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IHRP

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<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/06/15/etsuhirohosoda.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「モーレツからビューティフルへ」という企業広告が高度経済成長期に一世風靡(ふうび)しました。売上倍増、業界シェアNO.1などの貼紙を掲げた『モーレツ企業』が脚光を浴びた時代です。昼夜問わず働くモーレツ社員にとって、自社の成長は働きがいにもつながりました。こうした昭和的発想が世につれ変容し、働きやすさを尊重する『ホワイト企業』に脚光が当たってきました。それがここにきて、『プラチナ企業』への進化が求められているようです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「モーレツからビューティフルへ」から「プラチナへ」</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「高度成長期」から「安定成長期」へ移行する1970年に、「モーレツからビューティフルへ」という広告コピーの名作が生まれました。規模の経済を追求した時代ならではの「大きいことはいいことだ」というCMも人気を博しました。こうした現象は、高度成長期の「猛烈主義」の象徴でした。あれから半世紀、ここに来て「モーレツから<u>プラチナ</u>へ」というコンセプトが現れました。前者は、高度成長期の経済全体を象徴するメッセージでしたが、後者は現代における『企業のあり方』を表現しています。</p>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>その一つの例をお示ししましょう。このほど日本経済新聞が調査に基づき、『働きやすさ』と『働きがい』の2軸によって企業を分類しました。</p>
<p>調査は、国内最大級の会社情報の口コミサイトにある社員らの投稿から、上場企業約2300社の労働環境と業績を分析したもので、投稿は協力先の調査会社が企業ごとに人工知能(AI)で数値化したということです(日本経済新聞 2024年5月7日掲載）。</p>
<p>それによりますと、<br />働きやすさは高いが、働きがいは低い企業を「ホワイト」、<br />逆に働きやすさは低いが、働きがいは高い企業を「モーレツ」、<br />両方とも高い企業を「プラチナ」、<br />そして、両方とも低い企業を「ブラック」と類型化し、業績との連動などを分析した結果、浮き彫りになったのは、<u>社員の働きがいを高めること</u>の重要性でした。</p>
<p>業績との相関をみると、働きやすいホワイト企業よりも働きがいのあるモーレツ企業の伸びが大きく、PBR(株価純資産倍率)も同2.5倍と、ホワイトの2.3倍より高いことが分かりました。そしてプラチナはさらに上回り、売上高の増加率もPBRも凌駕しました。社員が働きがいを実感し、やる気が高まると生産性が上がり、業績も向上することが明らかになったのです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>プラチナ企業になるために</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「♪24時間、戦えますか？」というキャッチフレーズで80年代後半に放映されたCMは、当時の企業戦士の意気込みを体現しており、その必須アイテムとしての栄養ドリンクの訴求でした。この頃は、愛社精神、忠誠心、滅私奉公などの言葉がもてはやされ、サラリーマンの美徳とされた時代ともいえます。ただ、企業は成長したかもしれませんが、ともすると個人や家庭がないがしろにされたきらいもありました。</p>
<p>とはいえ、そもそも『社員を大切にする』という考え方は有力な日本企業は創業時から伝統的に備えており、雇用の保障や福利厚生の充実という形で報いてきました。しかし、いま大きく変容しているのは、従業員としての『労働条件の満足(<u>働きやすさ)</u>』から一歩踏み込んで、『仕事への充足感(<u>働きがい)</u>』を満たすことで、企業の業績だけでなく社員のウェルビーイングの向上を図るという観点です。つまり、『個人のウェルビーイング』と『会社のパーパス』をしっかりとつなぎ合わせてマネジメントしようとする点にあります。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>すなわち、従業員の目指す姿や価値観と会社の目標達成の方向を一致させ、意欲的に仕事に打ち込んでもらい、創造性や生産性が高まるよう促すことが要諦です。<u>従業員がパーパスに共感して自社に誇りを持てば、イキに感じて自律的に職務を担い、会社の成長と従業員の自己実現がシンクロします</u>。とりわけ「人的資本経営」が注目される中、リクルーティングの観点からも、いかに優秀な人材を確保したり育成したりできるかが、ますます企業競争力を大きく左右するようになっています。自社の将来を担う有為(ゆうい)な学生から選ばれるためには、パーパス(社会的存在意義)をしっかりと掲げ、「<u>この指、とまれ！</u>」と就活学生に自信を持って呼びかけることが大事です。<u>パーパスへの共感(個々の志と会社の目指すところの同期化)</u>を獲得できるかが決め手となります。就活学生は、明日の企業の命運を握る「人的資本」なのです。</p>
<p>持続的成長・中長期的な企業価値向上が強く求められる今日、それを成し遂げるには、従業員が高いエンゲージメントのもと、時代の変化への感性を研ぎ澄まし、自律的・主体的に想像力(Imagination)や創造力(Creativity)等の能力を存分に発揮してもらうことが第一義です。<u>『働きやすさ』と『働きがい』によって高められる人的資本は『無形資産』であり、競争優位の源泉</u>となります。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>選び、選ばれる関係へ</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>企業ブランドの担い手は、一人一人の従業員です。そして、その(企業)ブランドを選ぶのも従業員です。かつては、企業側は雇用と安定を保証し、社員には『身内意識』で接していました。異動や転勤等、企業都合で社員を動かすのは常識であり、『忠誠心』を求める風土も散見されました。社員側も、企業に生活とキャリアを委ね、依存する傾向があり、 就職より『就社』という終身雇用を前提とした帰属意識でした。社内では家族意識が醸成され、日常的に『うちの会社』と自社を称していました。</p>
<p>それが今日においては、<u>社員は身内ではなく、『ステークホルダー』</u>という認識が基調となりました。社員に『忠誠心』を一方的に求めることは不可能です。企業側は社員に働きがいと成長機会を提供することにより、『ロイヤルティー』を獲得する姿勢が重視されるようになりました。社員側は、自身の価値観とキャリアプランに基づき、働き先を選択するようになり、企業のパーパスと自己実現との擦り合わせによって、自律的に仕事の成果やキャリアの実現を希求するメンタリティ(気質)となっています。社員の前向きな気持ちを後押しするために、企業としてのエンゲージメント向上施策は不可欠です。</p>
<p><u>企業と従業員は対等であり、選び・選ばれる関係</u>となりました。従業員を含むステークホルダーから、<u>『選ばれ続ける会社』であるための戦略メソッドが「サステナブル・ブランディング」</u>です。</p>
</div>
<p></div>
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話題のキーワード

経営 management

ブランド戦略

【コラム細田悦弘の新スクール】 第10回 プラチナ企業とサステナブル・ブランディング

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<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「SX銘柄2024」が発表されました。現代経営の羅針盤といえる「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」では、『社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化』が謳(うた)われています。経営戦略としてSXに果敢に取り組むためには、まずはこの第一関門の深い理解が必要不可欠です。　</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>経産省、初の「SX銘柄」を発表</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>4月23日、経産省と東証が「SX銘柄2024」を発表しました。初回の選出であり、東京証券取引所上場企業を対象に、2023年10月2日～11月30日にエントリーを募集し、応募企業の中から15社を選定しました。SX銘柄(サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄)とは、<u>社会のサステナビリティ課題やニーズを自社の成長に取り込み、必要な経営改革・事業変革によって長期的かつ持続的な企業価値創造を進めている先進的企業</u>を指します。これからの日本企業、とりわけ上場企業はSXを軸とした経営の舵取りが強く求められています。<br />経産省によるSXの定義は、「社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化させ、そのために必要な経営・事業変革を行い、長期的かつ持続的な企業価値向上を図っていくための取り組み」とされています。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>SX時代の経営の視座</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>SXの実現に向けた羅針盤といえるのが、2022年に発表された「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」です。企業や投資家が協働して長期的かつ持続的な企業価値向上を実現させるためのSXの要諦を提示しています。同レポートによれば、「サステナビリティへの対応は、<u>企業が対処すべきリスクを超えて、長期かつ持続的な価値創造に向けた経営戦略の根幹をなす要素</u>となっている。企業が長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)を向上させていくには、<u>サステナビリティを経営に組み込む</u>ことが不可欠となっている」と指摘されています。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>伊藤レポート3.0をよりどころとし、SXを実現するにあたっては、まずは『<u>社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化</u>』の意義を経営陣が深く理解する(腹落ちする)ことが第一関門と言えます。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>国内外の環境がこれだけ変化した今、企業経営において、目まぐるしく変化する社会のニーズや価値観を捉える感性の鋭さを持ち、『社会対応力』を備えることが不可欠です。そこで近年、『サステナビリティ』を経営戦略に組み入れ、盤石な経営基盤を確保しつつ、時代にふさわしい新しい価値を創造し、企業と社会の相乗発展に結びつけていく経営に関心が高まっています。</p>
<p>サステナビリティを経営のど真ん中に置き、経営戦略のあらゆる側面に組み込んでいくためには、全社的な改革(トランスフォーメーション)が不可欠です。一見両立しそうもない二律背反(トレードオフ)を高次に同期化させ、新たな価値を生み出すトレードオンを目指します。従来は、企業の発展ありきで突っ走り、地球や社会に害を与えたり、迷惑をかけてきた傾向がありました。企業は、「社会」や「地球環境」を前提に存在しています。健全な社会や地球なくして、健全な企業活動を実現することができないのは自明です。地球や社会に負担をかける『外部不経済』はご法度の世の中となりました。</p>
<p>一方投資家サイドからすれば、中長期のリターンを求めるにあたって、「危ない会社」に投資するわけがありません。『危なくない会社』とは、<u>サステナビリティの本旨を深く理解し、それを経営戦略(中期経営計画等)の中核に位置付けている会社</u>、という見方が定着しつつあります。投資家は企業を選別するに際し、「これからこの企業に投資をして、望む結果は得られるのか」を吟味します。</p>
<p>この関心事に対して、企業側に求められる情報開示のポイントは主に3つが挙げられます。1.これまで、ちゃんとやってきたか(過去の実績)、2.これからもきちんとやっていけるような仕組みを持っているのか(企業の仕組み、ビジネスモデル等)、3.これから何をしようとしているのか(持続可能な発展に向けた仮説・ストーリー)。この中で、3が一番大切といわれています。ここに、<u>社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化</u>して、SXを戦略的に経営に組み込む意義があります。</p>
<p>そして機関投資家は投資判断にあたって、株主としての意見を企業側に伝え、同時に企業の考え方を把握するために、「建設的な目的を持った対話(エンゲージメント)」を求めてきます。それは、中長期的な運用リターンの改善につなげようとする意図からです。</p>
<p>このように、『SX時代の経営の視座』により紡ぎ出された、将来の持続的成長の糧となる「非財務情報」を投資家にきちんと伝える。これこそが「投資家に語りたい ! 時代を味方につけた、中長期の企業価値向上のゴールデン・ストーリー」です。</p>
<p><u>リスクを避け、事業機会を生かす企業</u>に投資することは、金銭的収益最大化を目指す際の定石です。SXを中核に据えた経営を行うことで、企業はより優れた業績を持続的に上げることができ、投資家はより良い運用成績を中期視点で上げることができるという認識が着実に広がりつつあります。</p>
<p>もはや、『社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化』は、「SX銘柄2024」選定社に代表されるように、持続的に成長原資を生み出す力を高め、中長期的な企業価値向上を目指す企業としてのコモンセンスです。時代が求める企業競争力の原動力と言えます。</p>
<p>「SX」を希求するにあたっては、どのような変化が起きようとしているのかを鋭敏に捉えるマインドを備え、自社の強み・得意技でいかにそれに対処するかが決め手となります。SXの実現に向け、『らしさ』を発揮し競争優位を創り出せれば、「サステナブル・ブランディング」につながります。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

ファイナンス

経済 economy

ESG投資

【コラム細田悦弘の新スクール】 第9回 SX時代の「経営の視座」　

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<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「事業による社会課題解決」を経営の中核に据える企業が増えてきました。こうした潮流は、マーケティングの新しい定義からも見てとれます。企業が『社会の役に立つ』ために、経営者目線で押さえておきたい大事な概念を整理しておきましょう。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>経営戦略として、『社会の役に立つ』ために</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>多くの会社が、「パーパス(Purpose)」を標榜(ひょうぼう)するようになりました。会社の目的、社会における存在意義が端的に表現されています。そこには、ほとんど全てと言ってよいくらいに「社会を幸せにする」「社会を豊かにする」といった概念が込められています。サステナビリティ時代において、パーパスを実現するためには、社会の『要請と期待』に応えることが必須です。 </p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>したがって、<u>自社がいかに社会の役に立つか</u>を経営の軸足に置くならば、まずは、社会に迷惑をかけるわけにいきません。これが、『要請』に対応して<u>悪い影響(Negative Impact)</u>を防ぐ「基本的CSR」です。その要請をきちんと果たした上で、「社会の役に立つ」ために<u>良い影響(Positive Impact)</u>を創出します。こちらが『期待』に応える方で、<u>Off Businessで行う「社会貢献活動」と、On Businessで取り組む「事業による社会課題解決(CSV：Creating Shared Value：共通価値の創造)」</u>の2つの側面があります</p>
<p>こうした文脈から留意すべきことは、いくらサステナブルな商品でも、サプライチェーン等で環境や人権を害することがあっては元も子もないということです。<u>基本的なCSRが担保されていてこそ、CSVが成り立つ</u>ということです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>社会貢献活動の恩恵</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>『事業による社会課題解決』の考え方が普及する中、企業の「社会貢献活動」はどのような役割を担うべきかというテーマはますます重要となっています。経団連の定義では、「社会貢献とは、自発的に社会の課題に取り組み、直接の対価を求めることなく、資源や専門能力を投入し、その解決に貢献すること」とされています。</p>
<p>すなわち、<u>企業は社会の一員であり、社会は企業の存立基盤</u>なので、その社会が抱える課題に、自発的に経営資源を投入することが求められています。企業の社会貢献活動は、社会に付加価値を提供したり、地球環境保全や健全な社会づくり等に寄与することに加え、結果として<u>企業側もさまざまな恩恵を受けます</u>。社会的なリスクへの感度が高まり、社会からの信頼度や好感度が醸成されるとともに、<u>社員の社会性が磨かれ、能力開発や士気の高揚、自社へのロイヤルティー醸成など『人的資本』の向上につながります</u>。</p>
<p>さらに、『自社らしさ』を生かしたプログラムが開発できれば、実は<u>最も経営効率の良い社会貢献</u>となります。つまり、単なる他社のまねや横並びで、解決能力が未熟な分野での取り組みは、かえってリスクとなります。逆に、<u>『売るほどある』商品・サービス、それにまつわる「餅は餅屋」の専門性・知見・ノウハウ</u>が投入されれば、最も経営資源が効率的に、安全に、効果的に活用されることになります。</p>
<p>こうした観点は、金融機関や投資家等のステークホルダーから調達した資金を、責任を持って投入する企業にとって大変重要です。社会貢献活動は、企業の資源を事業ではなく社会に拠出する以上、ステークホルダーへの説明責任の観点から、情報開示が急速に進展してきています。<u>企業理念やパーパスとの整合性</u>を担保し、<u>得意技や伝家の宝刀による『自社らしい社会貢献』</u>を行い、結果として、<u>コーポレートブランドや中長期的な企業価値向上につなげていくという骨太なストーリー</u>を語りたいものです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>マーケティングの新定義より</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>当初は『事業による社会課題解決』というと、ともすると肩ひじを張って構えて取り組む様相がありましたが、今や<u>ビジネスの自然体</u>となりつつあります。こうした中、公益社団法人日本マーケティング協会が、34年ぶりに『マーケティングの定義』を刷新しました。主な背景として、社会全体のデジタル化の急速な進展、企業と顧客や社会との価値共創の潮流、<u>長期的な視点でサステナビリティに貢献することが企業評価の新しいモノサシ</u>になってきた点などが挙げられます。</p>
<p>下記が、<strong>マーケティングの新定義</strong>です。</p>
</div>
<div class="elem_block color">
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである ～<strong>日本マーケティング協会 2024年</strong></p>
</div></div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>マーケティングの世界においても、顧客に対する製品・サービスの提供はもとより、ステークホルダーとの良好な関係のもとに、<u>『地球や社会にもよい』といった社会的価値</u>がますます志向されるようになってきました。あわせて顧客価値においても、<u>サステナビリティ要素が重要視されるようになり、競争優位の源泉</u>となってきています。<u>『社会の役に立つ』というアプローチは、現代におけるマーケティングの芯や背骨</u>と言えましょう。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

パーパス

マーケティング

【コラム細田悦弘の新スクール】 第8回 『社会の役に立つ』概念の整理

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<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/18/etsuhirohosoda.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>数年来の「CSRはもう古いから、CSVにシフトすべき」という風潮に端を発し、今では「事業による社会課題解決」や「経済価値と社会価値の同時実現」という考え方が定着してきました。そこで、サステナビリティ経営の基盤となる「CSRとCSVの関係性」を押さえておきます。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「CSR」は、もう古い？～CSRの現在地</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/18/csr300.jpeg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>「CSR」は決して古くなったわけでなく、<u>企業行動の軸となる原理原則</u>として、ますます重要度が増しています。ただ初期の段階では、「企業の社会的<u>責任</u>」の『責任』という漢字の印象から、義務や受け身での対応となり、ひいては横並び感・やらされ感が漂いました。よって『本業とは別物』という認識が広まり、ビジネスの付加的な位置づけとなりがちでした。残念ながら、「CSR疲れ」という言葉も聞こえてきました。<br />ところが、CSRは近年著しく進化(深化)を遂げています。従来の「社会貢献活動」や「リスク対応型CSR」から、「価値共創型CSR」へと進展し、さらにはコーポレートブランドや企業価値向上につなげる戦略的なステージにまで広がりつつあります。当初は、「CSRでメシが食えるか？」といった懐疑的な投げかけがありましたが、今や「<u>CSRをないがしろにしていると、メシが食えなくなる</u>」と言っても過言ではありません。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>したがって、CSRは古くなってはいませんが、残念ながら『旧バージョンのCSR』がまだまだ散見されるのが実情です。速やかに、最新版にバージョンアップされることをお勧めします。むしろ、今こそ、『CSRの現在地』を確かめ、再起動させるタイミングといえます。よって今や、<u> 「CSRは古い」という考え方そのものが古くなっている</u>ようです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>CSVは、CSRに包摂される</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2010年に「社会的責任」に関する共通言語として、国際規格ISO26000が発行されました。「社会的責任に関する手引」であるISO26000の「社会的責任の定義」を紐(ひも)解いてみると、「組織の決定および活動が社会および環境に及ぼす<u>影響(インパクト)</u>に対して組織が担う責任」とされています。これに呼応して、2011年に欧州委員会が発表した定義は、「社会に与えるインパクトに対する企業の責任」です。企業がこの世に存在し事業を営めば、地球や社会に必ず<u>影響</u>を及ぼします。その「<u>影響(インパクト)</u>」には、ポジティブとネガティブ、すなわち<u>良い影響(Positive Impact)と悪い影響(Negative Impact)</u>があります。この「<u>影響(インパクト)</u>」こそが、キーとなります。</p>
</div>
<div class="elem_various img_right">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/18/yoseisashikae.jpeg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>CSRの核心は<u>「社会への対応力」</u>です。「対応」とは、英語で、response 。つまり、CSRのResponsibilityの「R」の本質がここにあります。この単語はresponse(反応する、対応する)と、ability(力、能力)からなります。つまり、「対応する能力」といえます。何に対応するかといえば、社会にとって、<u>悪い影響は予防し緩和して最小化してほしいという「要請」と、良い影響をさらに醸し出してほしいという「期待」</u>です。したがって、企業は次の2つの視点から『現代社会に対応』していきます。</p>
<p>○要請…やってもらっては困る、やってもらわないと困る<br />○期待…やってもらえるとうれしい</p>
<p>上段の「要請」に対応することが、いわゆる「<u>基本的なCSR</u>」。これを怠りますと、「今どき、そんなことをやっているのか」「今どき、そんなこともやっていないのか」という烙印を押され、企業の屋台骨が揺れ存亡の危機を招きかねません。ゆえに、時代の「要請」に対応することは、「リスク回避」のための基盤となるCSRです。 </p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>下段の「期待」に応えることは、「<u>価値共創型CSR</u>」として位置付けられます。ここに、米国経営学者であるマイケル・ポーター教授らが提唱する<u>「CSV(Creating Shared Value：共通価値の創造)」</u>と称されるコンセプトがあります。<u>社会のニーズを満たし課題に取り組むことで、経済的な価値も創出する</u>というアプローチです。</p>
<p>とかくCSRは、事業の負荷やコストといったトレード・オフで認識されがちですが、一段高い次元で捉えれば、ビジネスとCSRの『トレード・オン』が成立します。こうした観点が、今日のビジネス戦略で関心が高まっている「<u>事業による社会課題解決</u>」であり、「<u>経済価値と社会価値の同時実現</u>」です。 </p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/03/18/csvsashikae.jpeg"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>CSRは、<u>要請</u>に対応して悪い影響(Negative Impact)を防ぐ「基本的CSR」と、<u>期待</u>に応えて良い影響(Positive Impact)を創出する「価値共創型CSR/CSV」の両側面を備えます。したがって、<u>CSVは、社会にもたらすポジティブ・インパクトを最大化する方に該当するのであり、CSRの概念に包摂されます</u>。例えば、ヘルシーメニューの健康レストランでも、厨房が不衛生では本末転倒となってしまうし、エコ商品でも、製造工程で環境や人権を害することがあっては元も子もありません。<u>基本的なCSRが担保されていてこそ、CSVが成り立ちます</u>。社会への『責任』なくして、『共通価値の創造』は成立しません。企業にとって、前者を怠るとリスクになり、後者に果敢に取り組めば、ビジネスの機会創出につながります。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>経営戦略としての「社会課題解決」の捉え方</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>これまで、「経営戦略」といえば、企業がいかに利益を創出するか、という視点から論じられてきました。とかく、企業の目的を利益の追求のみと捉えると、多少の社会問題や環境問題等の外部不経済(地球や社会への悪影響)を引き起こしてしまうのは仕方がない、という発想になりがちです。しかしながら、<u>地球環境や社会の持続性なしには、ビジネスは成り立たない</u>ことも自明です。そこで求められるのが、経済的価値と社会的価値を高い次元で融合させる「<u>事業によって社会課題を解決し、社会とともに発展する</u>」という経営の視座となります。</p>
<p>P.F.ドラッカーは、「企業をはじめとするあらゆる組織は、社会の機関である」とし、あらゆる組織が、人を幸せにし、社会をよりよいものにするために存在すると述べています。今日まで長きに渡って営々と発展してきている企業には、創業者の熱い思いと信念があり、そこには必ずと言っていいほど「社会を豊かにする」「社会を幸せにする」といった本旨が込められています。ただ、その『社会』が激しく変化するので、これまでの対応が歓迎されなくなったり、さらには、かえって害になったりします。その逆に、以前はあまり気に留めていなかったことが、新たなバリューと見なされることが起き得ます。だからこそ、その目まぐるしく変化する「社会」のニーズを的確に捉え、社会価値の創造や社会の課題を解決していくことが、ステークホルダーからの信頼獲得や自社の持続的成長の好機(opportunity)を生み出します。</p>
<p><u>『CSR』は、時代の変化にしなやかに対応して(要請への対応)、社会の新しいニーズに応えていく(期待に応える)ことが本意</u>であり、それにより能動的に変革を促し、<u>持続的発展・中長期的な企業価値向上を目指す経営戦略の基盤</u>となります。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

【コラム細田悦弘の新スクール】 第7回 「CSRからCSVへ」を熟慮する

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/13/etsuhirohosoda.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>そろそろ、「サステナビリティ」をきちんと理解しておきたい。ところが、続々と登場するアルファベットに戸惑い、混乱が生じてしまう。金属的な手触りの専門用語を人肌にして、しっくりと経営やビジネスに生かしたいものです。そのためには、基軸となる4つのキーワードの腹落ちが大切です。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>見渡す限り、アルファベット</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>いまの時代に企業価値向上を目指そうとすれば、「サステナビリティ経営」は必須となりました。そこで、物の本(もののほん)を手にとってみて、アルファベット満載な様相に愕然(がくぜん)とした経営者やビジネスパーソンが多いことでしょう。 </p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>ESG投資の高まりをはじめ、SDGsやパリ協定などの普及によって、とりわけ企業のサステナビリティ情報(非財務情報)の『開示』に関する基準やフレームワークがあまりにも多く存在するようになりました。そのほとんどがアルファベット略語なので、こうした乱立した状況を指して『アルファベットスープ』現象と呼ばれたりしています。ここにきて統一化の動きも高まっていますが、経営者の視点としては、何とかこれらをわしづかみにし、本質を捉えて経営に実質的に取り入れたいものです。サステナビリティ推進部門では、経営層が頻出するアルファベットに腰が引け、翻弄(ほんろう)されないよう苦心されていることでしょう。</p>
</div>
<div class="elem_various">
<div class="elem_pik_box">
<table class="elem_pik_box">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/02/13/zu02300.jpeg"/></div>
<div class="elem_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="inner">
<div class="elem_paragraph">
<p>うわすべりにアルファベットスープに巻き込まれると、「木を見て、森を見ず」はおろか、「<u>葉っぱを見て、枝を見ず。枝を見て、木を見ず。木を見て、森を見ず</u>」の状態に陥りがちです。これが、サステナビリティ分野でありがちな『断片化』現象です。個々のアルファベットを表層的・形式的・機械的に扱うと、良かれと思って取り組んだことが形骸化したり、空回りしたりする懸念があります。</p>
</div>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>そこで、サステナビリティの『絶対音感』を備えるための必携の知見として、今こそ4つのアルファベット(CSR/CSV/ESG/SDGs)の体系的・本質的理解をお薦めします。 </p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「CSR/CSV/ESG/SDGs」を味方につけた企業価値創造のストーリー</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナビリティという概念が人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)され、CSR部がCSV部へ、そしてESG部、さらにはSDGs部やサステナビリティ部へと部署名が目まぐるしく変遷されてきた企業も多く見受けられます。そこで経営視点から俯かんして、サステナビリティ経営の基調となる4つのアルファベットを大局的に整理しておきます。</p>
<p>○現代社会の共通目的である「サステナビリティ」に関する潮流を捉え、経営のあり方や事業戦略において<u>柔軟に対応</u>することが求められています</p>
<p>○『社会への対応力』がCSRの本質です。社会とは、時代の価値観を反映したステークホルダーという認識で結構です。そして<u>企業が対応するのは、「現代社会の要請や期待」</u>です</p>
<p>○『要請』に対応するのは「基本的なCSR」、『期待』に応えるのが「CSV」。前者はリクス回避の側面、後者がビジネスの機会創出の側面です</p>
<p>○その原理原則のもとに、<u>2030年までの目標であるSDGs</u>にきちんと取り組む</p>
<p>○それによって、ステークホルダーからの評価が高まります。それこそが「社会的評価(レピュテーション)」です</p>
<p>○正のレピュテーションとともに、「競争優位性(らしさ)」が発揮されると、時代にふさわしいブランド力に寄与します。これが『サステナブル・ブランド』です</p>
<p>○ブランド力が高まれば、「無形資産(見えない資産)」に寄与します</p>
<p>○「見えない資産」は、将来キャッシュフローを生み出すドライバー(原動力)となります。すると、企業の本源的価値が高まります</p>
<p>○これを、投資家は「ESG」要因で評価します。そのために「統合報告」によって、財務だけでなく、「(サステナビリティ経営で育んだ)非財務」を的確に『ESG語』に翻訳して発信し、<u>市場価値への反映</u>を図ります。その発信に際し、サステナビリティ情報(非財務情報)の『開示』に関する基準やフレームワークに則ることがますます強く求められているというわけです</p>
<p>○よって、企業がサステナビリティを希求すれば、結果として<u>持続的成長・中長期的な企業価値の向上</u>につながります</p>
<p>以上のように、CSR/CSVの原理のもとに、2030年までの『目標』であるSDGsに取り組む。それを投資家は、ESGで評価する。そして、企業側も投資家側も共通の『目的』はサステナビリティです。結果として、持続的な企業価値向上と中長期のリターン獲得という、企業と投資家双方の恩恵につながり、マクロ経済に資するということです。これが、「CSR/CSV/ESG/SDGs」を味方につけた企業価値創造のストーリーです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>サステナビリティ経営のOSとアプリケーション</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナビリティ経営において、多岐にわたる取り組みテーマをはじめ、開示に際しての基準やフレームワーク等のアルファベットをパソコンの『アプリケーション』とすると、「CSR/CSV/ESG/SDGs」の体系的・本質的理解は『OS』に当たります。これを旧バージョンのままに放置すると、いくらアプリを『経営』にインストールしようとしてもフリーズしてしまいます。</p>
<p>サステナビリティの絶対音感を経営層はじめ社員一人ひとりが身に付ければ、時代にふさわしい競争優位の源泉となります。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

【コラム細田悦弘の新スクール】 第6回 今だからこそ押さえておきたい！「サステナビリティ経営」の4大キーワード

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>企業の舵(かじ)取りに際して、「サステナビリティ」はセンターラインに据えるべき概念となり、ますます本質を捉えた対応が重要となっています。そこで、そのルーツともいえる『企業の社会的責任』の歩みを紐(ひも)解いてみます。歴史上で何が起きて、どう対応してきたのかを知れば、いま何をすべきかを読み解くヒントになります。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>日本における『企業の社会的責任』の系譜</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>これからの企業経営を考える上で、「サステナビリティ」は外せない要素となりました。そこで、ここに至るまでの源流の概念として、『企業の社会的責任』の系譜をおさえておきます。とりわけ次世代経営者には、温故知新によって、新しい経営のあり方を模索するための大事な知見となります。その時々の社会において、企業が伝統的に<u>期待されてきた役割</u>に立ち返り、<u>ステークホルダー(社会)との関わり</u>について勘所を見極めるのに役立ちます。</p>
<p>『企業の社会的責任』ときくと、多くの場合、2000年代初頭から注目された「CSR(Corporate Social Responsibility)」が想起されることでしょう。ただし、日本でCSRの概念が芽吹いたのは、半世紀以上前になります。1956年に経済同友会の経営方策特別委員会が「企業は社会の公器である」との自覚の下、「経営者の社会的責任の自覚と実践」を発表したことが嚆矢(こうし)といえます。経営者は「経済体質の改造」と「企業経営の近代化」が最大任務とされ、これを機に「経営者(企業)の社会的責任」という言葉が広く知れ渡るようになりました。</p>
<p>本稿では、その後CSRがブームといえるような様相となった、1970年代と 2000年代の状況を俯瞰し、現状のサステナビリティへの流れについて概説します。</p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>1970年代の『企業の社会的責任』</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>1970年代に大学で「CSR」を学んだ経営者が多くいます。当時の日本は、高度成長の<u>負の影響(外部不経済)</u>による環境破壊・公害問題や欠陥商品などの企業不祥事等により、社会の企業に対する見方が大きく変化し、『企業の社会的責任』が問われるようになりました。企業不祥事に代表される企業体質のネガティブな側面が、市場や社会から厳しい批判を受けたことなどが契機となり、経済団体による企業のあるべき姿についての提言も相次ぎました。企業は、<u>世の中からの目線(評価)を正しく認識し、社会的ニーズを的確に捉えて期待に応え、社会との強い信頼関係を築くこと</u>がきわめて重要な課題となりました。</p>
<p>こうした文脈から、1973年に「現代用語の基礎知識」(自由国民社)に初めて、「企業の社会的責任」が登場しました。同書は、まだスマホのない時代のビジネスパーソンの虎の巻ともいえる情報源でした。しかしながら、企業側の対応は、対症療法的な公害部の新設や財団設立などによる利益の社会還元(いわゆる社会貢献活動)が中心でした。企業が社会的視点を備えたことは意義深いことですが、ほとんどが本業に直接関わるものでありませんでした。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>2000年代からの『企業の社会的責任』</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>2000年以降は、それまでの流れを踏まえつつも、新たなCSR時代が到来しました。目覚ましい技術革新と拡大する経済のグローバリゼーションの光と影が交錯する中で、環境や社会にまつわる多くの課題を克服し、経済を持続的に発展させるべく新しい世紀の幕が開けました。</p>
<p>一方では、2000年頃から立て続けに企業不祥事が発覚して大きな社会問題となりました。日本でも大企業を中心に「CSR経営」が認識されだし、それまでの環境、社会貢献、コンプライアンス等の部門が「CSR部(室)」として装いも新たに設置され始めました。CSRに関わる多様な法律も成立しました。</p>
<p>そして、2003年を「CSR元年」とする象徴的な1冊となる、経済同友会「第15回企業白書：市場の進化と社会的責任経営」が発行されました。提唱された主なポイントは以下のとおりです。</p>
<p>⚫︎CSRは、<u>将来のリスクを低減</u>するとともに、社会のニーズの変化を<u>新しい価値創出や新しい市場の創造</u>に結び付けることによって、企業の持続的な発展や競争力向上につながる。したがって<u>「コスト」ではなく「投資」</u>として位置付けるべきである<br />⚫︎CSRは、<u>企業の持続的発展とともに、社会との相乗発展を目指すもの</u>である。その意味で、今の日本企業に失われた信頼とダイナミズムを回復し、日本経済・社会の活力を再生するための挑戦である<br />⚫︎CSRは「法令遵守」や「社会貢献」といったレベルにとどめるのではなく、企業理念や戦略の展開という<u>企業経営の中核に位置付けるべき課題</u>である</p>
<p>このタイミングで、前述の「現代用語の基礎知識」に、あらためて「企業の社会的責任」が掲載されました。さらには、2010年には、「組織の社会的責任」の指針であるISO26000が発行されるに至ります。この段階くらいから、CSRは本業以外の社会貢献や法令遵守のみではないことが、日本企業にも少しずつ浸透しだしました。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>今だからこそ、押さえておきたい「原理原則としてのCSR」</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>CSRとは本来、「<u>本業を通じて</u>、社会と企業の持続可能性の同時追求」を目指すものです。企業存続のための企業倫理確立や不祥事防止のための法令遵守等の義務的な取り組みは大前提であり、また企業に余裕がある時の社会への利益還元や社会貢献は大事な活動ですが、それだけではありません。</p>
<p>しかしながら、1970年代のCSR草創期においては、ややもすると、CSRは本業とは別のところで行われる取り組みとみなされていました。つまり、慈善的な活動であったり、事業活動における環境負荷等をカバーする免罪符のような処し方も散見されました。</p>
<p>その後2000年代に入ると、CSR論議が百花繚乱の様相を呈し、その『定義』は200以上あったといわれています。その中から、世界のスタンダードといわれる欧州委員会(EU)とISO26000、及び日本の経済産業省のCSRの定義を確認しておきましょう。</p>
<p>◎欧州委員会(EU) …　<u>企業の社会への影響</u>に対する責任<br />◎ISO26000 … <u>事業活動が社会・環境に及ぼす影響</u>に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任<br />◎経済産業省 … 企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その<u>活動の影響について責任をとる企業行動</u>であり、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方</p>
<p>これら3つの定義に共通する重要単語は、<u>「影響」</u>です。<br />CSRは、『企業が自らの事業活動により環境や社会に及ぼす<u>影響への責任</u>』というのが本旨です。すなわち、<u>企業が社会に与える影響に責任を持つ</u>ことであり、環境、社会、経済への<u>ネガティブな影響を防ぎ最小化し、ポジティブな影響を最大化する</u>ということです。</p>
<p>これこそが、次世代経営者としての『サステナビリティの絶対音感』を鍛える視点であり感性です。上記のような<u>原理原則</u>をしっかりと踏まえ、「サステナビリティ経営」に腰を据えて取り組むことで、持続的成長・中長期的な企業価値向上につながります。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

【コラム細田悦弘の新スクール】 第5回「企業の社会的責任」の生い立ち

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<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/12/18/etsuhirohosoda.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>今どき、サステナビリティは経営の必修科目とわかっていても、どうも踏み切れない。予算も人材にも余裕がない。ただし経営の本分に立ち返れば、自社を存続発展させること。そのための活路となるのが「サステナビリティ」であると腹を据えて割り切りたいものです。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>サステナビリティは『コスト』ではなく、『投資』</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「サステナビリティ経営」に舵を切るのに二の足を踏む経営層は、まだまだ多く見受けられます。サステナビリティを経費(コスト)と考えれば、それが必要経費であっても『出っぱなし』ですが、<u>投資と捉えれば、『リターン』があります</u>。こうした文脈から、企業がサステナビリティに取り組む意義について、次のように列挙します。 </p>
</div>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
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<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>「サステナビリティ経営」の10のご利益(ごりやく)</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p><strong>1. </strong><strong>リスクマネジメント</strong><br />サステナビリティ経営とは、「<u>環境・社会の持続可能性への配慮により、事業の持続的成長を図る経営</u>」といえます。したがって、自社の業種業態がどのように地球や社会に『<u>負の影響</u>』を与えるのかにまず着眼することが先決です。これが、サステナビリティ経営に取り組むべき「リスクマネジメント」の観点です。すなわち、現代社会の『要請』ともいえる「ハードロー」と「ソフトロー」への対応を意味します。前者を遵守するのは当然ですが、後者を軽視し対応を怠ると、経済的・道義的に不利を被ることになります。さらには、ソフトローが徐々に社会通念上の妥当性が高まり、ハードロー化すれば、事業の制約や差し止めの窮地に追い込まれることもあります。</p>
<p><strong>2. </strong><strong>イノベーション</strong><br />サステナビリティ経営が目指すところは、<u>社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを『同期化』</u>させ、地球や社会の持続可能性を担保しながら、企業の持続的成長を図ることです。それを実現するには、従来からのコアビジネスにサステナビリティ視点の『制約(ハードル)』を課されることになります。それを乗り越えるには単なる改良ではなく、これまでなかった柔軟で斬新な発想による「イノベーション」が求められます。『制約』をドライバーとしてイノベーションに挑めば、新しい競争力が身に付きます。</p>
<p><strong>3. </strong><strong>コストダウン</strong><br />サステナビリティへの取り組みは、原材料の再利用・省エネルギー等の環境配慮を通じ、原材料費や販管費を低減できる業種があります。商品やサービスの製造過程において、エネルギーや廃棄物の量などを見直すことができれば、コスト削減につながります。これを商品やサービスの提供価格に反映させることで市場競争力が高まります。さらにアップサイクルができれば、それまで廃棄コストがかかっていたごみが、環境負荷を軽減しながら収益源に変貌します。</p>
<p><strong>4. </strong><strong>資金調達先(投資家・金融機関)の評価向上</strong><br />金融機関が投融資先を選別するに際し、『持続的成長が果たせる会社』を見極めます。<u>持続的成長が期待できる会社は、地球や社会に配慮した会社</u>です。サステナビリティに取り組まない企業より、真摯(しんし)に取り組んでいる企業の方が<u>資金調達面で有利になる傾向</u>が顕著になっています。そして金融機関は、自らのサステナビリティ推進のために、資金の力でサステナビリティに熱心な企業を後押ししていく動きも活発になっています。</p>
<p><strong>5. </strong><strong>取引先とのサステナビリティ協働による競争力強化</strong><br />多くの製造業はサプライチェーンの中間に位置します。取引先からサステナビリティへの取り組みを迫られる局面が増えています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に象徴される対応においては、スコープ3である<u>事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出量</u>も対象となっています。<u>サステナビリティ協働は、これからのビジネスにおける『取引条件』</u>になる傾向は強まり、企業間取引の拡大の契機と捉えることもできます。</p>
<p><strong>6. </strong><strong>業界や地域経済の活性化</strong><br />事業エリア周辺から雇用や物品・サービスの調達を通じ、地域の持続可能な発展に寄与できます。地域における産業集積や知的集積によってクラスターが形成されていけば、地域産業の競争力向上や地域社会・経済の活性化にもつながります。そして、<u>地球や社会に対する『外部性(影響)』は、業界によって異なります</u>。そこで業界としてサステナビリティに取り組めば、<u>業界としての競争力を強化</u>でき、ステークホルダーからの共感や評価が高まります。</p>
<p><strong>7. </strong><strong>優秀な人的資源の獲得</strong><br />Z世代を中心にサステナビリティへの志向性が芽生え、ライフスタイルや消費行動のみならず、『会社選び』の基準にも反映されてきています。「エシカル就活」という言葉もよく見聞きします。求職行動の喚起にあたっては、サステナビリティに対する企業姿勢の訴求が不可欠となっています。働く側として、<u>『社会に役立つ仕事』ができるかどうか</u>は就職先を選ぶ際の要件として重みを増してきています。<u>サステナビリティ経営は、採用ブランドを高めます</u>。</p>
<p><strong>8. </strong><strong>従業員の離職率低下とモチベーションアップ</strong><br />伝統的に有力な日本企業は、『社員を大切にする』という考え方のもと、雇用の保障や福利厚生の充実という形で報いてきました。しかし、いま大きく変容しているのは、『労働条件の満足』から一歩踏み込んで、<u>『個人のウェルビーイング』と『会社のパーパスや中長期の経営計画』をしっかりとつなぎ合わせていく</u>点にあります。従業員が、パーパスに依拠したサステナビリティ経営に共感すれば、エンゲージメントが強化され、ロイヤルティが高まります。そして、「リテンション戦略(優秀な人材の離脱を防ぎ、継続して活躍してもらう)」に効果を発揮します。</p>
<p><strong>9. </strong><strong>社会的評価(レピュテーション)の向上</strong><br />「社会からの評価(レピュテーション)」において、サステナビリティが新しいモノサシとなっています。表層的な企業イメージではなく、レピュテーションは<u>社員一人ひとりがサステナビリティを具現化</u>することによって、時間をかけて醸成されていきます。あわせて、サステナビリティ経営に関する情報をステークホルダーに的確に伝え理解・共感を得るため、「統合報告」等を通じ開示していくことが重要です。レピュテーションが高まれば、それが<u>『無形資産』として企業価値に寄与</u>します。</p>
<p><strong>10. </strong><strong>新しい価値創造、新しい市場開拓</strong><br /><u>「事業によって社会課題を解決し、社会とともに発展する」といった経済価値と社会価値を両立させる経営</u>の視座が強く求められています。「社会課題を解決しよう！」と言うと、とかく現行ビジネスの『プラスα』といった印象を受けがちです。しかしながら、生活者が直面する『お困りごと』をビジネスで解決できれば、生活者が消費者(お客様)に変わり、新しい価値創出・新しい市場開発につながります。この視点は、既存市場に根差したマーケットインを超えて、<u>社会を軸としたアウトサイドインのビジネス</u>への足掛かりとなります。</p>
<p>上記の『10のご利益』に鑑み、サステナビリティ経営に本腰を入れて取り掛かるべき時が到来しています。目指すところは、<u>事業基盤である環境や社会面のリソースを維持・増強しながら、経済活動としての事業を持続的に成長させること</u>です。サステナビリティを経営戦略に組み込み、企業と社会の相乗発展に結びつけ、中長期的な企業価値向上を果たすことが、現代のリーディングカンパニーの矜持(きょうじ)です。これからの経営を担う次世代の人たちの腕の見せどころといえましょう。</p>
</div>
<p></div>
<p></p>

【コラム細田悦弘の新スクール】 第4回　サステナビリティ経営の10のご利益

<p></p>
<div class="blockTemplateArea"></p>
<div class="elem_pik_box full">
<table class="elem_pik_box" summary="">
<tbody>
<tr>
<td class="elem_pik_box">
<div class="pik"><img decoding="async" alt="" src="https://cms.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/__icsFiles/afieldfile/2023/11/12/etsuhirohosoda.png"/></div>
<div class="m_paragraph"></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>サステナビリティでメシが食えるか？ まだ割と多くの経営層の心の内には、こんな一抹の本音がひそんでいるようです。目先の利益はもちろん大事。ただ目先の利益を続けていきたいならば、サステナビリティは必須です。今やサステナビリティをないがしろにしていると、メシが食えなくなる！といえましょう。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>『外部不経済』は、もう許されない</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>企業は長らく『外部不経済』を無視することで、『短期的利益』を確保し経済的繁栄を遂げてきました。<br />外部不経済(負の外部性)とは、製品やサービスの生産または消費に直接的に関係のない他の主体(地球や社会など)に害を与えることを指します。そうした経済活動は、環境や社会に悪影響を及ぼしつつも、その会社のコストには反映(内部化)されません。工場の排煙・排水等による環境負荷などが典型例といえます。</p>
<p>そして近年、外部不経済が自然の自浄作用の範囲をはるかに超えているという現実が明白となりました。したがって企業社会は、<u>環境や社会を傷つけながらでは経済活動が成り立たない</u>という構造に気付きはじめ、サステナビリティ経営への潮流が加速してきました。<u>盤石な地球・健全な社会があってこそ、経済が成り立つという自覚が、サステナビリティ経営の起点</u>となります。</p>
</div>
<div class="elem_heading_lv2">
<div>
<h2>リスク回避と機会創出</h2>
</div>
</div>
<div class="elem_paragraph">
<p>「事業基盤である環境や社会を維持・増強しながら、事業を持続的な成長につなげる」ことが、サステナビリティ経営の本質です。すなわち、<u>サステナビリティ要素を経営の中核に組み入れ、中長期的な企業価値向上を念頭に、リソース(経営資源)の配分を行うこと</u>が要諦です。</p>
<p>そのためにはサステナビリティ視点で時代の変化を捉え、果敢に<u>『要請と期待<sup>※1</sup>』に対応</u>していくことが求められています。自社の業種業態がどのように地球や社会に<u>負の影響</u>を与えるのかにまず着眼することが先決です。これが『リスク回避』の観点です。<br />そして、自社の強みやケイパビリティ(組織的能力)を活かして、どうような<u>正の影響</u>を与えることができるのかが、「機会の創出」につながります。このスタンスが、<u>事業による社会課題解決であり、経済的価値と社会的価値の同時実現</u>です。</p>
<p>ともすると、サステナビリティを従来の社会貢献やリスクの側面からのみ捉え、トレードオフ(一方を追求するともう一方を犠牲にしなければならない)となりがちです。ところが、新しいビジネス機会の創出に目を向けることができれば、長期的視点でのリソース配分によって、持続的に利益を出し続けることができるようになり、トレードオン(一見相容れないものを高次に両立させる)に転換できます。</p>
<p>経営者にとってのサステナビリティは、とかく「コストがかかる」「短期的に儲からない」「そこまで儲からない」といった認識が付きまといがちですが、押さえどころは、サステナビリティ経営の<u>時間軸が『長期(ロングターム)』</u>である点です。企業戦略としてのサステナビリティへの打ち手は、持続的成長のためのロングターム・インベストメント(長い目でみた投資)なのです。</p>
<p>サステナビリティが人口に膾炙(かいしゃ)する<sup>※2</sup>中、真のサステナビリティ経営へと脱皮した企業には、リスクよりも<u>機会に着眼し動機付けされている面が強い</u>という特長があります。そこに「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)へ」の扉があります。</p>
<p><sup>※1 <a href="https://www.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/1217800_1535.html">前回(第２回)コラム</a>を参照</sup><br /><sup>※2 人々の関心事になって広く知れ渡る</sup></p>
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<h2>真のサステナビリティ経営と「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」</h2>
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<p>上記のように、企業が長きにわたり生き残るには、サステナビリティの観点を経営に取り込む必要があるとの認識が急速に浸透し始めています。伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長は、「いま、サステナビリティといかに向き合い、本気で実現していくかが、企業経営の最重要課題となっている。経営戦略のど真ん中にサステナビリティを置き、経営戦略のあらゆる側面に組み込んでいくことが大事だ」と主張しています。</p>
<p>サステナビリティを成長のための機会と捉え、その実現のためには『SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)』が欠かせないということです。SXとは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を意味します。</p>
<p>2022年8月に経済産業省が公表した「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」では、「サステナビリティへの対応は、企業が対処すべきリスクであることを超えて、長期的かつ持続的な価値創造に向けた経営戦略の根幹をなす要素となりつつある。企業が長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)を向上させていくためには、サステナビリティを経営に織り込むことが最早、不可欠であるといっても過言ではない」と指摘しています。</p>
<p>これからの時代、肝に銘じておきたいのは、<u>サステナビリティをないがしろにしていると、『メシが食えなくなる』</u>ということでしょう。</p>
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【コラム細田悦弘の新スクール】 第3回 「サステナビリティ経営」が求められる背景と意義

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<tr>
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<p>企業が存続発展するためには、変化への対応が不可欠といわれます。今や経営者やビジネスパーソンの共通認識ともいえる「変化への対応」。これを具体的に実現するために、サステナビリティの『絶対音感』で捉えてみましょう。</p>
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<h2>企業の存在意義は、その時々の『社会』が決める</h2>
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<p>「大きいことは、いいことだ♪」。1960年代後半に森永製菓が発売したエールチョコレートのCMソングの歌詞の一節です。いま50代半ばの経営層が生まれた頃です。いざなぎ景気(昭和40～45年)のもと、時代は高度経済成長の真っただ中で、「<u>重厚長大</u><sup><sub>※</sub></sup>」への経済発展に突き進んでいくパワーと豊かさの象徴として見事に世相とマッチし、瞬く間に流行語になりました。大量生産・大量消費を基調とする世の中で、循環型社会とはかけ離れた『使い捨て』を容認する風潮もありました。</p>
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<p><sup>※重厚長大…高度経済成長の終焉期に生れた大型化・大量化を象徴する言葉。主に鉄鋼・造船・セメント・石油化学などの重化学工業の産業を意味し、重く・厚く・長く・大きな製品に由来する</sup></p>
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<p>あれから50有余年を経て、『社会』は激しく変容し、企業の立ち位置も大きく変わりました。昔も今も、企業は<u>『社会における存在意義』を発揮してこそ、存続発展がかないます</u>。ただし、時代が変われば、『社会』も変化します。企業は<u>その時々の『社会』から認めてもらえてこそ、存在意義が発揮できる</u>のです。</p>
<p>これまでの半世紀の社会の変化を表にまとめてみました。</p>
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<tbody>
<tr>
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</tr>
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<p>経済成長が中心で『環境・社会』は与件として捉えられていた高度成長期から、『経済と環境･社会とのバランス』を求められた80年代・90年代を経て、2000年代に至っています。現代の企業が拠って立つのは、『<u>経済は、環境･社会の中で成り立つ</u>』という認識です。すなわち、経済をすくすくとやっていきたければ、健全な社会や盤石な地球があってこそだと強く認識して、経営の舵取りをせよということです。</p>
<p>今日まで営々と発展してきた企業は、こうした時代の波を乗り超え、むしろ時代を味方につけて、現在の姿があるといえましょう。これまでもこれからも、「(<u>社会の)変化への対応</u>」こそが企業の存続発展の決め手となります。</p>
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<h2>「要請」と「期待」に応える</h2>
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<p>いつの時代にも、確固たる経営基盤を確保しつつ、<u>あらゆる変化に柔軟に「対応」していくことこそが、企業経営の基本であり核心</u>です。ではどう対応するかといえば、社会から企業に向けられる、次の2つの視点がポイントです。</p>
<p>◎要請…やってもらっては困る、やってもらわないと困る<br />◎期待…やってもらえると、うれしい</p>
<p>まずは、現代社会の<u>「要請」に対応</u>することです。<u>要請とは、「ハードロー(hard law)」と「ソフトロー(soft law)」</u>を意味します。前者は、社会的規範として法的拘束力のある法律・条例等のことです。これに対して後者は、法的な強制力を伴わないものの、現実の社会において何らかの拘束感をもつ規範を指します。公的なガイドライン、イニシアチブ、業界団体や企業の自主ルール、さらには世間常識や倫理観をも包含します。</p>
<p>ハードローを遵守するのは当然のことですが、とりわけ時代とともに変化し強化されるソフトローには要注意です。この対応を怠ると、経済的・道義的に不利をもたらす規範となります。社会(ステークホルダー)から、「今どき、そんなことをやっているのか」「今どき、そんなこともやっていないのか」という烙印を押され、規模の大小・業種業態に関わらず、企業存亡の危機を招きかねません。言ってみれば、「<u>法廷で裁かれなくても、社会に裁かれる</u>」ということです。社会に裁かれれば、ブランドは失墜し企業価値を毀損(きそん)します。したがって、<u>現代社会の「要請」に対応することは、「リスク回避」のための鉄則</u>となります。</p>
<p>その上で、後者の社会からの<u>「期待」に応える</u>ことです。近年では、「事業による社会課題解決」という概念で広く定着してきています。ここに、米国経営学者であるマイケル・ポーター教授らが提唱する「CSV<u>(Creating Shared Value：共通価値の創造)</u>」と称されるコンセプトがあります。<u>経済的価値を創出しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も生み出す</u>というアプローチです。</p>
<p>ビジネスは企業本位で独善的に行えるはずがなく、<u>さまざまな関係者の協力と自発的な交換</u>に基づいて成り立っています。関わる人々(ステークホルダー)は、互いのメリットのために自発的に取引をするのであって、企業から強制されて物を買ったり売ったり、役務を提供したりはしません。お客様はどこから買うか、社員はどこで働くか、サプライヤーは自社の製品やサービスをどの企業に提供するか、そして投資家は自らの資金をどの企業に投資するのかを、それぞれ多くの選択肢から自由に選べるというわけです。</p>
<p>企業は、こうした欠くべからざる人々(ステークホルダー)から信頼してもらって、持続的な成長が図れます。<u>信頼されたければ、時代にふさわしくステークホルダーからの「要請や期待」に応える</u>ことです。結果として、確かな経営基盤のもと、時代にふさわしい新しい価値創出・新しい市場開発が実現できます。</p>
<p>次代を担う経営者が『サステナビリティの絶対音感』を身に付ける手がかりは、刻々と変化する社会からの「要請と期待」に応えることです。<u>『要請』に対応してリスクを回避し、『期待』にビジネスで応え、新しい成長の機会(opportunity)とする</u>ということです。それがゴーイングコンサーン(Going Concern：企業の存続可能性)を担保し、持続的成長・中長期の企業価値向上を目指す経営の王道です。</p>
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【コラム細田悦弘の新スクール】 第2回 これまでとこれからの「企業と社会との関わり」

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<p>音を聞いただけで、その音の高さがわかる『絶対音感』。持続可能性を高める経営を担う次世代の人たちにとって、次々と現れるカタカナ・アルファベットの渦に巻き込まれず、腰を据えた舵取りをするために、サステナビリティの『絶対音感』を磨いておくことが大変重要です。これからの経営は、「サステナビリティ」が競争優位を左右します。<br />新シリーズでは、『これからの経営を担う次世代の人たち』に向けて、時代が求める新しい経営のあり方のセンターラインを浮き立たせます。サステナビリティ時代において、『音をはずした経営』でステークホルダーから思わぬ顰蹙(ひんしゅく)を買い、企業価値を毀損(きそん)することだけは避けたいものです。</p>
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<h2>『絶対音感』があれば、本質を射抜ける</h2>
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<p>ESG・SDGs・TCFD・ISSB・マテリアリティ…。テクニカルなカタカナ・アルファベットがこれでもかと飛び交う中、これからの経営を担う次世代の人たちは、少し厄介と思いつつも、この先の自社の発展のためには不可欠なテーマであると認識していることでしょう。地球や社会の持続可能性が中核的価値観となった今日、近い将来に経営の舵取りをする人々にとって、ぜひとも備えておきたいのが、<u>サステナビリティの『絶対音感』</u>です。</p>
<p><u>絶対音感(absolute/perfect pitch)とは、音を聞いただけで「音名(絶対的な音の高さ)」を判別できる能力</u>のことです。楽器などの助けを借りずに音高(音の高さ)を直接知覚でき、さらに指定された音を他の音と比較せずに発声する能力を含めることもあります。絶対音感を持っている人は、聞いた音を正確に再現でき、楽譜の書き方を知っていれば、譜面に落とし込むことができるようです。この能力は、多分に先天的な素質に依存しますが、幼い頃の訓練によってある程度身に付けられるといわれています。</p>
<p>すなわち、<u>サステナビリティの『絶対音感』とは、サステナビリティの本質を見極める能力</u>を意味します。これが備わっていれば、サステナビリティ関連の専門用語を見聞きした時、<u>すぐさま体系的に位置づけられ、個別要素に翻弄され振り回されることなく、原理原則に基づき、サステナビリティを自然体で経営戦略に取り入れることができる</u>ようになります。<br />とかく、サステナビリティと経営の『接続』や『一体化』といった、二律背反する別物の取り合わせのような表現が散見されますが、絶対音感があれば、当たり前に2つを戦略的に『融合』することができます。</p>
<p>絶対音感は幼少期早めなら身に付けることができても、大人になると難しいといわれています。「サステナビリティの絶対音感」も、<u>明日の経営を担う次の世代が早い段階で磨いておくことが極めて重要</u>です。</p>
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<h2>企業の社会性は『プラスα』ではなく、軸足</h2>
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<p>昨今、経営者によるこんなつぶやきを耳にします。<br /><strong>〇</strong>「(今の時代は)企業だけ儲けていてはいけないから、社会や地球にもいいことしなきゃなぁ」<br />こうしたメッセージは、これまでは一定レベルの見識として評価を受けることができましたが、次世代の経営者に推奨する最新バージョンの文脈は、次のとおりです。<br /><strong>◎</strong>「(これからの時代は)社会や地球に良い影響を与えている企業こそが、儲けられるし儲け続けられる」<br />『社会や地球にも』ではなく、<u>社会や地球への対応は、『経営の前提条件』</u>になるということです。</p>
<p>ではここで、この先の「良い会社」の3つの要件を挙げてみましょう。<br />1、儲かっている会社〈収益性〉<br />2、伸びている会社〈成長性〉<br />3、社会(地球含む)に対して良い影響を与えている会社〈社会性〉<br />1と2の「収益性・成長性」は、営利企業の経済的責任として自明で欠くべからざる要素です。ところが、サステナビリティが世界共通の価値観となった現環境下においては、3の「社会性」が一段と重視されています。すなわち、社会や地球に良い影響を与えている企業だからこそ、収益も上がるし伸び続けられるということです。<u>企業の社会性は『プラスα』ではなく、軸足</u>になっています。</p>
<p>とりわけ上場企業に課されているコーポレートガバナンス・コードの副題は、「持続的な成長・中長期的な企業価値の向上」であり、その実現のために「社会性」が強く求められています。非上場であっても、金融機関は、企業評価に際して、このようなモノサシを当て始めています。</p>
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<h2>地球や社会を大切にすれば、企業もまた持続的に成長させてもらえる</h2>
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<p>企業は今日に至るまで、経済活動の規模と範囲を大きく拡大させ続けた結果、「成長の限界」にぶち当たり、環境面および社会面のさまざまな課題に直面しています。従来散見されたような、企業の発展ありきで突っ走り、地球に害を与えたり、社会に迷惑をかけることが看過されなくなりました。現代においては、社会的価値を毀損しながら経済的価値を向上させることは御法度です。そこで、「サステナビリティ(Sustainability：持続可能性)」というキーワードに世界の注目が集まり、企業経営やブランド戦略の中核にこの概念をビルトインすることが求められています。</p>
<p>「サステナビリティ」という言葉はこれまで、企業活動を行うにあたって「地球」を大事にするという趣旨で使われてきました。それが現在では、企業活動をすすめるにあたって<u>地球や社会を大切にすれば、企業もまた持続的に成長させてもらえる</u>という脈絡で語られるようになりました。</p>
<p>地球が壊れれば、社会が壊れる。<br />社会が壊れれば、経済が壊れる。<br />経済を順調に発展させたいのであれば、地球や社会を大切にする</p>
<p>ということです。企業は、地球環境や社会を前提に存在していることは自明です。したがって、時代が求める『新しい経営のあり方』を目指す次世代経営者には、<u>盤石な地球と健全な社会があってこそ、将来にわたってのビジネスが円滑に展開できる</u>という矜持(きょうじ)のもと、<u>サステナビリティを味方につける経営</u>が期待されています。</p>
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細田 悦弘

細田悦弘