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<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/07/02/g00material.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>Image credit: Sarah Lötscher</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>米欧のファッション業界で、循環型モデルの取り組みが加速している。企業プラットフォーム「ファッション・フォー・グッド」は5月、「循環のための分別」と題した新たなレポートを発表した。このレポートでは、米国の繊維廃棄物をめぐる現状と、繊維リサイクル拡大の可能性が示されている。コペンハーゲンで行われたグローバル・ファッション・サミットでは、エレン・マッカーサー財団による新たなイニシアチブ「ザ・ファッション・リモデル」が発足した。参画企業は、製品だけでなく、ビジネスモデル自体を循環型にしていくための取り組みを加速する。(翻訳・編集＝茂木澄花)</p>
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<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>レポート：米国では、繊維の分別に15億ドルの市場機会がある</h2>
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</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナブルなファッション業界を目指す企業のプラットフォーム<a href="https://fashionforgood.com/">「ファッション・フォー・グッド」</a>は5月、<a href="https://reports.fashionforgood.com/wp-content/uploads/2024/05/2024-FFG-RRS-Sorting-for-Circularity-USA-Report.pdf">レポート</a>「循環のための分別 米国版(Sorting for Circularity USA)」を発表した。消費者による処分行動、繊維廃棄物の構成、そして米国で繊維から繊維へのリサイクルを拡大できる可能性について深掘りした、過去に類を見ないレポートだ。循環型の事業を実現するためのさらなる投資、インフラ開発など、次のステップを決定するために必要な知見が示されている。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>米国の繊維廃棄物の現状を把握する</h2>
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</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>米国は繊維の消費量と廃棄量がいずれも世界最多であるため、二次的な原材料としての使用済み繊維の最大級の供給源となっている。にも関わらず、米国で出る繊維廃棄物のうち再利用されているのは15%にとどまり、残りの<a href="https://www.epa.gov/facts-and-figures-about-materials-waste-and-recycling/national-overview-facts-and-figures-materials">85%</a>は埋立地か焼却炉行きだ。</p>
<p>公的機関と民間企業の両方が、<a href="https://www.sustainablebrands.jp/news/us/detail/1221700_1532.html">繊維から繊維へのリサイクル</a>を推進している。それとともにEUや一部の米国の州で間もなく施行される政策も影響し、使用済み繊維の回収、分別、リサイクルに関わるインフラの需要は高まっている。同レポートは、現在生じている需要と供給のギャップと、それを埋める市場機会を明らかにするために公表された。</p>
<p>「循環のための分別 米国版プロジェクトでは、繊維廃棄物を価値ある資源に転換するという、繊維業界の重要な課題に取り組んでいます」。こう話すのは、ファッション・フォー・グッドのマネージングディレクターを務めるカトリン・レイ氏だ。「このプロジェクトでは、消費者の行動、廃棄物の発生、利用可能なリサイクル技術の間にある関連を調べました。すべての繊維を有効に使い、廃棄を最少にするシステムを構築することを目標としています」</p>
<p>同プロジェクトは、2023年1月にファッション・フォー・グッドと米国の専門コンサルティング会社<a href="https://recycle.com/">リソース・リサイクリング・システム</a>(RRS)が立ち上げたものだ。ファッションのバリューチェーンを循環型に移行するための、戦略的な意思決定に欠かせない知見を提供することを目指している。</p>
<p>プロジェクトの基礎となっているのは、2021年にファッション・フォー・グッドとオランダの循環型経済推進団体<a href="https://www.circle-economy.com/">サークル・エコノミー</a>が導入した枠組みだ。英マトハ社の<a href="https://matoha.com/basics-of-near-infrared-spectroscopy">近赤外線(NIR)技術</a>を活用して繊維廃棄物の構成を分析し、繊維から繊維へのリサイクルの可能性を明らかにする。</p>
<p>プロジェクトに参加したのは、下記の企業・団体だ。</p>
<p><strong>【ファッション・フォー・グッドのパートナー企業】</strong><br />アディダス、インディテックス、リーバイ・ストラウス、ターゲット<br /><strong>【外部パートナー】</strong><br />イーストマン、H&amp;Mグループ、ルルレモン、ニューヨーク州サステナブル原材料マネジメントセンター(NYS CSMM)、ノードストローム<br /><strong>【主要なプロジェクト実行パートナー】</strong><br />二次原材料とリサイクル繊維協会(SMART)、グッドウィル・インダストリーズ、ヘルプシー、ユナイテッド・サザン・ウェイストなど</p>
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<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/07/02/g01cottonbro.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>Image credit: cottonbro studio</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>重要な2つの分野のデータ不足を解消する</h2>
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<p>レポートでは、実際に機能する回収のサプライチェーンと必要なインフラを構築するにあたって、データが不足している重要な2つの分野が示されている。「消費者による処分行動」と「使用済み繊維製品の素材的な特徴」だ。同プロジェクトでは、こうしたデータ不足を解消するため、全国的な消費者調査と廃棄物構成の分析が包括的に実施された。</p>
<p>米国の成人1200人に対する調査で、回答者の60％が繊維製品を寄付、再販売、家族や友人への譲渡などを通じて必ず転用しているのに対し、4％の人は常に廃棄していることが分かった。常に廃棄している主な理由には、「製品の状態やサイズが合わないこと」「何が寄付、再利用、リサイクル可能なのか自信がないこと」「本当に再利用やリサイクルされるのか疑っていること」などがある。一方、廃棄物の構成分析では、繊維の種類は綿とポリエステルが最も多く、使用済み繊維製品の56％以上が、再び繊維にリサイクルするのに適した状態であることが分かった。つまり、使用済みの繊維製品は、物理的リサイクルや<a href="https://sustainablebrands.com/read/chemistry-materials-packaging/lululemon-textile-circularity-enzymatically-recycled-nylon-66">化学的リサイクル</a>の原材料としてかなり有力だ。</p>
<p>「データがほとんど、もしくは全くなかった回収のバリューチェーンの2つの側面について、この調査で正当性のある知見が示されました。1つ目は、消費者が不要になった繊維製品の処理方法をどのように決定しているのか、2つ目は使用済み繊維製品の繊維構成です」とRRSのシニアコンサルタント、マリサ・アドラー氏は話す。「これらの新たな知見により、より多くの繊維製品を回収できる体制を強化し、繊維リサイクルの経済的な可能性を算出し、データに基づいて協力的な政策を構築することができます。私たちは今回の調査を基に、繊維を循環させるためのさらなる機会を提示し続けることに熱意を持っています」</p>
</div>
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<h2>繊維が循環する未来への道筋を描く</h2>
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<p>このプロジェクトによって、<a href="https://www.sustainablebrands.jp/news/us/detail/1212848_1532.html">繊維から繊維へのリサイクル</a>には、15億ドルの市場機会があることが明らかになった。レポートでは、米国の繊維リサイクル産業の成長戦略が概説されている。特に、効率化、コモディティの価値評価の向上、<a href="https://sustainablebrands.com/browse/topics/extended-producer-responsibility">拡大生産者責任(EPR)</a>スキームといった政策のメカニズムによって経済的価値を高めることが強調されている。企業、政府、小売店、消費者、回収業者、分別業者、リサイクル業者、そして金融機関。こうしたステークホルダー間の協働が、サーキュラリティを推進し、研究開発に投資し、協力的な政策と技術革新を促すインセンティブの導入を提唱するために欠かせない。繊維製品をリサイクルし、循環させる活動には、大きな経済的な可能性があることは明白だ。</p>
<p>ファッション・フォー・グッドによれば、今回の知見を基に、さまざまな分別のビジネスモデルと(半)自動の分別技術の実行可能性を評価できる可能性があるという。また繊維製品のクローズド・ループ・リサイクル(使用済みの製品を同じ素材にリサイクルすること)に適したデモ施設を作れる見込みもある。最終的には、半自動の分別プロセスの商業的・技術的な実行可能性を評価し、全国的にソリューションを展開する投資の機会を明らかにする。</p>
</div>
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<h2>アパレルブランド各社が、ビジネスモデルの「改造」に着手</h2>
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<p>一方、5月21日には、世界的な大手ファッションブランド各社が、エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)のイニシアチブ<a href="https://www.ellenmacarthurfoundation.org/the-fashion-remodel/overview">「ザ・ファッション・リモデル」</a>に参画した。新品の衣類を製造せずに収益を上げる方法を模索するためだ。</p>
<p>ザ・ファッション・リモデルは、コペンハーゲンで行われたグローバル・ファッション・サミットで発足した。循環型ビジネスモデルを当たり前のものにするため、一般消費者向けから高級ブランドまで、業界をけん引する企業や業界内のその他のプレーヤーが結束する。</p>
<p>プロジェクトの最初の参画企業には、アークテリクス、アーケット、コス、H&amp;Mグループ、プライマーク、リフォーメーション、ウィークデイ、ザランドなどが名を連ねる。プロジェクトは、新品の衣料品の製造に頼らず収益を上げるためのソリューションや機会を特定し、循環型のファッション業界を実現するという長期的な目標を推進する。</p>
<p>「当社は、再びエレン・マッカーサー財団と協働できることを楽しみにしています」とH&amp;Mグループのサステナビリティ責任者、レイラ・エルトゥール氏は言う。「ファッション業界の成長を、資源利用から切り離すことで得られるチャンスはとても大きなものです。このプロジェクトでは、こうしたモデルをさらに拡大する方法への理解を深められるでしょう」</p>
<p>配慮ある消費に対する消費者の関心は高まり、ファッション・フォー・グッドのような繊維のリサイクルを増やす取り組みは広がり続けているものの、ファッション業界の大部分はいまだに「採って作って捨てる」モデルで回っている。これにより、毎年何百万トンもの衣類が作られ、着られ、そして捨てられている。</p>
<p>レンタル、再販売、修理、リメイクといった循環型のビジネスモデルは、製品を使い続けることにつながる。最近エレン・マッカーサー財団が実施した研究では、<a href="https://emf.thirdlight.com/file/24/Om5sTEKOmm-fEeVOm7xNOmq6S2k/Circular%20business%20models.pdf">2030年までに世界のファッション市場の23%</a>が循環型のビジネスになると推定されている。ファッションの未来を変えるチャンスは、およそ7000億米ドルに値するということだ。</p>
<p>エレン・マッカーサー財団は、ファッション・リモデルがきっかけとなり、政策立案者の支援を得ながらファッションビジネスのやり方を変革できることを期待している。</p>
<p>「ザ・ファッション・リモデルの参加企業・団体は、循環型のファッション業界に向かう道のりに次の一歩を踏み出しています」。こう話すのは、エレン・マッカーサー財団のファッション分野担当ジュールズ・レノン氏だ。「従来の直線型のモデルに異を唱え、新しい当たり前を作り出すため、企業は製造と収益を切り離して考えなければなりません。今後の製品をデザインし直す努力を加速し、製品を顧客に届け、使い続けてもらうためのサービスとビジネスモデルを考え直す必要があるのです」</p>
<p>「ファッション業界は、刷新に根差した業界です。服が一度着て捨てられるのではなく、より多くの回数着てもらい、より多くの人の生活に関わる。そんな世界を目指す企業主導の取り組みを歓迎します」</p>
<p>同財団は、ザ・ファッション・リモデルから得た学びと経験を共有することで、より強靭(きょうじん)なファッション業界に向かう道を築けると考えている。同財団は2019年から2023年まで、参加企業にワードローブの定番であるジーンズを循環型経済に適したものに作り変えることを課した<a href="https://sustainablebrands.com/read/business-case/trending-virus-be-damned-fashion-industry-charges-ahead-toward-sustainable-future">「ジーンズ・リデザイン」プロジェクト</a>を実施していた。それに続くのが今回のプロジェクトだ。「ジーンズ・リデザイン」プロジェクトでは、製品をデザインし直したが、その製品を届け、使い続けてもらうためのインフラを変革するには、さらなる取り組みが必要だと分かったのだ。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>すべての製品に「第二の命」を授け、循環型の未来へ</h2>
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<div class="elem_paragraph">
<p>「アークテリクスは、長持ちする製品を作り、お客様に製品を使い続けてもらうためのツールと情報を提供することで、循環型の未来に貢献します」。アークテリクスの修理サービス、リバードのバイスプレジデント、ドミニク・シャワーズ氏はこう語る。「エレン・マッカーサー財団の実証プロジェクト、ザ・ファッション・リモデルに参加する第一弾の参加企業となれたことに、わくわくしています。アウトドア業界の循環の新たな概念を作るため、デザインと廃棄に対する考え方を見直し、当社が作ったすべてのものに第二の命が与えられる未来を築いていきます」</p>
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ワールドニュース

話題のキーワード

循環型ファッションの米欧最新動向――繊維分別の可能性を示すレポートの発表と、新たなイニシアチブの発足

「出会い・感じる」から始めるサステナビリティ

アーヤ 藍

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<table class="elem_pik_box" style="color: initial;" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/00_1.png" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>社会課題への関心をより深く長く“サステナブル”なものにする鍵は「自ら出会い、心が動くこと」。そんな「出会える機会」や「心のひだに触れるもの」になるような映画や書籍等を紹介する本コラム。</p>
<p>5月30日は「ごみゼロ」の日。皆さんのお住まいの地域では、どんなごみが燃やされ、どんなごみがリサイクルされていますか？　企業にお勤めの方はオフィスのごみの行方をご存知ですか？</p>
<p>以前の私は、集積場に出した後の「ごみのその後」まで意識していませんでした。変わってきたのは、映画を通じてさまざまな環境問題の実情を知ってから。そしてゼロ・ウェイストに取り組む上勝町(徳島県)の冊子制作に携わらせてもらったことで、そもそも物を買う段階から「これって処分する時どうなる？」と想像することが増えました。</p>
<p>数年前に石垣島で暮らし始めてからは、さらにごみが気になるようになりました。人口もそこまで多くないうえ、本州からはるかに遠いこの島で出たごみはどこへ行くのだろうと……。調べてみたら、現在ある埋立地は数年で満杯になるため、かさ上げをして延命するとありました。埋立場所を広げるなどしていけば、数十年ずつ延命することはできるでしょう。でもそれで「じゃあ安心だ」とは、きっと皆さんも思わないだろうと思います。</p>
<p>ごみ。私たちが毎日何かしら出している日常的なものなのに、ブラックホールのように、知らない、分からないことが多くないでしょうか。そんなブラックホールの奥の方まで確かめに行ったのが、ドキュメンタリー映画『リサイクルの幻想』です。タイトルがすべてを物語っていますが(笑)、ごみ、特にプラスチックごみを資源循環させる取り組みを複数取材し、「本当に資源を活かせているの？」と実態に迫っていく作品です。</p>
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<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/01.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>映画『リサイクルの幻想』</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>世界中から廃プラスチックの処分を受け入れていた中国が輸入を禁じた際には、日本でもメディア等で話題になりましたが、廃プラスチックの量を大幅に減らすことはできず、結局行き先が変わっただけ。中国から南アジア諸国へ受け入れ国が移り、それらの国でも規制が厳しくなると、今度はトルコ、さらにはEU最貧国のブルガリアへと移っていきます。映画で語られている説明によれば、トルコやブルガリアも規制はありますが、それをかいくぐった「闇取引」が存在し、違法な埋め立て処分や焼却処分がされているのです。</p>
<p>闇取引された廃プラスチックの中に、「どんなものもリサイクル可能！」と掲げる某有名リサイクル企業から送られてきたものも見つかり、グリーンウォッシュではないかと監督は訴えていきます。</p>
<p>本作を見ていると、いかに、ごみという厄介者を世界中でたらい回しにし、押しつけ合っているかを感じます。同時に、規制するだけではいたちごっこになるであろうということも……。</p>
<p>ただ、「ウォッシュをする企業がいけないんだ！」と言えるかといったら、私は躊躇(ちゅうちょ)します。読者の皆さんもおそらく「リサイクル100%を掲げる企業が、実際にはちゃんとリサイクルをしていなかった！」と聞いても、おそらくそこまで驚かないのではないかと思います。</p>
<p>私たち消費者もどこかで分かっているのです。「生分解性」「リサイクルできる」「環境負荷が小さい」といった言葉がついているからといって、環境への影響がゼロであるはずはないことを。でも、そうした言葉によって消費する罪悪感を減らしているのは、私たち消費者側も同じではないでしょうか。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/02-1.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>映画『リサイクルの幻想』</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/02-2.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>映画『リサイクルの幻想』</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>グリーンウォッシュをテーマにしたトークイベントを開催したとき、ゲストの方がこんな話をしていました。「ポジティブなことばかりを発信しようとするからウォッシュが起きてしまう。『現時点でこれはできているけれど、ここはまだ課題として存在している』などと、一見ネガティブに思えることもオープンに語っていった方が、これからの時代、消費者の信頼を得ていけるはずだ」と。</p>
<p>この言葉に私はとても納得したのと同時に、企業がオープンにする負の側面に対して、企業だけに責任を押し付けるのではなく、商品を介してつながっている消費者の私たちも、地球に負荷をかけている責任を一緒に背負っていく気持ちが大事なのではないかと思います。</p>
<p>環境負荷をかけてしまっているという事実と向き合い、その責任を背負いながらも、「何ができるか？」を探求し続けた先に生まれる、パワーや可能性を魅せてくれる作品があります。ドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』。パリのオートクチュール・コレクションに日本から唯一参加し続けている「YUIMA NAKAZATO」のデザイナー・中里唯馬氏に密着したドキュメンタリー映画です。</p>
<p>中里氏は一貫して、大量生産ではなく一人一人の個性を尊重した服づくりと、環境負荷を減らした服づくりにこだわり、その道を探求してきました。オーガニックコットンや天然素材のレースなど、昔からある環境負荷が小さい素材を使用するのに加え、プログラミングして3Dニッティングマシーンで生産することにより、生産時のロスを最小限にしたり、パズルのようなピースを組み合わせて服を作ることにより、劣化しやすい部分だけを交換できるようにするなど、新しい技術や手法も開拓し続けています。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/03.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>映画『燃えるドレスを紡いで』</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>そんな中里氏が「衣服の最終到着点を見たい」と、世界中の不要になった服が集まるアフリカのケニアを訪れます。ケニアでもかつては繊維産業が盛んでしたが、世界中から低品質の売れ残った衣服が押し寄せたことにより衰退してしまったと言います。衣服によってできているごみの山に対峙し、そこに暮らす人たちに「もう服を作らないでくれ」と言われた中里氏は、「何が正しくて何が正しくないのか、訳が分からなくなってしまった」と言葉を失います。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/29/04.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>映画『燃えるドレスを紡いで』</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ファッション業界は、人の物欲を刺激することにより成り立っている産業であるという事実と、それが生み出している大きな問題を見つめた上で、中里氏は「最終到着地点」にあった衣服を使った新しいファッションを模索していきます。それは同時に、ケニアで感じた「人が装うことの根源的な意味」を探求していくプロセスでもありました。</p>
<p>そうして生まれ変わった衣服たちの姿を映画で目にした時、私は生まれて初めてファッションショーで涙が溢れました。そこに願いのような、祈りのようなものを強く感じたからだと思います。</p>
<p>ごみ問題や環境問題と向き合おうとすると未来が見えず暗い気持ちになったり、自分がその原因の一端を担っていることに苦しさを感じたりしやすいものです。でも本作を観ていると、人間には創造する力や表現する力があるのだと希望を感じます。その力を信じて、自分ができることを人生の時間を使って探求し続けていく。そこには苦しさ以上の「ゆたかさ」があるのだと、きっと背中を押されるはずです。</p>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>▼映画『リサイクルの幻想』 (2021年製作／46分／ドイツ)</strong><br />
アジアンドキュメンタリーズで配信中<br />
<a href="https://asiandocs.co.jp/contents/1367">https://asiandocs.co.jp/contents/1367</a></p>
</div>
<div style="width: 560px; margin: auto;"><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="https://www.youtube.com/embed/KEhkM3Kj8Nc?si=eRfQRo_vWYmShXQs" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe></div>
</div>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>▼映画 『燃えるドレスを紡いで』 (2023年製作／89分／日本)</strong><br />
全国順次公開中<br />
<a href="https://dust-to-dust.jp/">https://dust-to-dust.jp/</a></p>
</div>
<div style="width: 560px; margin: auto;"><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="https://www.youtube.com/embed/OucvuKXX0hQ?si=YcRYHnVprJX_T4Tv" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe></div>
</div>
</div>
<p></p>
</div>
<p></p>

コラム

環境 environment

プラスチック

【アーヤ藍 コラム】第8回 ごみが行き着く先への責任と創造

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<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/08/g1.jpeg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>Image credit: IKEA</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ファッション分野で資源循環の取り組みがますます広がっている。イケアは1月、従業員のユニフォームをリサイクルした素材でつくったコレクションを発表。また3月には、英シューズブランドのドクターマーチンが、定番商品にリサイクルレザーを使用した新コレクションを発売した。(翻訳・編集＝小松はるか)</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>従業員のユニフォームが新コレクションに</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>イケアはこの数年間、ユニフォームの新デザインを公表する一方で、数百パレット(貨物用の台)分の古いユニフォームを回収してきた。また、先に発注しながらも新デザインへ移行したため、未使用となったユニフォームが過剰在庫として残っていた。同社は、繊維製品の在庫と、H&amp;Mと取り組んだ、繊維リサイクルにおける化学的汚染の除去に関する大規模調査から分かったことを生かし、繊維製品のリサイクル事業に乗り出した。</p>
<p>そうして誕生したのがコレクション「VÄXELBRUK」だ。2020年から2022年にかけて欧州市場で回収した300トンのリサイクルユニフォームを活用したスロー(インテリアカバー)、クッションカバー、カーテン、バッグのコレクションで、欧州で発売する。</p>
<p>ビジネス・イノベーション担当のルカ・クレリッチ氏は「衣類を分解する工程が、今回のコレクションならではの製品を生み出すきっかけになりました。誕生した生地は、カーテンからオフィス用の椅子の生地に至るまで、さまざまな仕様に適していることが分かりました」と話す。</p>
<p>VÄXELBRUKのいくつかの製品は、イケアのトレードマークである黄色と青色が使われているが、イケアカラーを強調することが目的ではない。</p>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/08/g2.jpeg"/></div>
<div class="elem_paragraph"><sup>Image credit: IKEA</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>「開発過程でサプライヤーから良いアイデアを多くもらい、異なる生地を作るために工業用繊維の余剰分から他の色を取り入れることにしました。それにより、イケアカラーの黄色は薄い黄色に、青も薄い青色になりました」</p>
<p>色のついた生地、特に多色の生地作りには通常、染色が必要となる。その工程は、資材と店頭に並ぶ最終製品の価格を増大させる。VÄXELBRUKコレクションの製品づくりで重要なのは、希望の色彩効果を出すために、リサイクル繊維の色を組み合わせることで染色プロセスを経ることなく色を調整できるということだ。</p>
<p>しかし、クレリチ氏は、VÄXELBRUKの製品づくりから得られた最も困難で重要な教訓は、製品の開発やデザインと関係なかったと言う。</p>
<p>「イケア内で潜在的廃棄物を管理、再利用するのは初めてのことでした。そのため、必須要件や法律、ロジスティックスに関して、極めて複雑な状況に対処する方法を学ばなければなりませんでした。どのように廃棄物を運び、また、それを引き取り、管理する特別な資格のある運搬者と連携するか。こうしたことを入念に調べました」</p>
<p>そのような複雑さが、試験的プロジェクトの多くで範囲や発売が限定され、また今回の最初のプロジェクトが欧州市場のみで行われた理由だ。これが後々、迅速に発売を拡大するための土台づくりでもあることを、コレクションのなかで唯一、使用済みや未利用のリサイクル素材のみでは作られていないVÄXELBRUKバッグが証明している。</p>
<p>新しいユニフォームの表布の一つが、やけに透けていることが分かったとき、チームはその伸縮性のあるTシャツ素材を別の目的で再利用した。ヴァージンポリエステル製の低融点繊維を加えることで繊維同士がくっつき、バッグに織物素材の手触りを生み出すことができたのだ。</p>
<p>クレリチ氏は、コレクション誕生の背景には諦めない精神とチームの努力があり、今回の取り組みがイケア内での素材のリサイクル・再利用の手本になったと喜びを語った。</p>
<p>「生地にとどまらずとても多くの学際的な学びがありました。サプライチェーンから製品開発、デザインに至るまでのあらゆる場面において人々の役に立つよう、これらをイケア全体で共有したいと思います。このプロジェクトを行ったことで良いことがたくさん起きました」</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>再生革で生まれ変わった定番商品</h2>
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</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
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<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/05/08/g3.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>Image credit: Dr. Martens</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ドクターマーチンは、リサイクルレザーを使った新コレクション「Genix Nappa」を立ち上げた。サステナブル・リサイクル・レザーを生産する英ジェン・フェニックス社の再生革から作られたものだ。ジェン・フェニックスは、埋め立て地に捨てられるはずだった革の切れ端を回収して廃棄物を減らし、それを利用して柔らかく耐久性のある新素材を作り出した。同社は 2007 年以来、埋め立て地から数千トンの革の切れ端を転用している。</p>
<p>ドクターマーチンは、ジェン・フェニックスと連携することでその画期的な技術を活用。廃棄された革を繊維レベルに分解し、再利用水を使って高品質で耐久性のあるリサイクル素材に再生した。ドクターマーチンを象徴する「1460ブーツ」「1461 3 ホール シューズ」「2976 YS チェルシーブーツ」も、「Genix Nappa」で展開されている。</p>
<p>ジェン・フェニックスのジョン・ケネディCEOは「このパートナーシップは、伝統あるブランドが、製品の完全性を変えることなく地球に利益をもたらすサーキュラーモデルを実装できることを証明するものであり、あらゆる人を楽しませるために高品質な靴を責任ある方法で市場に投入するものです」と話す。</p>
<p>耐久性はドクターマーチンの全製品に通じる特徴だ。同社は1960年の創業以来、「Made Strong(強さ)」を体現してきた。ジェン・フェニックスは15年にわたり、航空・鉄道・バス業界向けに、耐久性があり高性能なリサイクル素材のイノベーションを起こし、今ではファッション、シューズ業界にも影響を与える立場にある。</p>
<p>「Genix Nappa」は、従来の革がもつ品質、耐久性、快適さ、強さといった利点をCO2排出量削減という形で実現している。革の切れ端はなめし工場から入手し、ジェン・フェニックス独自の工程で革の繊維を絡み合わせる前に分離させ、再設計したリサイクルレザーを生産し、靴の製造に使用している。「Genix Nappa」の素材には、廃棄革が50%以上含まれている。</p>
<p>ジェン・フェニックスの製造工程は、100%再生可能エネルギーで稼働し、製造に使う水の95%をリサイクルしている。さらに、実際に影響を生み出すのに必要な規模で循環型の素材生産を可能にしている。同社のリサイクルレザーは、コーチが2023年4月に発表した循環型サブブランド「コーチトピア」のバッグや革製品にも使われている。</p>
<p>ドクターマーチンのサステナビリティ部門の責任者を務めるトゥゼ・メキキ氏は、「昨今のサステナビリティの課題は複雑で、サーキュラービジネスモデルはその一つです。ドクターマーチンは、サーキュラービジネスモデルの確立に向けて前進しています。『Genix Nappa』はその良い例です。廃棄物が価値ある資源であり、当社が未来に向けて製品についてどのように違う考え方ができるかを示すものです。お客さまの感想を聞くのが待ち遠しいです」と話す。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

イケアやドクターマーチン、循環型ファッションがさらに主流に

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/us/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/22/g1_1.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>Image credit: Paris2024</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>7月開幕のパリ2024 オリンピック・パラリンピックは、「サーキュラーエコノミー戦略」を運営の柱に掲げる。大会組織委員会はこのほど、同戦略の実施状況を初めて公表した。戦略は3つの原則(1.大会をより少ない資源で運営する、2.エコデザインを推進することで資源をより有効に活用する、3.大会後のリソースの再利用を確実にする)に基づき、組織全体に適用される。パリ大会ではすべての施設でより責任あるモデルを採用することを打ち出しており、大会が始まる前から大会後の再利用方法について検討する。(翻訳・編集＝小松はるか)</p>
<p>2021年に開かれた<a href="https://olympics.com/ioc/news/tokyo-2020-highlights-the-possibilities-for-a-circular-economy">東京2020大会</a>は、循環型の指針を実行した初めての大会だった。表彰台は使用済みプラスチック容器を再利用した素材で、メダルは使用済みの家電の金属から作られた。<a href="https://olympics.com/en/news/olympic-paralympic-games-2024-celebration-sites-programme">パリ大会</a>はこうした取り組みをさらに前進させ、可能な限りすべての側面にサーキュラリティ(循環性)を織り込むことを目指している。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>大会のマテリアルフットプリントを評価し、削減する</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>観客席やテント、ベッド、椅子、テーブルからテニスボール、シャトルコック(バトミントンで用いる羽根)、旗、ビブス(ゼッケン)など、世界最大の国際スポーツ大会を運営するには、莫大な量の設備と多くのリソースが必要だ。</p>
<p>パリ大会は、過去の大会(2012年のロンドン大会、2016年のリオ大会)で発生したカーボンフットプリントを半減すると、物議を醸した宣言を行ったのと同様に、大会に先立ちマテリアルフットプリント、すなわち大会開催に必要なすべての資源の総重量を計算することを考えた。これはオリンピック・パラリンピックの歴史で初めての試みだ。</p>
<p>パリ大会では、資源を削減・共有し、さらに大会前や大会中、大会後のライフサイクルを管理することを目的に、大会運営に必要となる資源を記した会場ごとの詳細なマップを作った。</p>
<p>サプライヤーに関しては、「責任ある調達戦略」を適用する。その柱の1つがサーキュラリティだ。入札募集にあたっては、以下の条件に合うサプライヤーを優先してきた。</p>
<p>・製品やサービスにエコデザインの手法を採用している<br />・備品レンタルや長期寿命の製品を優先する<br />・リサイクル素材や端材など環境負荷の低い原料を使う<br />・認定プロセスに尽力する<br />・製品の次の利用方法や寿命(再利用やリサイクル)を考えた解決策を提案する<br />・包装材の利用を最小限にし、再利用できる包装材またはリサイクル可能な包装材を推進する</p>
<p>責任ある調達戦略の適用により、使用される600万点の資源の9割は、大会運営に必要なサービスの大部分を管理するパリ大会のサービス提供会社やパートナーが配備し、引き継いでいく。残りの1割は組織委員会が直接、責任を負う。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>少ないリソースで大会を運営する</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>オリンピック・パラリンピックの開催地に立候補をした際、パリ大会の組織委員会は、より責任ある大会を開催する構想を提示した。それは、既存のインフラの95%もしくは仮設会場をフルに活用して、新たな建設を減らし、使う資源を少なくするというものだった。</p>
<p>この資源削減の原則は、40の競技会場とほかの会場の内装デザインにも反映されている。必要なものを審査し、できる限り共有することで、パリ大会は必要となる家具や看板の量を80万個から60万個に減らすことができているという。</p>
<p>さらに、必要なものを削減することに加え、備品を購入するよりレンタルすることを優先している。テレビやパソコン、プリンターなどの電子機器の75%と共に、200万点のスポーツ用具のうち4分の3はレンタル、もしくはスポーツ連盟から提供されるものになる予定だ。最後に、オフィシャルパートナーのGLイベンツ(GL Events)、仮設建築物と設置のオフィシャルサポーターであるアリーナ(Arena)、ESグローバル(ES Global) 、ロザム(Loxam)と連携し、使用するスタンドやテント、バンガローはすべて購入ではなくレンタルする。</p>
<p>ケータリングに関しては、返却可能でリサイクル、リユースのできる容器を使用することで、2012年のロンドン大会と比較して、使い捨てプラスチックを50%削減することを約束している。これを達成するために、ワールドワイドパートナーのコカ・コーラは会場の構造上、可能な場所にはソーダ・ファウンテン(飲料装置)を導入してパッケージフリーの飲み物を提供し、ペットボトルの利用を大幅に削減する考えだ。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>より資源効率の良いデザインを採用</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>パリ大会のサーキュラーエコノミー戦略の第2の柱はエコデザインの推進だ。競技会場やそうでない会場の装飾、看板の取り付け、観客やアスリート、ボランティアエリアの設置とともに、商品のエコデザインはパリ大会の入札募集の重要な評価基準になっている。</p>
<p>車いすバスケットボールや車いすラグビー、ゴールボール、ボッチャなどと共に、ハンドボール、バレーボール、シッティングバレーボールの競技のために、パリ大会は床材を専門に扱うフランス企業のジェルフローを選んだ。同社の供給する3万3466 平方メートルのスポーツ用フローリングは、リサイクル素材が平均35%使われており、100%リサイクルが可能だ。ジェルフローはパリ大会の開催中に使われるすべてのフローリングを大会終了後、スポーツ施設や学校で再利用できるようにすることを約束している。</p>
<p>競技会場や選手村、メディア・ヴィレッジの家具の備え付けは、オフィシャルサポーターのRGS イベンツ(RGS Events)が社会的連帯経済(SSE)分野の企業から一定量の家具を調達する。選手村には、リサイクルしたシャトルコックで作ったコーヒーテーブル、パラシュート生地でできたクッション、瓶のふたで作った椅子が備え付けられる。選手のベッドは、オフィシャルサポーターのエアウィーヴが100％リサイクルした段ボールからベッドフレームを製造し、大会終了後にフランスでリサイクルすることを決めている。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>仮設インフラや家具、備品はすべて再利用へ</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>オリンピックは性質上、つかの間のイベントだ。大会のために集められるリソースが再利用され、廃棄物にならないようにするために、パリ大会では開催前に有形資産の再利用方法について考えてきた。エコデザインと同じく、大会組織委員会は製品を再利用することを考慮したサプライヤーを選定している。</p>
<p>例えば、オフィシャルサポーターのソデクソ・ライブ！(Sodexo Live!)は、選手村のレストランで使われる3万5000枚の皿を再利用するためロゴを入れずに製造する。同じくオフィシャルサポーターのサンゴバン(Saint-Gobain)は、選手村の部屋を住宅に転換するため、また他の場所に取り付けるために再利用できるパーティションを開発した。素材や仮設構造物(テントやスタンド、バンガロー)は再利用もしくはリサイクルされる。</p>
<p>大会施設の再利用方法には、施設が地域やスポーツ界にレガシーを残すことも含まれている。組織委員会は、大会期間中に使用する仮設プールを、地元コミュニティが使えるようセーヌ・サン・ドニ地域に寄贈することを決定している。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

パリ五輪・パラリンピックの「サーキュラーエコノミー戦略」、大会後の再利用も検討

横田伸治

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_paragraph right">
<p><strong>SB国際会議2024東京・丸の内</strong></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/19/g00_0768_1.JPG"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>Day1 ブレイクアウト</strong></p>
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</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>人口増加を背景とし、資源の大量消費・廃棄をもとにした「直線型経済」は持続可能な経済モデルではなくなってきている。欧州グリーンディールではサーキュラーエコノミー(CE)を中核政策として位置付け、2023年には企業サステナビリティ報告指令(CSRD)が発効された。日本では2023年に、国内の資源循環システムの自律化・強靱(きょうじん)化と国際市場獲得を目指した「成長志向型の資源自律経済戦略」が発表されるなど、CEへの転換は急務とされている。本セッションでは、CE実現に向けて取り組む先進企業が集い、現状と課題、展望を語り合った。(横田伸治) </p>
</div>
<div class="elem_block">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>ファシリテーター</strong><br />甲賀大吾・PwCサステナビリティ合同会社 ディレクター<br /><strong>パネリスト</strong><br />作田有沙・小田急電鉄 デジタル事業創造部 ウェイストマネジメント事業WOOMSリレーションシップマネジャー<br />鈴木隆博・イオン 環境・社会貢献部 部長<br />西村知子・大日本印刷 情報イノベーション事業部 ソーシャルビジネスセンター ソーシャルビジネス本部 環境ビジネス推進部 部長</p>
</div></div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>小田急電鉄、地域の産廃事業者をサポート</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/19/g01_0746sa.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"><sup>作田氏</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>まず、循環型社会の実現を目指して発足させた「WOOMS事業」について、小田急電鉄の作田有沙氏が紹介。地域事業者が独自に廃棄物の再生処理先を見つけるのは難しく、また運搬が少量ずつであるため負担が大きいという現状を背景に、同社が中心となって地域事業者のサポートするのが「WOOMS CONNECT」だ。より最適な資源循環フローの提案や、より輸送距離の短い処理施設の提案などを実践している。</p>
<p>現在は、「海老名地区食品リサイクルループ」と名付けた、海老名・座間エリア(神奈川)の食品残渣(ざんさ)排出事業者の廃棄物をまとめて運搬し、コストを削減する実証に取り組んでいる。作田氏は「皆さまと協力することで、ごみの無い世界が実現できると思っている」と連携を呼びかけた。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>使い捨てから繰り返し使うライフスタイルへ、イオン</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/19/g02_0756su.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"><sup>鈴木氏</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>イオンでは、2030年までに使い捨てプラスチックを半減するなどの内容を盛り込んだサステナビリティ基本方針を定め、約2万店舗の回収拠点を活用したプラスチック資源の回収に力を入れている。ペットボトルの回収量は直近10年間で6600トンから1万3500トンへ倍増、うち2000トンがペットボトルに再生されているという。</p>
<p>容器のリユースプログラム「Loop」も特徴的だ。これは購入した飲料の容器を消費者が店頭で返却すると、検品・洗浄後、再び製品を詰めて店頭に並べる仕組みで、同社の鈴木隆博氏は「リサイクルだけでは全てを解決できない。使い捨てから繰り返し使うライフスタイルへの転換を、お客様に訴求する必要がある」とサプライヤーや自治体と協働して取り組みを進める狙いを語った。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>他事業者のCE促進を支援、大日本印刷</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/19/g03_0789ni.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"><sup>西村氏</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>大日本印刷の西村知子氏は、2020年に策定した「DNPグループ環境ビジョン2050」で、循環型社会が取り組みの柱の一つに位置付けられていると紹介した。</p>
<p>同社は印刷事業以外に、他の事業者のCE促進の伴走支援も手掛けている。例えば、同社が複数の工場を置く埼玉県では、県が設立した「プラスチック資源の持続可能な利用促進プラットフォーム」に参画。参画企業7社によるマテリアルリサイクルグループに対し、プロジェクト管理やシステム提供しているという。西村氏は「トレーサビリティがどこまで実現できたかをデータで可視化しているが、それだけでは無機質な情報。県民に分かりやすいようウェブページを制作し、取り組みの意義を発信している」と補足した。</p>
<p>各社がそれぞれ取り組みを紹介した後、甲賀氏が小田急電鉄の取り組みについて「地域事業者の協力を取り付ける課題は」と問いかけた。作田氏は「事業者側が『できるなら焼却よりリサイクルしたいが、負担が大きい』という状態であることが課題。収集運搬するトラックの積載率を高め、コストを軽減していくために、複数の事業者が連携したルートを作らなければならない」と回答した。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/04/19/g04_0784.JPG"/></div>
<div class="elem_paragraph"><sup>甲賀氏</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>また甲賀氏は、紹介された各取り組みの収益化について質問。鈴木氏は「資源をより高値で再生工場に売り渡すことではなく、再利用した商品の価格でも(資源循環サイクルの)コストを回収していきたい。出口側のニーズを高められるよう、私たちが社会的なインフラになることが必要だ」と語った。</p>
<p>西村氏は、「弊社も100社以上から資源循環システムについての相談を受けているが、企業ごとに取り組みへの温度差はある。やはり最初の一歩は企業ブランディングとして企業価値を高めることにつなげることだと思うが、なんとかその先で、資源循環の取り組みが次の(ビジネスの)きっかけになればと考えている」と苦心する本音を明かした。</p>
<p>甲賀氏は各社の意見を踏まえ、「各社の拠点ごとに、リジェネレイティブ・ローカルを体現した取り組みで素晴らしい。CEのためには『クローズドループ』(水平リサイクル)が必要だが、(コミュニティは)オープンに広げていく視点が重要だと認識した」と締めくくった。</p>
</div>
</div>
</div>
<p></div>
<p></p>

SB国際会議

ニュース

サステナブル・ブランド国際会議2024

企業が主導するサーキュラーエコノミーへの転換――小田急電鉄、イオン、大日本印刷の取り組み

コミュニティ・ニュース

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_paragraph right">
<p><strong>Sponsored by 三井化学</strong></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/29/00_R6_9353.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>温室効果ガス(GHG)排出による気候変動やプラスチックによるごみ問題などを背景に、脱炭素・脱プラスチックが叫ばれている。だがプラスチックは、消費者にとって使いやすく日常生活にあって当たり前の物となっており、またあらゆる産業に関わり需要があるため、完全に無くすことは不可能だ。そこで三井化学は、「脱プラ」ではなく「改プラ」へ発想を転換し、同社のパーパス(存在意義)である「社会課題の解決」を果たすため、プラスチックの原料転換と資源循環の実現を目指す、「BePLAYER®︎」と「RePLAYER®︎」に取り組んでいる。</p>
<p>三井化学は、2020年11月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言。2021年6月に策定した新長期経営計画「VISION 2030」では、化学の力で社会課題を解決していく姿勢を明確にし、「未来が変わる。化学が変える。」のスローガンを掲げた。こうした同社の方向性を実現する取り組みとして、2022年に立ち上げたのが「BePLAYER®︎」と「RePLAYER®︎」の2つのブランドだ。</p>
<p>同社 グリーンケミカル事業推進室 ビジネス・ディベロップメントグループの松永有理氏は、以前所属していたESG推進室で業務を推進していた時から、バイオマスやリサイクル技術に関しては製品単体ではなく横断的なブランディングやマーケティングをしていく必要性を強く感じていたという。</p>
<p>「一つの製品やプロダクトだけでなく、あらゆる素材をバイオマス化あるいはリサイクル素材に変えていくというアプローチなので、製品・部署を横断するイングリーディエントブランド(成分ブランド)を作る必要性があった。対外的にも、統一感のあるコミュニケーションが重要と考えた」と話す。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「BePLAYER®︎」でカーボンニュートラル、「Re PLAYER」でサーキュラーエコノミーを実現</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「BePLAYER®︎」は、地球温暖化問題の解決のために社会のバイオマス化を進める取り組みだ。プラスチック素材の原料を化石資源からバイオマスへと原料転換を図る。具体的には、プラスチックはそのほとんどが石油由来の「ナフサ」と呼ばれる炭化水素を原料としているが、これを使用済みの食用油などから作られる「バイオマスナフサ」というバイオマス由来の炭化水素に変えることでGHG排出量削減に貢献することができる。同社は日本で初めて、バイオマスナフサを使用したバイオマスプラスチックの製造を開始。だが、通常のプラスチックよりも値段が高くなるため、プラスチック素材の主流になるには、社会全体の理解が必要だという課題が残る。</p>
<p>「RePLAYER®︎」は、廃プラスチック等の廃棄物を資源として活用することでサーキュラーエコノミーの実現を目指している。それには、製品を使用した後のリユースやリサイクルを想定した製品設計をすることや、素材を循環させるシステムを形成することが重要だ。現在、いくつかの企業とリサイクルを軸にしたプロジェクトが進んでいるという。</p>
<p>この2つのブランド名には共通して「PLAYER(行動する人)」が入っている。そこには、社会の変化を起こすのは「人」であり、あらゆる立場の人々それぞれが「PLAYER」となって、一緒に変化を楽しみながらみんなで未来を作っていこう、という思いが込められている。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/29/01.png" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"><sup>「ナフサクラッカー」から「バイオ＆サーキュラークラッカー」へ</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>実は、松永氏が所属するグリーンケミカル事業推進室はもともと、2022年4月に発足したベーシック&amp;グリーンマテリアルズ事業本部に属していた。同本部は、石油由来原料からさまざまな化学品やプラスチックを製造・販売する根幹部門である。そしてさらに2023年に、グリーンケミカル事業推進室は、独立した本社部レベルの組織に改編された。同推進室は、これまで進めてきたバイオマス化やカーボンニュートラルに貢献する技術開発や、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルを本格的に事業化する専門部署となった。こうしたことでも、同社のカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーへの取り組みの本気度が分かる。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2></h2>
</div>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/29/02_R6_9427.jpg" alt="" /></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>松永氏は、「環境問題は基本的に外部不経済。自然資本が損失を受けていることを自分たちに内部化するとコストアップになるので、なかなか難しい。だが、今の地球の状態のまま次の世代に渡すのではなく、日々の生活の意識を少し変えるだけで知らないうちに地球環境が良くなっていくような、そういう状態になるのが理想」と考え、取り組んでいるという。</p>
<p>そこでキーワードとなるのが「リジェネラティブ」だ。「今のままでは、沈みかけた船をそのまま次世代に渡すことになる。そうではなく、沈みかけた船をきちんと修理して海上に押し上げるような、そういうアプローチが必要。だからサステナブルではなく、リジェネラティブという言葉を使っている」と説明する。</p>
<p>また、生活者へのデプスインタビュー<sup>※</sup>を行った際、「脱プラと言われるようになって、プラ製品以外でも買い物すること自体に対して罪悪感がある」という意見が出てきたという。「買い物は楽しいコトなのに、それではもったいない」と松永氏。「いかにその罪悪感を取り除き、生活者のリジェネラティブなライフスタイルの実現に貢献するか。社会の基盤を担っている素材メーカーだからこそできることであり、これこそが、我々の目指していること」だと力を込める。</p>
<p><sup>※対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する定性調査</sup></p>
<p>だが社会システムの構築には、まず生活者一人一人の理解や、思いを同じくするステークホルダーの存在が必要であり、1社で成し遂げるのは難しい。「当社の技術をお客さまが形にして初めて価値が生まれる。お客さまと一緒に、その価値をどう世の中に伝えていくかを議論していくことで、取り組みは広がる」と松永氏は期待を込めて話した。</p>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>文・構成　松島香織(サステナブル・ブランド ジャパン)　撮影　原 啓之</p>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>三井化学は、3月22日に「もういちど想像してみよう。リジェネラティブな未来を。」をテーマにフォーラムを開催しました。今回、橋本社長と対談された斎藤幸平氏も基調講演に登壇。そのほか、さまざまなステークホルダーが参加し、リジェネラティブな未来について語り合いました。下記URLからアーカイブ視聴のための新規ご登録も可能です(無料)。<br />
<a href="https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/mci_forum2024/?utm_source=newsletter&amp;utm_medium=email&amp;utm_campaign=sbj_taidan">https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/mci_forum2024/?utm_source=newsletter&amp;utm_medium=email&amp;utm_campaign=sbj_taidan</a></p>
</div>
</div>
</div>
<p></p>
</div>
<p></p>

スポンサー記事

カーボンニュートラル/脱炭素

三井化学が「改プラ」の発想で取り組む、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現

サステナブル・ブランド ジャパン編集局

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g00_3.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナブル・ブランド ジャパンは、主催する「サステナブル・ブランド国際会議2024 東京・丸の内(以下、SB ‘24 東京・丸の内)」 の開催期間にあわせ、2月21日(水)、22日(木)に東京・丸の内にて無料オープンセミナーを開催します。</p>
<p><strong>特設サイト：</strong><a href="https://www.sb-os-ex2024.com/">https://www.sb-os-ex2024.com/</a></p>
<p>「サステナブル・ブランド国際会議」は、グローバルで展開されるサステナビリティに関するコミュニティ・カンファレンスです。日本での開催が8回目となる今回も、エリア型カンファレンスとして、東京・丸の内からサステナビリティへのムーブメントを巻き起こすことを目指しています。</p>
<p>その一環として、本プログラムでは6つのテーマのセミナーと企画展示を展開し、丸の内エリア全体で、サステナビリティに関する学びと発見できる場を提供します。<br />お仕事の合間にちょっとだけ、サステナビリティに触れる時間を作りませんか？</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>プログラム</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>2月21日(水)12:30-13:30　(明治安田ギャラリー)<br />「繊維回収プロジェクトと消費者行動変容」<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-fiber.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-fiber.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/07/g1_0207.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2月21日(水)13:45-14:45　(東京国際フォーラム)<br />「観光が寄与する地域課題解決 〜高校生と共創した新たな交流事業〜」<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-tourism.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-tourism.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g2.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2月21日(水) 17:00-18:00  (明治安田ギャラリー)<br />「紙製品から考えるエシカル消費」<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-ethical.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-ethical.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g3_0205kuresia.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2月22日(木) 12:30-13:30  (明治安田ギャラリー)<br />「JALと考えるサステナブルな空の旅」<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-sky.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-sky.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g4_0205JAL.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2月22日(木) 13:30-14:30  (東京国際フォーラム)<br />「消費者の行動変容はどのように生み出せるか？～飲食店へのサステナビリティ視点のアプローチ～」<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-restaurant.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-restaurant.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g5.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2月22日(木) 15:00-16:00  (明治安田ギャラリー)<br />2024年「サステナブルファッション」、本格始動へ<br />参加登録：<a href="https://sb-os-ex2024-fashion.peatix.com/">https://sb-os-ex2024-fashion.peatix.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/07/g6_0207.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div></div>
</div>
<div class="elem_heading_lv3">
<div>
<h3>【参加特典】Activation Hub in「SB ‘24 東京・丸の内」パス引換券</h3>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>Activation Hub は、同時開催の「SB ‘24 東京・丸の内」内にあるネットワーキング・交流エリアです。協賛企業や後援団体の展示やセミナーが実施されており、サステナブルに関連のある企業や団体と交流していただけます。<br />本イベントへ参加してくださった方には特別に、2月22日(木)の午後から、このActivation Hubへご入場いただけるパスの引換券をプレゼントします。</p>
<p>ぜひ、「SB ‘24 東京・丸の内」で、さまざまな参加者との交流をお楽しみください。<br />「SB ‘24 東京・丸の内」<a href="https://sb-tokyo.com/">https://sb-tokyo.com/</a></p>
</div>
<div class="elem_block">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>「Sustainable Brands OPEN SEMINAR」開催概要</strong><br />会期：2024年2月21日(水) &#8211; 22日(木)<br />会場１：東京国際フォーラム G701 会議室<br />会場２：明治安田ギャラリー<br />参加費：無料<br />主催：サステナブル・ブランド ジャパン(運営：株式会社 博展)<br />特設サイト：<a href="https://www.sb-os-ex2024.com/">https://www.sb-os-ex2024.com/</a></p>
</div></div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>丸の内コミュニティ連携施策</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g00-1frau_3.png"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>今回、「SB ‘24 東京・丸の内」のメディアパートナーであるFRaU(講談社 刊行)とのコラボレーションで、OPEN SEMINAR＆ EXHIBITIONの企画と、丸の内エリアのサステナビリティの取り組みを紹介する『FRaU S-TRIP』特別号を発行しました。<br />丸の内各所で数量限定配布中ですので、ぜひお手に取ってご覧ください。<br />デジタル版はこちら：<a href="https://knv.jp/NIMJWFU">https://knv.jp/NIMJWFU</a> </p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/06/g00-2dig_1.png"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>さらに、「SB ‘24 東京・丸の内」企画と 丸の内エリアの見どころが分かる大丸有エリア デジタルMAPも公開中です。MAPのアイコンのうち、葉っぱのマークがついているアイコンが関連企画となっています。こちらもぜひお試しください。<br />デジタルマップ：<a href="https://ammap.tokyo-omy-w.jp/">https://ammap.tokyo-omy-w.jp/</a></p>
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</div>
</div>
<p></div>
<p></p>

SBコミュニティニュース

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東京・丸の内で“サステナビリティ”に触れる――無料オープンセミナー開催や『FRaU S-TRIP』特別号を発行

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気候変動/気候危機

謙虚さ忘れずに、森林と向き合う――住友林業が「木材第一」にとどまらないビジネスを模索

エプソン販売株式会社（Sponsored）

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/top800.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>佐賀銀行本店の前で。下田さん(左)と西山さん</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>創業140年を超える佐賀銀行は、佐賀と福岡の橋渡し役として、地域経済に大きな影響を与えてきた。近年は時代の流れに応じてその立ち位置をアップデート。サステナブルなビジネスモデルの構築に向け地域のコンサルファームを自任し、地域振興やDX支援に積極的に取り組んでいる。そんな佐賀銀行のサステナブル経営の実践に向けての一翼を担っているのがセイコーエプソンのペーパーラボだ。導入の経緯や運用方法をキーマン2人に聞いた。</p>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>Interviewee　<br /><strong>佐賀銀行 営業統括本部 地域支援部 地域共創グループ 調査役</strong><br />西山孝史（にしやま・たかふみ）さん<br /><strong>佐賀銀行 総合企画部 経営企画グループ 調査役</strong><br /> 下田美樹（しもだ・みき）さん </p>
</div></div>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>地域経済のハブを目指して</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──まずは佐賀銀行様のサステナビリティの取り組みについて教えてください。「地域の皆さまとともに」というスローガンの背景は何ですか。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：私たちは現代の地域金融機関として、金融サービスを提供するにとどまらず、地域の発展に深く関わる使命を持っています。2022年4月に開始した中期経営計画では、地域支援戦略、DX戦略、組織戦略、市場運用戦略の4つを主要戦略としており、どの戦略においてもベースとなるのは、グループ全体がコンサルティングファームとして地域社会の課題に対応し、解決策を提案していこうという強い意思です。この思いが、「地域の皆さまとともに」というスローガンに表れており、私たちの活動が地域コミュニティと密接に連携していることを示しています。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/02.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>佐賀銀行のサステナビリティ戦略について説明する西山さん</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──4つの主要戦略の一つに掲げられている地域支援戦略の実例の中でも、「荒廃園における放牧牛の販売」への支援が特に目を引きました。詳しく教えてください。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：これは佐賀県西部の鹿島市での取り組みです。こちらに鹿島市と協力して、荒廃したみかん農園を活用した放牧牛の肥育事業を進める事業者様がいらっしゃいます。間引きのために摘果したみかんやワラ、酒粕などをエコフィードとして与えたり、ICT技術による効率化のために大学と共同研究したり、先進的な取り組みを行っていたのですが、課題がありました。食肉の加工だけは大分の業者でしかできず、加工用の肉を運ぶだけでも多大な労力とCO2排出が問題となっていました。鹿島市が地元業者との連携に苦戦していた中、私たちは地域金融機関としての関係性を活かし、鹿島市内の加工業者様と直接交渉することで、地元での加工を実現することができたのです。この取り組みは第2回地方創生SDGs金融表彰を受賞しました。</p>
<p>──<strong>佐賀銀行様が間に入って、事業者同士を結びつけたのですね。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：はい、このほかにも、お客様との信頼関係を基盤にさまざまな事業に取り組んでいます。例えば地域商社「さぎんコネクト」を通じて、佐賀県産品の販売を支援しており、これにより地域の特産品が広く知られる機会を提供しています。</p>
<p><strong>──さぎんコネクトとはどのような企業ですか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：さぎんコネクトは、2021年10月に設立された銀行業高度化等会社<sup>（※1）</sup>です。具体的には、佐賀空港やJRの駅など県外からの来訪者が多い場所で佐賀県産の商品を販売する「よかばいマルシェ」を主催したり、クラウドファンディングや広告事業などを通じて地域の良さを域内外に発信したりしています。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/03.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ペーパーラボを設置している地下室にて。下田さんはまず大きさに驚いたという</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──地域振興に銀行が積極的に関わる理由は何ですか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：銀行は地域で独特の役割を担っています。融資などを通じてお客様のビジネスの裏側まで深く理解しているため、本音ベースでの対話が可能であり、さまざまな業種のお客様との接点を持っています。これが地域振興においても私たちの強みとして発揮できるのではないかと考えました。</p>
<p><strong>──銀行が地域振興のハブとなるということですね。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：はい、私たちは資金面のサポートだけでなく、顧客同士を繋げる役割にも力を入れています。これにより、地域内での協力体制が強化され、地域全体の経済発展に貢献できるのではないかと考えています。</p>
<p><sup>※1＝2016年の銀行法改正で銀行が子会社などを通してフィンテックや地域商社に参入することを可能にした制度により設立された会社。</sup></p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>若手行員を中心にペーパーラボ導入を検討</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──ペーパーラボの導入経緯について教えてください。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：私は、現在は別の部署に異動していますが、以前は総合企画部におり、ペーパーラボ導入の際は私がプロジェクトの責任者でした。現在は下田が中心となり、総合企画部がペーパーラボの運用を行っています。</p>
<p><strong>──ペーパーラボについて知ったのはいつ頃ですか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：2021年の11月から翌年の3月にかけて結成したSDGsスタディグループにいた時です。このグループは若手行員が中心となり、総合企画部が事務局として運営を行っていました。最終的な目標は、2022年3月に経営陣へSDGsに関する提案をするというもの。ペーパーラボについては、その提案を準備する過程で発見し、導入を考えるようになりました。</p>
<p><strong>──ペーパーラボ導入を決めた主な理由は何でしたか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：私たちはその時、ペーパーレス化の取り組みを加速させていましたが、銀行業務ではどうしても紙の使用が避けられません。そこで、紙の使用を減らすだけでなく、ペーパーラボを導入することでリサイクルまで行い、資源を循環させることができないかと考えました。</p>
<p><strong>──実際にペーパーラボはいつ導入されたのですか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：2022年3月に私たちのスタディグループが提案を行い、その後私が事務局を引き継いで、経営陣に向けた具体的な導入計画を1年以上かけて進め、2023年の2月に導入されました。</p>
<p><strong>──ずいぶん時間がかかりましたが、導入の際に障害はありましたか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：エプソン販売さんの手前言いにくいのですが、最大の障害は金銭的な面でした。初期投資が高額であるため、他の省エネ対策と合わせて、経営陣に採算性を示して説得する必要があったのです。また、社会的な価値も打ち出す必要があり、これについては就労支援施設と連携して現金封筒の製作を行うことを提案しました。こうした説得材料を揃えるのに少々時間がかかってしまったのです。</p>
<p><strong>──ペーパーラボを初めて見た印象はどうでしたか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：私は写真で事前に見ていたので、外見に関しては特に驚きはありませんでしたが、実際に紙が再生される様子を見た時は、その速さと効率の良さに驚きましたね。</p>
<p><strong>下田</strong>：私は事前に写真を見ていなかったので、紙を再生するためにはこんなミニバンみたいな大きな機械が必要なのかと驚きました。よく本社の狭い地下室に入ったなというのが率直な印象です。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/04.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ペーパーラボがある部屋には部署ごとに分けられた回収箱が</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──古紙の回収方法について教えてください。</strong></p>
<p><strong>下田</strong>：回収は週に一度行っています。定められた日時に各部署から紙を持ってきてもらうシステムを設けています。</p>
<p><strong>──行員の皆さんの反応はどうですか？</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：私の今の部署は紙を多用する部署なのですが、皆が自然と紙を分別して回収箱に入れています。行員の間で特に抵抗は感じられません。</p>
<p><strong>──紙の分別は行員にとって既に習慣になっているのですか？</strong></p>
<p><strong>下田</strong>：随分前から紙の分別を促しており、すでに多くの行員がそれを日常的に行っています。ペーパーラボの導入により意識がさらに高まったと実感しています。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>誰一人経済的に取り残さないための「現金封筒」</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/05.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ペーパーラボの再生紙で作った現金封筒</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──現金封筒を再生紙で作ろうと思った経緯を教えてください。</strong></p>
<p><strong>西山</strong>：以前は東京の大手印刷会社から現金封筒を仕入れていました。しかし、地域経済への貢献と循環を考慮し、県内での製作に切り替えようと考えました。特にSDGsの観点から、誰一人経済的に取り残されない取り組みであることを重視し、就労支援施設との連携を模索したのです。その際、参考にしたのが北九州市のNPO法人「わくわーく」さんの、「KAMIKURU(カミクル)」プロジェクトです。ペーパーラボを中心に据えたこのプロジェクトでは、紙の再生を単なるリサイクルではなく、多様な雇用機会創出にも役立てていました。そのモデルを佐賀県版としてアレンジしようと考えたのです。</p>
<p><strong>──月間でどれくらいの量を製作していますか？</strong></p>
<p><strong>下田</strong>：現在は5つの施設に依頼し、各施設から月に1000枚ずつ、合計5000枚を受け取っています。これらは佐賀銀行の全支店に配布されています。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/06.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>破れないよう厚みを要するのが課題</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>──作る施設側と使う営業窓口側の反響はそれぞれどうですか？</strong></p>
<p><strong>下田</strong>：施設側からはのり付けの作業が大変という意見もありましたが、継続して取り組みたいという前向きな意見が多いです。営業窓口側では、封筒の厚みが気になるというお客様の声が伝わってきています。ただ、薄くすると破れるリスクがあり、実際に500円玉を入れて振ると封筒から落ちてしまうことがありました。そのため、今の段階では封筒を厚くせざるを得ず、配布するときは「再生紙なので何度もお使いください」とお客様にお声がけするようお願いしています。また、束になったお札が入らないという意見もありますが、これはマチ付きの別の再生紙製品を用意して対応しています。</p>
<p><strong>西山</strong>：多少の不便はありますが、再生紙による現金封筒は地域社会への貢献という点では大きな意味を持っていると思います。なぜなら、私たちの支店ネットワークを活用することで、全県の就労支援施設へ依頼することが可能であり、これにより、県内の中心部だけでなく、地域全体にあまねく仕事を分散させることができるからです。実際、就労支援施設からは感謝の声を頂いており、この価値は便利さやコストと比較できるものではありません。</p>
<p><strong>──銀行のユニバーサルサービスの力を存分に発揮しているわけですね。最後にペーパーラボを導入したことについて、総括をお願いします。</strong></p>
<p>​​​​​​</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/19/07.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>終始明るい雰囲気で話してくれた西山さんと下田さん</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>西山</strong>：ペーパーラボを導入する場合は、リサイクルだけでなくアップサイクルという観点から活用方法を考えるべきだと改めて思いました。その点、現金封筒は環境と地域経済への双方の価値を創出できたので良かったと思っています。</p>
<p><strong>下田</strong>：銀行に入った時は、このような取り組みに携わるとは思ってもいませんでした。しかし、自分たちが作成した製品をお客様に提供できることは素晴らしいことです。これからも、現金封筒だけでなく、さまざまなアップサイクル品を提供し、銀行業務とは異なる形でお客様に還元していきたいと思います。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

エプソン販売ではエプソングループの長期ビジョン「Epson 25 Renewed」にもとづき、環境負荷の低減に注力し、お客様の課題解決に繋がるソリューションの提案をしています。そして、事業を通じてお客様やパートナーの皆さまと共に「持続可能でこころ豊かな社会の実現」を目指しています。　
『すべては「お客様の笑顔」のために。』　製品というモノに、お客様の願いや、想いを含むコトを添えて提案する。私たちは、そんな姿勢を大切にし、永続性のある価値を創出する企業でありたいと考えています。

エプソン販売株式会社

金融の枠を超え地域の課題解決に取り組む佐賀銀行が ペーパーラボで実践していること

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/10/top800.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>着終わったら「リユースバッグ」に入れて下取りへ(ZOZO提供のイメージ画像)</sup> </div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ファッションの世界でも、原材料の生産・調達から製造・販売、さらには商品が活用された後の回収やリユース、リサイクルまでの全工程において、「サステナブル」であるかどうかは今、一つの重要な物差しになっている。そうしたなか、この10年の間に生活者の意識が大きく変わったものの一つに古着があるだろう。流行に左右されることなく、好きな服を好きな時にネット上で買い、一定期間楽しんだ後は、下取りに出して次の服を買う。そんなファッションの循環を生み出し、加速させるのに一役買ってきたのが開設12年目に突入した<a href="https://zozo.jp/zozoused/">ZOZOUSED(ゾゾユーズド)</a>のプラットフォームだ。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>ECサイトで古着を買う、自分が着ていた洋服を売る行為が身近に</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「世の中的にはサステナビリティへの意識の高まりが非常に大きいと思います。古着をECサイトで購入することが、サステナブルなファッションの楽しみ方として、一般的に受け入れられるようになった。事業者サイドから見ても、そう、すごく感じています」</p>
<p>この10年の古着を巡る生活者の感覚の変化を、島村龍也・ZOZOマーケティング本部USED事業部ディレクターが実感をもって語る。ZOZOUSEDは、年間購入者数1100万人以上(2023年9月末時点)のファッションに特化したECモールである<a href="https://zozo.jp/">ZOZOTOWN</a>上の古着専門ゾーンとして2012年11月にサービスを開始し、この11年間、リユースに向き合い続けた。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/09/ahimamura_2.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ZOZOUSEDの11年間の歩みとこれからについて語る島村龍也・ZOZOマーケティング本部USED事業部ディレクター(ZOZO提供)</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>島村龍也(しまむら・たつや)氏  青山学院大学卒業後、2010年にクラウンジュエルに入社し、物流、バイヤー、MD、PMなど幅広く経験。2019年のZOZOへの吸収合併以降、USED事業部のディレクターとしてZOZOUSED事業全体を統括</p>
</div></div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ZOZOUSEDの開設の翌年には大手フリマアプリもスタートし、国内のECサイト上の古着を含めたリユース市場は一気に、且つジワジワと開花した感もある。それより前、かつての古着のイメージを、島村氏は「例えば、ヴィンテージのような一点物で、とてもプレミアムなものとされる一方で、新品は予算的に買えない時にも古着なら買えるというような意識もあったと思います」と振り返る。その上で、ECサイト上で古着を買う生活者の心理を「かつての古着のイメージがだんだんと薄れ、古着を買うという行為、そして自分が着ていた洋服を売るという行為自体のハードルが低くなり、身近に感じるようになってきたのではないでしょうか」と分析する。</p>
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<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
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<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/09/ZOZOUSED_PC.png"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ZOZOUSEDのTOP画面</sup></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<div class="elem_paragraph">
<p>そのように市場が広がりを見せるなかで、ZOZOUSEDは、他のフリマアプリなどとどう差別化を図ってきたのか――。大前提として、ZOZOUSEDはZOZOTOWN上の1サービスであり、島村氏は、「ZOZOTOWNという一つの大きなプラットフォームの中で、新品と古着が共存するからこそ、ブランドや価格を横断し、点ではなく、線のサイクルで循環型ファッションを促進することができた」と強調する。</p>
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<div class="elem_heading_lv2">
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<h2>「ZOZOだからこそ」の下取り、〝買い替え割〟が古着の回収を促進</h2>
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<p>例えばZOZOTOWNはカジュアルブランドからハイブランドまで8900以上のブランドを取り扱い(2023年9月末時点)、ZOZOUSEDでは7000以上のブランドから常時約80万点の古着アイテムを中古ならではの価格で提供している(同年9月時点)。ここで挙げられる『ZOZOだからこそ』のサービスが、2016年導入の洋服の下取りサービスである“<a href="https://zozo.jp/_news/tradein/default.html">買い替え割</a>”に加え、2019年導入の、過去に購入したアイテムをいつでもZOZOポイントと交換できる“<a href="https://zozo.jp/_news/tradein/point.html">いつでも買い替え割</a>”だ。</p>
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<tbody>
<tr>
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<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/09/zozoused_kaikaewari.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>「買い替え割」の画面の一例</sup></p>
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</td>
</tr>
</tbody>
</table>
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<div class="elem_paragraph">
<p>具体的には、ZOZOTOWNで2回目以降、洋服を購入する場合、過去に購入したアイテムのうち、買取対象アイテムの下取り価格が提示され、その場で下取りを希望し、アイテムを選択すると、その金額分が値引きされる(=買い替え割)。また、いつでも好きな時に、過去に購入したアイテムの下取り価格を確かめ、下取りに出すことを決めれば、その金額分のポイントと交換し、次の買い物に使うことができる(=いつでも買い替え割)。希望者は、購入したアイテムと一緒に届く「リユースバッグ」(繰り返し使用可能)に、該当するアイテム(下取りに出した洋服など)をそのまま入れて送れば取引は完了する。個別に梱包して送るといった面倒な手続きは一切不要だ。</p>
<p>買い替え割で下取りしたアイテムを送付する際、ZOZOTOWN以外で購入したアイテムも同梱することで買取を依頼することが可能。この場合、送ったアイテムは後日、ZOZOにより査定がなされ、その金額分がZOZOポイントと交換か、あるいは現金で振り込まれるという。</p>
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<tbody>
<tr>
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<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/09/zozousedzu.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ZOZOUSEDの「買い替え割」の仕組み</sup></div>
</td>
</tr>
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</table>
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<div class="elem_paragraph">
<p>これらの仕組みを利用した古着の回収点数は、2020年度約700万点、2021年度約800万点、2022年度約1000万点と、着実に伸びている。島村氏はその要因を、「なぜ人は古着を買うんだろうかというところに帰結するかもしれませんが、やはり古着とは、コストを抑えながらおしゃれを楽しむということを自動的にかなえるものだと感じています」と古着の一側面を語りつつ、「1人の人にとって衣服に使える額が決まっている中で、古着をうまく組み合わせることでより多くの選択肢を持てる。過去に買い逃したアイテムも、古着であれば少しお得に手にすることができ、古着を介して新しいブランドを知ったり、今までチャレンジできなかったジャンルにも挑戦できます。そのように古着によって、いろいろな可能性を広げていけるという考えが、ユーザーの方々に浸透してきたのではないでしょうか」とみる。</p>
<p>そうした傾向はもちろん、ZOZOUSEDとして“設計”してきたことではあるものの、「こちらが考えていた以上に受け入れられた。今では新品を買うのと同じように古着を買う選択肢があると同時に、不要になったアイテムもこれまでならば捨ててしまったりしていたのが、どのぐらいの金額で買い取ってもらえるんだろう、というような気持ちになる方が増えているのを実感しています」。</p>
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<h2>年間約1000万トンを回収・リユースで、CO2排出量を約1万8800トン削減</h2>
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<p>環境省の特設サイト「<a href="https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/">SUSTAINABLE FASHION〜これからのファッションを持続可能に</a>」によると、海外で生まれ、日本で消費される衣服の、原材料調達から製造段階までに排出されるCO2排出量は年間約9万キロトンにのぼる。これを服一着に換算すると、CO2排出量は約25.5キログラムで、これは500ミリリットルのペットボトル約255本分に当たるという<sup>※1</sup>。さらに原料となる植物の栽培や染色などで大量の水が使われ、生産過程で余った記事などの廃棄物も大量に出る。</p>
<p>こうした環境負荷削減に向け、ZOZOUSEDでは、例えば2022年度に回収・リユースした約1000万点を、同じアイテム数の新品を生産した場合と比較すると、「製造過程から廃棄焼却までに発生するCO2排出量を約1万8800トン削減したのと同じ効果がある<sup>※2</sup>」とする数字を示している。「捨てない、という選択肢は、捨てることによって焼却しなければならなくなった時に出る温室効果ガスを出さなくても済み、大切な資源の保全につながります」。</p>
<p>ZOZOUSEDの特徴としては、仕入れから販売までの各プロセスにAIを導入していることも挙げられる。ZOZOTOWNで販売する新品とZOZOUSEDで販売する古着の膨大なデータを活用したAIによって、売れる金額とタイミングを高精度に予測、より高い買取金額の提示を実現しているほか、気象情報をうまく使って、季節性の強い商品の売れ残り率を削減することにも効果を挙げているという。つまり、テクノロジーと買い替え割などの柔軟なサービスを掛け合わせ、一次流通と二次流通両方の事業を展開するZOZOならではの仕組みでファッションの循環を加速させてきたのがZOZOUSEDのこの11年の歩み、と言える。</p>
<p><sup>※1 2019年時点における服の国内供給量と、2020年の調査に基づいて算出</sup><br /><sup>※2 環境省が推奨する3R原単位の算出方法に基づき、新品の生産・流通・廃棄時に排出される二酸化炭素量を推計</sup></p>
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<div class="elem_heading_lv2">
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<h2>ZOZOという会社がハブになり、ファッション業界全体をより良く</h2>
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<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/community/column/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/09/zozosyaoku800_1.jpg"/></div>
<div class="m_paragraph"><sup>ZOZOの西千葉本社屋（ZOZO提供）</sup></div>
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</tr>
</tbody>
</table>
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<p>ZOZOは2021年4月、サステナビリティステートメントとして、「ファッションでつなぐ、サステナブルな未来へ。」を掲げた。</p>
<p>その<a href="https://corp.zozo.com/sustainability/policy/#:~:text=4%E3%81%A4%E3%81%AE%E9%87%8D%E7%82%B9%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF">重点取り組み</a>としては</p>
<p>1. サステナブルなファッションを選択できる顧客体験の提供<br />2. 廃棄ゼロを目指す受注生産プラットフォームの構築<br />3. ファッションに関わるすべての人のダイバーシティ、エクイティ＆インクルージョン推進<br />4. 持続可能な地域づくりへの貢献</p>
<p>の4つを推進。</p>
<p>具体的には、2030年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「<a href="https://corp.zozo.com/news/20220202-17717/">2030カーボンニュートラル宣言</a>」に加え、取引先などで排出される温室効果ガス排出量(スコープ3)も含めたサプライチェーン排出量を、2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指しているほか、2030年までに取締役や上級管理職(部長以上)の女性比率を30%以上にするといったKPIの達成を、全社一丸で目指している。</p>
<p>中でも「サステナブルなファッションを選択できる顧客体験の提供」はZOZOUSEDの在り方そのものであり、上述したように、買い替え割などのサービスで実現してきた。さらに、ZOZO全体としては出店ブランド企業へのエンゲージメントを高め、ブランドと共につくるサステナビリティ基準をもとに商品を表示するなど、人権や環境に配慮されたサービスを推進していく考えだ。</p>
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<div class="elem_paragraph">
<p>「ZOZOは、地球環境だけではなく、生産や製造の現場の労働環境など、人権の問題にも発展していくんだということをしっかりと確認して取り組むようにしています。我々1社だけでできることは多くはない。でも一方で、我々ZOZOという会社がハブになり、少しずつでも仲間を増やしていくことで、ファッション業界全体をより良くしていくことは可能なんじゃないかと思っています」</p>
<p>2022年にはファッション業界のサステナビリティ情報を幅広く発信する常設コンテンツ「<a href="https://zozo.jp/elove/">elove by ZOZO (エラブ バイ ゾゾ)</a>」もZOZOTOWN上でローンチしている。こうした方針を踏まえた今後のZOZOの目標を、「ファッション業界のインフラになっていきたい。全社でサステナビリティに力を入れていく」と力強く語る。</p>
<p>2030年、そして2050年以降の未来に向けて、役目を終えた洋服などをどう回収し、廃棄のない循環型の「サステナブルファッション」を構築していくか――。多数のブランドの新品と古着が一つのプラットフォーム内に共存するZOZOだからこそ生み出せる“体験価値”に今後も注目していたい。</p>
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<p></div>
<p></p>

好きな時に好きな洋服を 着終わったら下取りに――12年目に突入したZOZOUSEDがファッションの循環を加速　

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