報審査協会会長賞)】(1点)<br />東京海上ホールディングス 東京海上グループ サステナビリティレポート 2017</p>
<p>【審査委員会特別優秀賞(第 21 回環境コミュニケーション大賞審査委員長賞)】(3点)<br />味の素 味の素グループ 統合報告書 2017　味の素グループ サステナビリティデータブック 2017<br />ダイキン工業 ダイキングループ サステナビリティレポート 2017<br />本田技研工業 Honda SUSTAINABILITY REPORT 2017</p>
<p>【環境配慮促進法特定事業者賞(第21回環境コミュニケーション大賞審査委員長賞)】(4点)<br />国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 JAXA 社会環境報告書 2017<br />国立大学法人京都大学 京都大学環境報告書 2017<br />国立大学法人静岡大学 静岡大学環境報告書 2017<br />国立大学法人三重大学環境報告書2017　世界に誇れる「環境先進大学」の社会的責任(USR)を果たすために</p>
<p>【優良賞(第21回環境コミュニケーション大賞審査委員長賞)】(60点)<br />旭化成ホームズ 環境・社会報告書 2017<br />アドバンテスト サステナビリティレポート2017<br />イオン イオンレポート2017(WEB版)<br />イオン環境・社会への取り組み2017(冊子版)<br />伊藤園 伊藤園統合レポート2017(財務編、CSR/ESGレポート、特集編、コミュニケーションブック、ガイドライン対照表含)<br />イトーキ Ud&amp;Eco style Report 2017(環境社会報告書 フルバージョン)<br />ウシオ電機 サステナビリティレポート2017<br />エヌ・ティ・ティ・データ NTTデータグループ サステナビリティレポート2017<br />MS&amp;ADインシュアランスグループホールディングス CSR Report 2017<br />大阪いずみ市民生活協同組合 CSRレポート2017 ダイジェスト版・詳細版<br />花王 花王サステナビリティ データブック2017<br />キヤノン CANON SUSTAINABILITY REPORT 2017<br />共同印刷 共同印刷グループ CSR報告書2017<br />京都生活協同組合 CSRレポート2017<br />グッドホールディングス グッドホールディングスグループ サステナビリティレポート2017<br />KDDI 2017年 統合レポート(ESG詳細版)<br />江東区役所 江東区の環境白書ー江東区環境基本計画平成28年度実績報告ー<br />サラヤ 持続可能性レポート2017<br />サントリーホールディングス サントリーグループCSRコミュニケーションブック2017<br />サンメッセ Sun Messe REPORT 2017<br />シスメックス シスメックスあんしんレポート 2017<br />シャープ三重工場 シャープ(株)三重工場 環境・社会貢献活動情報誌2017年版<br />信越ポリマー サステナビリティレポート2017<br />住友金属鉱山 統合報告書2017<br />住友電気工業 CSR報告書2017<br />セコム セコムCSRレポート2017<br />SOMPOホールディングス SOMPOホールディングス CSRコミュニケーションレポート2017<br />ダイセキ ダイセキ CSR報告書 2017<br />太平洋セメント CSRレポート2017<br />田辺三菱製薬 田辺三菱製薬 コーポレートレポート 2017およびCSR活動報告 2017<br />タムロン CSR報告書2017<br />国立大学法人千葉大学 千葉大学環境報告書2017<br />ツムラ ツムラグループ コーポレートレポート2017<br />ティラド CSR報告書2017<br />東京都水道局 環境報告書2017、環境報告書2017概要版<br />東芝 東芝グループ環境レポート2017<br />東洋インキSCホールディングス 東洋インキグループ CSR報告書 2017<br />豊田自動織機 豊田自動織機レポート2017<br />南海電気鉄道 南海電鉄CSR報告書2017(コーポレートレポート)<br />ニコン ニコン サステナビリティ報告書2017<br />日本製紙 日本製紙グループCSR報告書2017<br />日本通運 CSR報告書2017<br />日本電信電話 NTTグループサステナビリティレポート2017<br />日本山村硝子 Corporate Communication Book 2017<br />日立建機 CSR &amp; Financial Report 2017<br />ヒューリック CSR REPORT 2017<br />ファンケル ファンケルレポート<br />富士フイルムホールディングス 富士フイルムホールディングス サステナビリティ・レポート2017<br />ブラザー工業 「環境への取り組み」、環境スペシャルサイト「brotherearth.com」<br />ブリヂストン ブリヂストングループ サステナビリティレポート2016<br />プリマハム 社会・環境報告書 2017(Web)<br />おいしさ、ふれあい BOOK 2017(冊子)<br />前田建設工業 CSR報告書2017<br />マツダ マツダサステナビリティレポート<br />三菱ケミカル平塚事業所 2017環境報告書 三菱ケミカル平塚事業所<br />三菱電機 三菱電機グループ 環境行動レポート2017<br />ライオン ライオンCSR報告書2017<br />リコーグループ リコーグループ サステナビリティレポート 2017(統合報告書)<br />リコーリース リコーリース CSR REPORT 2017<br />理想科学工業 環境経営報告書2017<br />レンゴー レンゴー 環境・社会報告書2017<br />YKK AP 社会・環境報告書2017</p>
<p><strong>■環境活動レポート部門</strong><br />【大賞(環境大臣賞)】(1点)<br />共和アスコン 環境活動レポート 平成28(2016)年度版</p>
<p>【優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)】(5点)<br />穴吹エンタープライズ エコアクション21環境活動レポート<br />九州林産 環境活動レポート 2017<br />全星薬品工業 全星薬品工業 2016 年度 環境活動レポート<br />大昭和加工紙業 環境活動レポート<br />来ハトメ工業 環境活動レポート 2017 年版</p>
<p>【優良賞(第 21 回環境コミュニケーション大賞審査委員長賞)】(19 点)<br />上島珈琲貿易 2017年度 環境活動レポート<br />大鐘測量設計 2016年(43期)エコアクション21環境経営レポート<br />オムロンセンテック 2016年度 環境活動レポート<br />河原工房 2016年度 環境活動レポート<br />カンサイ カンサイ 環境活動レポート50期<br />光洋電器工業 エコアクション21環境活動レポート<br />学校法人郡山開成学園 環境活動レポート2017 学校法人 郡山開成学園<br />コムパックシステム 第67期(2016年度) 環境活動レポート<br />有限会社山栄電子 環境活動レポート 平成28年度版<br />GE 環境活動レポート 2017<br />滋賀シミズ精工 環境活動レポート 2017年度版 ~for our future~<br />新日本カレンダー本社、東京支店、<br />名古屋支店、九州支店、丸亀商品センター 2016年度環境活動レポート<br />生晃 環境活動レポート<br />高島屋スペースクリエイツ 高島屋スペースクリエイツ 環境活動レポート 2017<br />DINS堺 DINS堺環境活動レポート<br />東洋冷蔵 環境活動レポート2017<br />中ノ郷信用組合 エコアクション21環境活動レポート<br />廣間組有限会社 環境活動レポート ～環境への恩返し～<br />焼津市役所 焼津市環境活動レポート</p>
<p>【新人賞(第 21 回環境コミュニケーション大賞審査委員長賞)】(3点)<br />公益財団法人岡山県環境保全事業団 環境活動レポート<br />竹田サンテック 環境活動レポート<br />二葉建設 エコアクション21環境活動レポートVOL.5</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

第21回環境コミュニケーション大賞に大和ハウス工業

SUSTAINABLE BRANDS JAPAN

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/tr/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/18/omron635_1.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph">Mr. Fumio Tateishi, Chairman of OMRON | Image Credit: Omron</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>While most companies aim to respond to customer needs, Japanese electronics company OMRON aims to respond to ‘social needs’. This difference stems from the constant consideration of the relationship between business and society by the company’s management team, which it has done since its founding. In addition, OMRON is determined to pursue sustainability alongside business revenue, and the company includes sustainability in the board’s evaluation. Sustainable Brands Japan (SB-J) spoke to Fumio Tateishi, Chairman of OMRON, to learn more about how a focus on generating societal benefits drives its business strategy.</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>Giving back to society</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>‘Innovation driven by social needs’ is one of the three values emerging from the OMRON Principles, which were revised in 2015. Generally, companies use the phrase ‘customer needs.’ Why does OMRON focus on social needs?</strong></p>
<p><strong>Fumio Tateishi:</strong> That idea dates back to our founder, Kazuma Tateishi. He was born in Kumamoto in 1900. When he was a first grader in elementary school he lost his father, and from fifth grade, he supported his mother and brother with a newspaper delivery job. Through his job, he came to know and value the community in which he was delivering newspapers.</p>
<p>After that, he was awarded a scholarship and graduated from the Kumamoto Technical High School, now the Faculty of Engineering at Kumamoto University. With this background, Tateishi decided to give back by creating a better society both for the nation and for the world. His thoughts still guide OMRON&#8217;s values.</p>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>So, there was a focus on addressing social issues from the very beginning?</strong></p>
<p><strong>Tateishi:</strong> OMRON declared 1955 to be ‘Year One of Automation’. We pioneered the automation business in Japan. We developed the world&#8217;s first unmanned train station system, which included automated ticket gates, traffic-responsive electronic signals, and automated cash dispensers. Now, we build systems and devices from hundreds of thousands of components. Our business needs cannot be addressed if we only look at the needs of our customers. It is very important to consider society as a whole and its requirements.</p>
<p>We do not operate with a short-term vision. We consider how we can run our business sustainably from a medium- to long-term perspective, and how we should contribute to society rather than simply pursue profit as a company. With these aims in mind, our founder established ‘To improve lives and contribute to a better society’ as a company principle.</p>
<p>OMRON exists to follow this principle, resolving social issues through business and contributing to the creation of a better society.</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/tr/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/18/omron2.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph">In 1967, OMRON produced the world&#8217;s first unmanned train station system with automatic ticket vending machines and automated ticket gates. | Image Credit: OMRON</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>For us, there are two aspects to the principle, ‘contribute to a better society’. One is that as public institutions, companies must serve society by using business to solve social problems and contribute to social development.</p>
<p>The other is that OMRON should be unafraid of failure, take the initiative, and play a pioneering role in the world. A better society will never materialize if we just wait for it. Someone must take initiative, challenge the status quo, create new value, and become a pioneer to create a better society. OMRON is determined to be that ‘someone.’</p>
<p>In 1990, we changed the name of the company from Tateisi Electronics to OMRON. At the same time, we replaced the company’s constitution enacted in 1959 with the OMRON Principles. We encourage all employees to familiarize themselves with our principles to both heighten motivation and ensure they are better able to fulfill social needs.</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>Sustainability and business are inseparable</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>OMRON has also introduced the principle of sustainability in their board evaluations.</strong></p>
<p><strong>Tateishi:</strong> Following the OMRON Principles revision project, we conducted a year-long review of how to practice sustainability in 2015. We decided to place a greater emphasis on sustainability in our business, but also reviewed our response to the voices of the global community and our stakeholders concerning business initiatives with non-financial value.</p>
<p>If we are to integrate business and sustainability, it is necessary for the board of executives to make employees aware of how to promote and accelerate sustainability.</p>
<p>We decided to reflect third parties’ objective evaluations of OMRON’s sustainability promotion in the medium-term in our board’s remuneration.</p>
<p>Running or working for a business often causes one to wonder ‘what am I working for?’ The answer can be that I work for my boss; or for the president, which is not wrong; but if the corporation is working to improve society, then you are also working directly to make society better. If all employees clearly recognize that, there is nothing left to question and the corporation stands strong.</p>
<p>Private companies are tested on how they redistribute finite resources. If you work directly to create a better society, you cannot think that sustainability and business are separate.</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>Backcasting from 2030</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>You are also Vice Chairman of the Corporate Citizen Council (CBCC), founded by the Keidanren (Nippon Keizai-dantai Rengōkai, Japan Business Federation). In November 2017, for the first time in seven years, Keidanren revised its Charter of Corporate Behaviour and placed the Sustainable Development Goals (SDGs) at the forefront.</strong></p>
<p><strong>Tateishi:</strong> As I mentioned earlier, in 2015 we revised the OMRON Principles to make them simpler to practice. At that time, the <strong>United Nations</strong> adopted the SDGs, and since then we are increasingly hearing the term ESG (environment, society, governance) in Japan.</p>
<p>The increase in the awareness of social issues in the world coincided with the period in which we worked to revise the OMRON Principles. SDGs are also incorporated in our management plan. Since 1990, OMRON has reformulated its long-term vision every ten years. Fiscal 2017 is the time frame in which we execute the final medium-term management plan (2017-2020) of our third long-term vision (FY 2011-2020).</p>
<p>The flow of change in the world quickens, and simply continuing our medium-term management plan from FY 2014 to FY 2016 will not keep up with this change. If we do not prepare a management plan with backcasting from 2030 — the target year of SDGs — we cannot carry on from now on.</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

OMRON: Building a Sustainable Company by Responding to Social Needs

<div class="u-mt30">
  <div class="c-interview_info">
      </div>
</div>

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/25/BASFTOP_1.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「サステナビリティと利益は間違いなく両立します。サステナビリティの価値を顧客に伝えられたら、競争優位になりますし、結果的には両立以上に利益になるはずです」。こう言い切るのは、世界最大の総合化学メーカーBASFの日本法人、BASFジャパンの代表取締役社長ヨルグ-クリスチャン シュテック氏だ。同社のサステナビリティ世界戦略を聞いた。</p>
<p>――BASFは1865年に創設され、150年以上の歴史があります。サステナビリティの概念はいつからお持ちですか。</p>
<p>シュテック：持続可能な形で、製品をどう作るかという発想は、創業の時からあります。サステナブル経営という観点では、BASFが特別なわけではなく、ドイツの風土、歴史と関係があると思います。日本にも似た土壌はあると感じています。事業が長く続く理由は、リサイクルの仕組みを活用し、ひとつの事業で排出された副産物を、別の事業で新しい製品を作る原料として使用しているからです。</p>
<p>――クレイドル・トゥ・クレイドル（ゆりかごからゆりかごまで：役割を終えたものを再び製造現場で活用する考え方）に通じますね。</p>
<p>シュテック：はい。しかし、それより徹底しています。この理念を「生産のフェアブント」と呼んでいます。フェアブントとは「統合・つなげる」を意味するドイツ語です。</p>
<p>フェアブントシステムは、基礎化学品から塗料などの高付加価値製品までつながる、効率の良いバリューチェーンを生み出します。このシステムで、原材料やエネルギーを節約し、排出物を最小限に抑え、物流コストを下げ、相乗効果を発揮しています。フェアブントのコンセプトは生産や技術のみならず、知識の共有、社員間、顧客、ビジネスパートナーとの関わりにおいても浸透しています。</p>
<p>まさにこれがBASFの成長のカギなのです。一つの会社としての付加価値を作り出しているのです。その根本には、事業全体に行き渡ったサステナビリティの概念があります。</p>
<p>――欧州には、ネスレやノボノルディスク、H&amp;Mなどサステナブルなビジネスに取り組む企業が多くあります。</p>
<p>シュテック：そうですね。私たちのようなBtoB企業は、BtoC企業よりも社会的なプレッシャーが少ないですが、社会との距離感は違っても、社会的責任は同じです。</p>
<p>サプライヤーに対する責任ある調達、BASFで取り組む安全で効率的な生産、顧客に提供する持続可能なソリューションの推進、そして関わるすべての人を尊重し、公平に扱うこと。こういった私たちの理念に基づいてバリューチェーンが成立していれば、バリューチェーンは一貫してサステナブルになります。これこそ「持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」という、BASFのパーパス(目的、存在意義)そのものです。</p>
<p>――素晴らしいと思います。未来に選ばれる企業だということですね。</p>
<p>シュテック：その通りです。私たちの戦略は、目指す未来に基づいて立てられます。2050年はどんな世界か。企業として何が求められるのか。誰であれ未来に何が起きるかは分かりません。しかしBASFは、サステナビリティに取り組むことが「正しい」と思っています。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「化学こそが社会の礎」という信念</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/25/BASF1.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――パーパスにもある「化学で」ということを、どのように捉えていますか。</p>
<p>シュテック：化学は私たちのコア・コンピタンスです。私たちは、化学メーカーとして、多くの人の生活レベルを上げるための手助けをしたいのです。化学は、社会に良い変化をもたらすことができると考えています。化学こそが現在、未来における、課題解決の推進力であるという信念があります。</p>
<p>私たちはみな、持続可能な方法で未来を築いていく準備をしています。短期的な利益よりも、長期的な視野でサステナブルな未来を築きたいのです。次の150年も事業を続けていきたいですから。</p>
<p>――パーパスに基づいた実際の戦略はありますか。</p>
<p>シュテック：私たちの戦略的な方針のひとつは、「持続可能なソリューションを促進」というものです。これは、仕入れをするサプライヤーとの関係においても重要です。自動車産業や建設業、農業、医薬品産業、食品や包装業といった、幅広い顧客に対して持続可能なソリューションを見つけ、さらに生み出していく。時には長い時間がかかる場合もあります。</p>
<p>「ベストチームを編成する」という方針もあります。この方針には、社員がノウハウを発揮できる環境をつくり出し、自分たちの仕事に満足できるような機会を与えるという意味があります。そのため、同じような関心や能力の人たちを組み合わせて仕事を進めています。これは企業として競争力を持つことや、顧客に最良のソリューションを提供することにもつながります。</p>
<p>BASFのグローバルの社員数は80カ国11万4000人です。日本では1949年から日本法人として事業を行っており、グループで約1200人が働いています。ダイバーシティに富んでいても、説得力のあるモットーやビジョンがあれば、人種や国、性別に関わらず、共通の目標を見つけることは難しくありません。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「私たちは社会の一員」</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><span style="color:rgb(51, 51, 51)">――実践するための体制はどのように整えていますか。</span></p>
<p><span style="color:rgb(51, 51, 51)">シュテック：最も大事なのは、経営へのサステナビリティの統合です。BASFは、BASF SE取締役会の直下にコーポレートサステナビリティ委員会があり、さらにサステナビリティコアチーム、サステナブルティコミュニティーという3つのサステナビリティに関する組織が社内にあります。これによって、通常業務の中でサステナビリティを当たり前に捉え、実践する仕組みになっています。</span></p>
<p><span style="color:rgb(51, 51, 51)">製品のサステナビリティに関しては、サステナブル・ソリューション・ステアリングという評価ツールを策定しました。サステナビリティの理念がどのように製品に反映されているかというアセスメントです。企業目標に沿って、適切な方向に進んでいるかどうかを示しています。</span></p>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/25/BASF5.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>現在、「アクセラレーター」と呼んでいる持続可能な解決策に多大に貢献する製品が全体の27.2%。「パフォーマー」と呼んでいる、市場で求められている基準に適合している製品が68.3%。「トランジショナー」と呼ぶ、持続可能性に関して特定の問題がある製品が4.2%、「チャレンジ」と呼ぶ、持続可能性に関し懸念があり行動計画を要する製品が0.3%です。BASFの全取扱製品・用途は6万点以上に及びますが、2016年末時点で、その95.9％に対して評価を完了しています。2020年までにアクセラレーターを28%に引き上げるという目標を掲げており、現在、27.2％まで達成しています。</p>
<p>――サステナビリティと利益は両立すると考えますか。</p>
<p>シュテック：間違いなくするでしょう。サステナビリティの価値を顧客に伝えられたら、競争で優位になりますし、結果的には両立以上に利益になると考えています。</p>
<p>繰り返しになりますが、私たちのモットーは「化学でいい関係をつくる」です。化学とは新しい製品をつくることであり、化学や化学的な知識で顧客の課題を解決することです。</p>
<p>人の関係に化学反応を起こすことも含んでいます。私たちは社会の一員であることを望みますし、成長も経済的な成功も社会の中でしか達成できません。ですからサステナビリティへの取り組みは企業の営利のために行うのではなく、未来や社会に目を向けた長期的な目的のためにあるのです。</p>
</div>
</div>
</div>
<p></div>
<p></p>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewee</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
        <div class="c-interview_card__thumb">
      <img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/wp-content/uploads/2017/10/purof200_2-1.jpg" alt="" />
    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">ヨルグ-クリスチャン シュテック</div>
      <div class="c-interview_card__company"></div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>ドイツ・カールスルーエ大学で化学を専攻。1992年、フランス・ストラスブールのEHICS (European Higher Institute of Chemistry and Chemical Engineering)で博士号を取得。1997 年ベルリン工科大学で MBA（経営学修士）を取得。1993年 独ローヌ・プーラン・シリコーンズ社 入社。1998年 独チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社 入社。2006年 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ台湾 社長、2008年 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ韓国 社長兼、大韓スイス・ケミカルズ社長（韓国に駐在）を経て、2009年 7月にBASF ジャパン株式会社　常務執行役員 特殊化学品本部 本部長として東京に駐在。2010年9 月 BASF ジャパン株式会社 副社長執行役員 高機能製品統括本部。2011年 7月 コグニスジャパン株式会社 代表取締役社長 兼任。2012年 4月 BASF ジャパン株式会社 代表取締役社長。現職。</p>
<p>BASF ジャパン<br />
https://www.basf.com/jp/ja.html</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewer</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
        <div class="c-interview_card__thumb">
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    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">森 摂 （もり・せつ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"><p>株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長</p>
</div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社－CSRから始まるソーシャル・ブランディング』（学芸出版社、2015年）、『ブランドのDNA』（日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年）など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」（東洋経済新報社、2007年）がある。一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

サステナビリティと利益は必ず両立する――ヨルグ-クリスチャン シュテック BASFジャパン 代表取締役社長

<div class="u-mt30">
  <div class="c-interview_info">
      </div>
</div>

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/31/top.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナブルなブランドづくりにおいて、事業やCSR活動の方向性を決めるコーポレートメッセージは、重要な役割を担う。サントリーの「水と生きる」は抜群の知名度を誇るが、それがなぜ生まれ、どのように社内で機能してきたのか。グループのグローバル化が急速に進むなか、全世界の社員にどう理念を浸透させているのか。同社の福本ともみ執行役員コーポレートコミュニケーション本部長に聞いた。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「水と生きる」ことは事業の根幹</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/06/ind_img_01.png"/></div>
<div class="elem_paragraph">サントリーグループの理念体系</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――サントリーのコーポレートメッセージ「水と生きる」の消費者認知度は７割を超えたそうですね。どのような経緯で生まれたのでしょうか。</p>
<p>福本：「水と生きる」には　１)お客様に水の恵みをお届けする企業として、貴重な水を守りたい　２)文化・社会活動を通じて社会と共生し、社会にとっての水となりたい　３)社員一人ひとりが水のように自在でしなやかに、力強く挑戦できる企業でありたい　という三つの思いが込められています。これは当社の佐治信忠会長が社長に就任後、環境の時代である21世紀には新しい風を作りたいと社内に呼び掛け、2005年に生まれました。</p>
<p>企業理念に“わたしたちの使命(ミッション)”として「人と自然と響きあう」を掲げている当社は、自然の恵みをお客様にとって価値のある形にしてお届けするというビジネスを行っていますし、CSR活動も社会や自然と共生することを目指して取り組んでいます。この使命を、強い意志として社会に伝えていくために「水と生きる」というコーポレートメッセージを掲げました。</p>
<p>一方、「Growing for good」は“わたしたちの志(ビジョン)”です。さらに、これらのフレーズの土台にある「やってみなはれ」と「利益三分主義」という“わたしたちの価値観(バリューズ)”は、社員の行動原理や判断基準になっています。<br />自然が育む水資源に依存する当社は、水のサステナビリティ(持続可能性)が揺らいでしまうと、事業を継続していけません。サステナビリティ経営に取り組むことが事業の根幹なのです。</p>
<p>「水と生きる」は、会社と社員が「こうありたい」というコミットメントです。これを推進することが、ステークホルダーからの信頼の獲得につながります。社員のモチベーションの向上が顧客満足度やイノベーションを生み出し、長期的な競争力も強化できると考えています。</p>
<p>単にフレーズを唱えるだけではなく、社員に「水と生きる」を体感してもらうため、2014-2016年にかけてグループ会社を含めた国内6,000人を超える社員に、全国の「天然水の森」で、枝打ちや下草刈りなど森林整備を体験してもらいました。理念の共有には実践と体感が不可欠です。グローバル化やダイバーシティが進む中、基本となる価値観や創業の精神はしっかりと共有をしていきたいのです。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>社会貢献の精神をDNAとして受け継ぐ</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/08/csr2017_p12_05.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph">独自のプログラムである、次世代環境教育「水育(みずいく)」を展開</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――環境についてのサントリーの中期目標を教えてください。</p>
<p>福本：当社では2013年に「2050環境ビジョン」と「2020環境目標」を設定しましたが、2015年の国連総会でのSDGs議決、国連気候変動枠組条約・第21回締約国会議(COP21)での「パリ協定」を受けて、「ビジョン」「目標」を見直すことにしました。現在、内容を詰めており、来年には発表する予定です。SBT(Science Based Target、科学的知見と整合した温室効果ガスの削減目標)も、認証取得に向けて検討中です。</p>
<p>――社会に対する長期的な取り組みについてはどうでしょうか。</p>
<p>福本：当社の社会貢献活動は、創業者の鳥井信治郎の時代に始まりました。当時は無料診療所の創設や、匿名で苦学生へ奨学金を提供した社会福祉活動が中心でした。2代目の佐治敬三が社長を務めた戦後の高度成長期にはサントリー美術館やサントリーホールを創設するなどの文化、芸術、学術活動への取り組みも開始しました。</p>
<p>ただ、業績好調な時だけ寄附や協賛を行うといった、一時的な社会貢献活動について佐治は懐疑的で、一時のブームではなく、企業活動の基本的な一部として継続していくべきだという考えでした。当社は創業期から、DNAのなかに「社会貢献」を保ち続けているのです。</p>
<p>2015年に始まった社内の学びの場である「サントリー大学」では、メインのプログラムとして「創業精神の共有」をテーマに掲げています。海外のグループ会社からキーパーソンが参加し、帰国後社内に創業精神を広める人材として育成する「アンバサダープログラム」では、サントリー美術館やサントリーホールの視察、次世代環境教育として展開している「水育(みずいく)」の体感研修やディスカッションを通じて、創業精神への理解を深めてもらっています。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「水」への思いは日本から世界へ</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/08/csr2017_p13_07.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph">メーカーズマーク蒸溜所にて行われた植樹の様子</div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――サントリーは2014年に米バーボン業界最大手のビーム社を買収してビームサントリー社を設立。昨年には同社が「ナチュラル・ウォーター・サンクチュアリ」プロジェクトを立ち上げました。</p>
<p>福本：サントリーグループの「水と生きる」というメッセージに共感したビームサントリーが、自発的にプロジェクトをスタートしたのです。ケンタッキー州にあるメーカーズ・マーク(バーボン・ウイスキーの銘柄)蒸溜所の水源となっている地域で、森林保全の活動を始めました。</p>
<p>蒸溜所は風光明媚な土地にあり、従業員の地元愛も強い。そして、ケンタッキーは水が豊かで、石灰岩に磨かれたライム・ストーン・ウォーターは、バーボンウイスキーの命です。しかし、意外にも水資源を守るといった具体的な取り組みは行われていませんでした。</p>
<p>しかし、サントリーが日本で取り組んでいる水源かん養のための森林保全活動を知り、水資源の持続性が見直されました。地元の学術機関等と連携して行った流域の調査から浮かび上がった課題を受けて、本格的にサントリーと水資源保全活動を共有する動きが始まりました。</p>
<p>サントリーの活動が気付きのきっかけとなり、ビームサントリーが自発的に動き、またサントリーがレビューし、アドバイスするというサイクルを回しながら、共通の目標に向けて切磋琢磨していくという活動が始まったのです。</p>
<p>――今年4月にサステナビリティ戦略部を立ち上げた理由は何ですか。</p>
<p>福本：急速にグローバル化する事業の中で、国内で培った社会や自然との共生のための資産を生かし、企業理念である「人と自然と響きあう」に込めた想いを海外グループ会社とも共有することが重要だと考えています。その上で、世界レベルの社会課題にも対応しながら、企業理念を体現する活動を展開していくことを目指しています。そのために必要不可欠な「サントリーグループにとってのサステナビリティ戦略の構築」という意思を込め、新部署を立ち上げました。</p>
<p>ビームサントリーで始まった活動ですが、今後は欧州やアジアなど他の地域にも拡げ、水資源のサステナビリティに真摯に取り組む企業であることを目指してまいります。そのために先ず、本年１月に策定した「水理念」（水に関わる活動を行う際の基本スタンス）の浸透を図っているところです。</p>
<p>「水と生きる」というコーポレートメッセージは、グローバルに共有していく際に「Follow Your Nature」と表現しています。Natureは「自然」と「人間の持っている本質」という2つの意味があります。この理念の本質を世界に伝えることが重要だと考えています。</p>
<p>サントリーグループが世界の皆さんから信頼していただける「Good Company」として成長できるよう、あるべき姿をしっかりと描き、当社らしいユニークな取り組みを進めてまいります。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><a href="http://www.sustainablebrands.com/news_and_views/walking_talk/sustainable_brands/%E2%80%98living_water%E2%80%99_suntory%E2%80%99s_commitment_society">英訳記事はこちら（米国Sustainable Brandsへ）</a></p>
</div>
<p></div>
<p></p>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewee</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
        <div class="c-interview_card__thumb">
      <img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/wp-content/uploads/2017/10/prof2_1-300x300.jpg" alt="" />
    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">福本 ともみ（ふくもと・ともみ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"></div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>慶応義塾大学大学院卒。1981年、サントリー株式会社に入社。2012年サントリー芸術財団サントリーホール総支配人、2015年サントリービジネスエキスパート株式会社常務取締役・お客様リレーション本部長などを経て2016年サントリーホールディングス株式会社 執行役員 コーポレートコミュニケーション本部長に着任、現職。兼職で公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 理事。</p>
<p>サントリーホールディングス<br />
http://www.suntory.co.jp/</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewer</div>
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        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">森 摂 （もり・せつ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"><p>株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長</p>
</div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社－CSRから始まるソーシャル・ブランディング』（学芸出版社、2015年）、『ブランドのDNA』（日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年）など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」（東洋経済新報社、2007年）がある。一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

「水と生きる」は社会への決意――福本ともみ サントリーホールディングス 執行役員　コーポレートコミュニケーション本部長

<div class="u-mt30">
  <div class="c-interview_info">
      </div>
</div>

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_paragraph">
<p>ヤンマーが2015年8月、「A SUSTAINABLE FUTURE」という新たなブランドステートメントを打ち出した。2012年に創業100年を迎え、次の100年を見据える中で、ヤンマーの山岡健人社長は「サステナブル」というキーワードに着目した。単に農機を生産するだけではなく、農業や農産物の価値を高め、地域の自然、社会、人々をより豊かにすることが自社の存在意義と位置付けた。それを自社のテクノロジーを通じて実現したいと意気込む。</p>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/02/01_960  MG_1658.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――ブランドステートメントの「A SUSTAINABLE FUTURE」に「サステナブル」という言葉が使われた経緯について教えてください。</p>
<p>窪田：創業者の山岡孫吉は、「燃料報国」という理念を掲げていました。報国とは国に報いることですが、エネルギーを有効活用して農家の皆さんと一緒に収益を上げる、というものでした。</p>
<p>ヤンマーのDNAにそういう理念がありましたので、必然的に「サステナブル」という言葉が出てきました。「サステナブル」というと環境のイメージがありますが、当社は、自然と人の両方の豊かさをテクノロジーの力で追求していこうと考えています。最大限の豊かさを最小限の資源で実現することを目指しています。</p>
<p>――「A SUSTAINABLE FUTURE」には「テクノロジーで、新しい豊かさへ」というサブタイトルがありますね。</p>
<p>窪田：ブランドステートメントを打ち出すことには、2つの目的がありました。一つは、当社が100年の間で培ってきたブランドイメージが、天気予報の「ヤン坊マー坊」で、会社の実態を正しく表せていないのではないかと思いました。</p>
<p>大型船舶のエンジン製造やエネルギーシステムなど、研究・開発・製造・販売をやっている総合産業メーカーであるのに、農機のイメージが強い。何を目指している会社なのか、社会に理解してもらうことが必要でした。</p>
<p>もう一つは、社員の意識を変えることです。世の中の変化のスピードが早い中で、100年後にどういう会社を目指すのか、「A SUSTAINABLE FUTURE」を示すによって、社員の求心力を高めたかったのです。</p>
<p>――社員の意識を変えるタイミングにあった、ということですか。</p>
<p>窪田：そうですね。当社の産業はニッチですし、日本の農業マーケットは年々厳しくなっています。今まで通りのやり方ではやっていけないですし、グローバル展開の加速も必要です。</p>
<p>――事業の売上比率について教えて下さい。</p>
<p>窪田：アグリが全体の3割強で一番大きいです。日本と海外の比率で言うとほぼ、5割ずつ。特に海外事業の比率が上がってきていますから、ブランドステートメントを海外にアピールしていくことが必要です。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「サステナブル」をヤンマーのテクノロジーで実現</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/02/02_960  MG_1514.jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――「A SUSTAINABLE FUTURE」の発表のタイミングはいつ頃でしたか。</p>
<p>窪田：2015年8月です。今年度に入る前に各事業部で、「〇〇をすることによって、サステナブル・フューチャーを目指す」という宣言を、社内のイベントで行いました。</p>
<p>山岡社長の思いを理解してもらうため、社長と若手社員が座談会をしました。それをビデオに撮り、イントラや食堂で流し、社内報で紹介しました。社員一人ひとりが自分ごととして捉えることが必要です。</p>
<p>――社員の反応はいかがでしたか。</p>
<p>窪田：いつまでも豊かな自然が続くこと、そして人間の生活や暮らしが豊かであること。それを両立することが、ヤンマーの目指しているサステナビリティだと説明して、イメージが湧くようにしました。</p>
<p>更に「ヤンマーのテクノロジーで実現する」と伝えると身近になります。具体的にどんな社会を目指しているかを、4つに分けて、私共の活動の全てが、この4つの社会のどれかを実現することにつながっていく、と考えられるようにしています。</p>
<p>４つとは、「省エネルギーな暮らしを実現する社会」「安心して仕事・生活ができる社会」「食の恵みを安心して享受できる社会」「ワクワクできる心豊かな体験に満ちた社会」のことです。</p>
<p>――サステナブルな社会の実現には、地域や社会との対話が重要ですね。</p>
<p>窪田：社長からの指示で、とにかくお客様の声を聞いて、課題に応えることを優先しています。それも、自分たちだけで解決するのではなく、他社やNGO/NPOと協働して課題を解決していくことが大切です。</p>
<p>だからこそ「A SUSTAINABLE FUTURE」を打ち出すことが必要でした。何をやりたい会社なのか、何を目指している会社なのかを対外的に打ち出すことによって、様々な機会が生まれます。潜在的な未来のパートナーに対してもアピールしたかった。</p>
<p>――いま言われたことは、企業としての存在意義に関わることだと思います。</p>
<p>窪田：「わたしたちは自然と共生し、生命の根幹を担う、食料生産とエネルギー変換の分野で、お客様の課題を解決し、未来につながる社会と、より豊かな暮らしを実現します」がミッションステートメントです。食糧生産とエネルギー変換は、まさに当社のコアです。私たちの使命は大きいと思います。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>企業の存在意義「パーパス」</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――最近、存在意義という意味で「パーパス」という言葉が使われています。「ミッション・ビジョン・バリュー」は企業戦略の基本ですが、あるべき姿や方向性・やるべきことの根の部分が、パーパスです。企業の存在意義を考えると、社会との関わり方が非常に大事になってきます。</p>
<p>窪田：そうですね。当社としては物を売っているだけの会社ではないということを、きちんとアピールしたかった。特に、食糧生産とエネルギー変換に関する課題を解決していきたいです。</p>
<p>――食糧危機や貧困は非常に大事な問題です。社会の声を聞く仕組みはありますか。</p>
<p>窪田：当社では「担い手がいなくて困っている」という農家の声を直接聞いて、トラクターのデザインを魅力的に変えるという方向につなげていきました。</p>
<p>――2016年度グッドデザイン金賞を受賞した「YT3シリーズ」ですね。</p>
<p>窪田：奥山清行さんのデザインで、奥山さんは実際に農家を回ってヒアリングしました。皆さんの声をもとに、見た目だけでなく乗り心地や快適な操作性など、細部にこだわっています。</p>
<p>――奥山さんは、社外取締役に就任されていますね。</p>
<p>窪田：当社は全製品をデザインの力でより魅力的なものにしようしています。経営面でも、アドバイスをいただくためにお招きしました。奥山さんご自身も会社をお持ちですので、経営者の視点、グローバルな視点で厳しい意見をいただけることは、いい刺激になり、当社の強みです。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>得意分野で日本の農業を守る</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>――僕らが子供のころは故郷にトンボがよく飛んでいましたが、今は絶滅の危機に瀕しています。その原因の一つがネオニコチノイドなどの農薬とされていますが、ヤンマーでも何か取り組みをされていますか。</p>
<p>窪田：岡山県倉敷市にオープンしたバイオイノベーションセンターで、環境に負荷をかけない農業の研究・開発をしています。</p>
<p>――農薬を減らす、という考えは盛り込んでいますか。</p>
<p>窪田：もちろんです。お客様の土の成分について、データを示さないと理解していただけないですから。</p>
<p>――御社にはリーダーシップを取っていただいて、日本の空にトンボが飛ぶようなストーリーが描けると力強いです。</p>
<p>窪田：実は当社のロゴは、「オニヤンマ」をモチーフにしており、ヤンマーという社名もトンボから来ているのです。それほど、当社は創業以来、農業だけではなく、自然とのかかわりを大切にしてきました。</p>
<p>農家の収益を上げるということも、日本の農業を守ることにつながると思います。本社の最上階にある社員食堂を「Premium Marche OSAKA」に名称を改め、2月4日から週末限定で一般にも開放します。直接、生産者の野菜で作った食事を提供します。</p>
<p>ロボットトラクターで作業効率を上げることも、農家を支援することにつながっていくはずです。日本だけでなく、世界的にも食糧生産の効率を上げていくことは、大きな課題です。私共は私共の得意分野で農家を支援することが出来ると思います。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewee</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
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        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">窪田 弘美（くぼた・ひろみ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"></div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>広島県出身。1984年成城大学経済学部卒業後、通信、IT関連の外資系企業にてマーケティング、広報を担当。レノボ・ジャパン株式会社にてコーポレートコミュニケーション ディレクターを務めた後、2015年6月ヤンマー株式会社に入社、執行役員、ブランドコミュニケーション部部長に就任。企業ブランディング、パブリックリレーション、スポーツマーケティングを統括している。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewer</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
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    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">森 摂 （もり・せつ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"><p>株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長</p>
</div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社－CSRから始まるソーシャル・ブランディング』（学芸出版社、2015年）、『ブランドのDNA』（日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年）など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」（東洋経済新報社、2007年）がある。一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

「A SUSTAINABLE FUTURE」に込めた、人と自然の豊かさとは―窪田 弘美・ヤンマー執行役員

<div class="u-mt30">
  <div class="c-interview_info">
      </div>
</div>

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_paragraph">
<p><div>創業者コンラッド・ヒルトンがテキサス州で最初のホテルを経営し始めてから今年で98年。ヒルトンは客室数で世界第2位のホテルチェーンに成長した。創業100年を経て、次の100年で生き残るためには「C(S)R(企業の責任)を果たすことが不可欠だ」とティモシー・ソーパー同社日本・韓国・ミクロネシア地区運営最高責任者は説く。その戦略の根幹として「パーパス（存在意義）」や「ミレニアル世代への対応」などのキーワードが並んだ。</div>
</p>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/12/IMG_6083_2.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――グローバル企業として、サステナビリティについてはどう考えていますか。</p>
<p>ソーパー：ヒルトンは2011年から「トラベル・ウィズ・パーパス (Travel with Purpose、目的ある旅)」と名付けたCR(Corporate Responsibility)活動を展開しています。</p>
<p>この名前は、ヒルトンという会社の存在意義を問いつつ、その事業を「旅」という言葉に置き換えて生み出されました。もちろん企業として利益を上げることは重要ですが、ヒルトンという会社が存在するのは社会への責任を果たすためでもあります。</p>
<p>創業者であるコンラッド・ヒルトンは「Assume your full share of responsibility for the world in which you live(あなたが住む世界は、あなたがその責任のすべてを負っている)」という理念を掲げました。ヒルトンのCRはその理念を受け継いだものです。</p>
<p>「Travel with Purpose」は、ホテルを運営している国や地域に根ざし、今後もグローバルで存在感のある企業であるためのヒルトンの役割を明示する言葉です。</p>
<p>――具体的にはどのようなものでしょうか。</p>
<p>ソーパー：グローバルのCRには3つの柱があります。第1に従業員が能力を最大限生かせる機会をつくることです。第2に、ホテルが位置する地域社会への責任を果たし、貢献すること。そして、環境を保全し、事業による環境負荷を減らしていくことです。</p>
<p>アジアパシフィックの3つの柱は、まず若者の雇用です。2019年までに100万人の若者に対してキャリア説明会などを通して働きかけたいと考えています。そのためには、人材育成や勤続の促進などの制度を充実していく必要があります。</p>
<p>次にジェンダーダイバーシティ(性の多様性)です。男女の雇用機会の均等化やワーキングマザーへの支援を強化します。</p>
<p>そして、サステナビリティ。持続可能な社会への取り組みとして、ホテルで消費されるエネルギー量や廃棄物の削減などを実施しています。</p>
<p>――従業員にはどのようにCRを浸透させていますか。</p>
<p>ソーパー：毎年10月に世界中のヒルトン系列ホテルで取り組んでいる「ヒルトン・グローバルサービス月間」を通して行っています。2016年は93カ国で4166の取り組みを実施しました。海の清掃やフードバンク活動などさまざまな取り組みがあります。日本国内だけでも約40のボランティア・プロジェクトを期間中に行います。</p>
<p>こちらのコーポレート・オフィスの取り組みでは、千葉県館山市の児童養護施設に遊具を提供しました。約70人が暮らしていますが、遊具はアメリカから取り寄せ、このオフィスにいる約100人の従業員が一日がかりで設置をしました。設置した後は、子どもたちとパーティをしました。</p>
<p>児童養護施設に遊具を設置するボランティアは、NPO法人プレイグラウンド・オブ・ホープ(東京・港)と協働し、毎年さまざまな場所で行っています。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>地域貢献とミレニアル世代の雇用</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>――グローバル企業として、ローカル（地域）への社会貢献に重点を置いているのですね。</p>
<p>ソーパー：ホテルは地域に密着したビジネスです。グローバル企業でもホテルが拠点を置く地域コミュニティへの貢献は重要です。地域に貢献することは、その地域からも何らかの形で恩恵があるということです。</p>
<p>その良い例が、若者の雇用です。いま新規で採用する世代は世界中で「ミレニアル世代」と呼ばれていますが、これまでの世代とは別の価値観を持っています。</p>
<p>彼らに「人生で大事なものは何か」と聞くとします。25年前なら、面接に来る人の多くはお金や給料、良い暮らしと答えました。今の世代にもそういう考えはあるでしょうが、「社会的責任を果たしている企業で働きたい」と話すのです。</p>
<p>ヒルトンでは年間で数百人を採用しています。CRを果たすことは、ミレニアル世代の採用を行っていく上で当然のことです。新しい世代は、お金に還元できない価値観で動いているのです。</p>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/12/Hilton Tokyo Bay_Christmas Train (2).jpg"/></div>
<div class="elem_paragraph"><span style="color:rgb(51, 51, 51)">全国6カ所のホテルで開催されるチャリティープロジェクト「クリスマス・トレイン」</span></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――他に国内で取り組まれていることはありますか。</p>
<p>ソーパー：「クリスマス・トレイン」の展示です。毎年、お客様から好評をいただいています。ヨーロッパの冬の風景を再現したジオラマと鉄道を全国6カ所のホテルのロビーに展示しています。</p>
<p>車両や看板などの模型それぞれに企業のロゴが入っています。広告としてさまざまな企業に協賛していただいており、この広告費の一部を国内外の子どもを支援するNPO法人などに寄付しています。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>時代の要求に応えることが生き残る策</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/interview/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/12/IMG_6026_2.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>――ヒルトンの株主の間で、CRへの関心は高まっていますか。</p>
<p>大企業の株主であれば、どこであれCRに一定の注目をしていると思います。社会や宿泊客が関心を持つことは、株主も関心を持っています。</p>
<p>ヒルトンは1919年に創業してもうすぐ100年目を迎えます。次の100年を生き残るためには、今の世の中が求めるCRやその哲学を無視することはできません。でないと、ミレニアル世代はヒルトンで働いてくれないでしょう。</p>
<p>――CSRまたはCRの株価への影響はどう思われますか。取り組まなければ株価が下がると思いますか。</p>
<p>明言はできませんが、そういう見方もあるでしょう。10年前にCRについて話していた人などほとんどいませんでした。それなのに今では、多くの人が企業の社会的責任について話しています。次の10年がどんな10年になるかでしょうね。</p>
<p>――ジェンダーダイバーシティにも力を入れているようですね。</p>
<p>今年から日本・韓国・ミクロネシア地区の女性スタッフを招き、ウーマン・リーダーシップ・カンファレンス(女性リーダー活躍推進会議)の開催を始めました。</p>
<p>第1回目は、女性の活躍推進を阻むものはなにか、推進するためには何ができるのかについて意見を交わしました。</p>
<p>今後の目標は、2017年までに総支配人の2割を女性に引き上げ、2019年までに3割にすることです。ヒルトンは総支配人になる女性人材の育成に力をいれています。</p>
</div>
</div>
</div>
<p></div>
<p></p>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewee</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
        <div class="c-interview_card__thumb">
      <img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/wp-content/uploads/2017/01/hilton.jpg" alt="" />
    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">ティモシー・ソーパー</div>
      <div class="c-interview_card__company"></div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>英国出身。カークリーズ大学卒業。数社のホテルで働き、1988年にヒルトン・ワールドワイド入社。ヒルトン・ロンドン・オリンピアで料理飲料部担当ディレクターを務めた後、アジアを拠点に韓国、東京、名古屋で総支配人を務めた。2007年から中国・モンゴル地区の運営最高責任者となり、2012年10月から現職。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

<div class="c-interview_card">
  <div class="c-interview_card__title">interviewer</div>
  <div class="c-interview_card__inner">
        <div class="c-interview_card__thumb">
      <img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/wp-content/uploads/2019/03/mori.jpg" alt="" />
    </div>
        <div class="c-interview_card__body">
      <div class="c-interview_card__name">森 摂 （もり・せつ）</div>
      <div class="c-interview_card__company"></div>
      <div class="c-interview_card__text">
      <p>株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社－CSRから始まるソーシャル・ブランディング』（学芸出版社、2015年）、『ブランドのDNA』（日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年）など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」（東洋経済新報社、2007年）がある。一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。</p>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

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