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  • 公開日:2025.03.17
  • 最終更新日: 2025.03.31
生活者の「SDGs疲れ」明らかに 『JSBI 2024』発表、企業評価首位は3年連続で良品計画

「サステナブル・ブランド国際会議2025 東京・丸の内」内で、SDGs(持続可能な開発目標)に関する企業のイメージを生活者が採点したブランド調査「Japan Sustainable Brands Index(JSBI)2024」のランキング結果を発表します。

5回目の発表となる今回は、3年連続で良品計画が首位を維持、昨年度8位だった王子ネピアが大幅に順位を上げ2位となりました。また生活者のSDGs認知度を問う項目では、SDGsの認知度は9割近くを維持するも、「企業が取り組むべき」と考えるSDGsの重要度は全体的に低下するなど、「SDGs疲れ」とも呼べる状況が明らかになりました。

今年度調査実施概要
•調査対象: 18歳〜79歳の全国の男女
•調査企業数: 312社
•調査期間: 2024年11月18日〜12月10日
•調査方法: インターネット調査
•総サンプル数: 1万5600件

JSBIのランキングは、企業の持続可能なブランドとしてのイメージ評価を測る「SDGs貢献イメージ得点」と、企業の具体的なSDGsへの取り組みに対する評価を測る「SDGs評価得点」の2つのスコアを基に算出されます。

3年連続で良品計画が首位、王子ネピアは昨年から躍進し2位に

企業別ランキングでは「良品計画」が3年連続で1位となりました。SDGs評価得点よりSDGs貢献イメージ得点の方が相対的に高く、生活者からのサステナブルなイメージが安定的に強い結果となりました。
昨年度8位だった「王子ネピア」が2位へ大幅上昇し、SDGs評価得点・貢献イメージ得点ともに高スコアを記録。3位には「クボタ(Kubota)」がランクインし、持続可能な農業・水資源管理の取り組みが評価されました。イオン、トヨタ、スターバックスなどの大手企業は長く安定した評価を維持しています。
また、今回の調査では、新たに男女別、世代別、世帯年収別の評価ランキングの詳細も加えて報告しています。

業界別には、「食品」「化粧品・トイレタリー」が高評価、「金融・保険」「放送・エンターテインメント」が低評価となる傾向が続きました。食品業界はJSBIスコアが全体的に向上し、持続可能な商品の開発が評価され、化粧品・トイレタリー業界も、サステナブルな原材料の使用やパッケージの工夫が評価につながったと見られます。

金融業界は「サステナビリティと事業の関連性」が不明瞭とする声が多く、評価が伸び悩んでおり、放送・エンターテインメント業界では、生活者が求める「社会貢献度」とのギャップが大きく、昨年比で評価が低下しました。

「SDGs疲れ」が企業評価にも影響か

今回のJSBIでは、SDGsの認知度が9割に達する一方で、ほぼすべてのSDGs項目で、「企業が取り組むべき」と考える重要度スコアが低下しました。さらに「サステナブルな行動を心がける」と回答した生活者は91.6%と昨年とほぼ同水準ですが、「常に取り組んでいる」と回答した層は昨年より減少し、実際の行動とのギャップが広がっています。

ランキング上位企業の中でも、SDGs評価得点が昨年より低下したケースも多くなりました。重要度スコアと比較すると、生活者の「SDGs疲れ」が指摘される中、自社事業の範囲だけでなく、エネルギーや平和、気候変動といった世界規模の課題に対する具体的な行動が求められている傾向がみられます。企業の真の取り組みがどのように生活者に伝わっているのかを測り、生活者の行動変容を促すことが、これまで以上に重要になっています。

企業の不祥事に対する初調査も実施

今年度は新たに、「企業不祥事に対する生活者の反応調査」も実施しました。倫理・社会的責任の問題、環境関連の問題、顧客データ・情報管理の問題など、不祥事の内容ごとに、クレームやボイコット、無関心まで生活者の反応を集めました。
広告タレントの不祥事よりも、製品品質の欠陥や個人情報漏洩などの不祥事の方が、実際に行動を起こす生活者が大幅に上回るなどの結果が明らかとなりました。

調査結果が詳細に記載されているレポート(速報版)はこちらからダウンロードいただけます。
https://www.sri-sinc.jp/sb/jsbi/JSBI2024_Report_Ver-01.pdf

有料版の詳細レポートや企業ごとのカスタマイズレポートも販売

さらに詳しいレポート結果を見ることで、適切なアプローチを図ることができます。競合企業との項目別比較や、個別企業を評価し得る回答者の顧客属性など、知りたい情報をカスタマイズできる個別報告レポートのほか、新たに、速報版には掲載されていない詳細結果を網羅したフルレポートも販売いたします。

【調査プロジェクトチーム】
調査実施者:サステナブル・ブランド ジャパン アカデミックチーム
監修:青木茂樹(駒澤大学経営学部教授・サステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサー)
調査設計:江戸克栄(県立広島大学大学院教授)
調査設計補佐:落原大治(法政大学大学院院生)
CSRアドバイザー:小山嚴也(関東学院大学学長)
報告書作成:矢崎陽子(駒澤大学社会連携センタースタッフ)
発売元:株式会社 Sinc

本調査は企業が持続可能な社会の実現にどのように貢献しているかを可視化し、生活者と企業の相互理解を深めることを目的としています。企業の皆さまが、サステナブル経営のさらなる発展に活用されることを期待しております。

【本件に関するお問い合わせ】
株式会社Sinc(発売元)
E-Mail:info@sri-sinc.jp

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