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マグロの資源管理について話し合う国際会議が、10日から16日まで北海道釧路市で開かれ、太平洋クロマグロの漁獲枠の増枠が決定した。2010年に初期資源量(漁業が開始される以前の推定資源量)の1.7%まで減少していた資源量が、最新の調査では約23%に回復。安全水準を維持していることから、30キログラム以上の成魚を現状の約1.5倍、30キロ未満の未成魚を1.1倍に増枠する。WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の合意に基づく各国の適正な漁獲管理の効果が表れた。(松島香織)
第20回WCPFC北小委員会および、第9回IATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)・WCPFCクロマグロ合同作業部会で合意、2025年から適用される。WCPFCでは、この措置の見直しを 2026 年に行うことを明記した。会議には日本のほか、米国・カナダ・フィジーなどの国々や関係する国際機関、NGOなどが参加。北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)による2024年の資源評価結果などをもとに、主に漁獲量の多い日本、韓国、台湾の漁獲枠について議論した。
絶滅を危惧されるほど太平洋クロマグロが減少した原因は、日本を含む漁獲国による未成魚の過剰な漁獲にあった。そこでWCPFC の合意に基づき、各国で3歳未満の未成魚の漁獲量を全体で50%削減する措置が取られた。太平洋クロマグロは、卵の生存率が比較的高く、きちんと保全されれば速やかに増える傾向があるという。2015年から2017年にかけて順調に成長し、さらに適切な漁獲管理を続けた結果、資源が回復傾向に転じた。
北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)による2024年の資源評価結果
1. 産卵資源量は 14万4000 トン(初期資源量の23.2%)まで回復し、予定よりも早く2021年に次期回復目標(初期資源量の20%)に達した。
2. 本種の資源量についての管理基準値は決まっていないが、資源量は、WCPFCの他のまぐろ類で使用されている基準(初期資源の20%)と比較すると、資源は減り過ぎの状況ではない。
3. 本種の漁獲圧力についての管理基準値は決まっていないが、近年(2020-2022年)の漁獲死亡係数は、初期資源の23.6%を取り残す水準であり、WCPFCなどで使われる一般的な乱獲の基準を下回っている。
「増枠は、今後の資源の動向をシミュレーションしており、大きなリスクもなく、引き続き資源が増えていくようなシナリオ。漁業者や政府、世論をつくるメディア、市場など、あらゆるステークホルダーの協力があったからこそ得られた結果だ」と、WWFジャパン 自然保護室 海洋水産IUU漁業対策マネージャー、水産資源管理マネージャーの植松周平氏は評価している。
今後も太平洋クロマグロの持続可能な資源維持には、水産流通適正化法を適用したり、「漁獲証明制度(CDS)」などを用いたIUU漁業(違法・無報告・無規制な漁業)への対策や、科学に基づいた正確な情報による管理基準値の設定や漁獲戦略が重要になる。コンピューターシミュレーションを用いて、資源評価の誤りや漁獲量超過時のリスクなどを検討する管理戦略評価(MSE)の導入は、来年2025年のWCPFC会議で議論される見込みだ。
松島 香織 (まつしま・かおり)
サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。