持続可能な脱炭素社会を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)」はこのほど、RE100やEP100、EV100(※)などの国際ビジネスイニシアチブを主催する国際非営利団体クライメイト・グループと、パートナーシップを結んだと発表した。パリ協定では、平均気温上昇を2度未満より低く抑えることが合意されており、同団体は、脱炭素を目指した国際イニシアチブ取得を国内企業へ積極的に呼びかける。(松島 香織)
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Japan-CLPは、イオン、佐川急便、新日本有限責任監査法人、富士通、リコーなど、約40社が加盟している。リコーは先月、日本企業として初めてRE100に参加したと発表したが、国際ビジネスイニシアチブへの国内企業の参加数は少ない。
パリ協定の発効後、グローバル企業は脱炭素に舵を切り、「脱炭素へ向かうべきか否か」から「いかに脱炭素化を進めるか」に焦点が移った。Japan-CLPの加盟企業も、「どうやって脱炭素化を進めるか」を考える企業が増えてきたという。
そこで同団体は、RE100やEP100という、具合的な取り組みで先導するクライメイト・グループと連携するメリットがあると考え、クライメイト・グループ側では、イニシアチブを日本で盛り上げたいとの意向があり、パートナーシップ締結に至った。
日本でRE100など、再生エネルギーや気候変動に関するイニシアチブが進まない理由を、「海外先進企業に比べて、気候変動に対する日本企業の危機意識、取り組みレベルがまだ進んでいない可能性があります」とJapan-CLP事務局の後藤歩・副ディレクターは説明する。
海外では、カーボンバジェットへの理解を起点にして、大胆な事業ポートフォリオの転換や、早期の排出ゼロに舵を切った企業が出てきており、その一環としてRE100などが実践されているという。日本ではそういった目標自体が少なく、「2050年という将来的な話」として捉える傾向があり、RE100といった足元の取り組みに結び付いていないという状況がある。
後藤さんは、日本でイニシアチブが進まないもうひとつの重要な理由として、「日本では海外に比べて再エネコストが高いこと」を挙げた。
また、日本企業はRE100等の目標を宣言することに、抵抗があるようだという。現時点で実現の道筋がきちんと見えていないと、それを宣言しないというもので、有言実行という誠実な姿勢ではあるが、「脱炭素化に向けては、それが思い切ったチャレンジを阻害しているのではないか」と後藤さんは分析する。
イニシアチブ参加のメリットは、「専門家によるガイダンスを受けられる」「企業間での学習の機会が得られる」「異なるマーケットにおける再エネオプションについて認識を深める機会が得られる」などがある。
Japan-CLPは、日本企業へのイニシアチブ参加支援の詳細を、夏ごろにウェブサイトに掲載する。RE100等の具体的なプロセスだけでなく、海外企業がなぜダイナミックに動いているか、その背景についても紹介する予定だという。
※EV100:2017年末発足予定の輸送部門に関する国際ビジネスイニシアチブ
松島 香織(まつしま・かおり)
サステナブルブランド・ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして参画。その後2022年12月から2025年3月まで、デスク(記者、編集)を務める。