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  • 公開日:2023.01.17
  • 最終更新日: 2025.03.02
1月17日は“布ナプキンの日” 阪神淡路大震災の避難所生活から生まれたオーガニックな生理用品のストーリー

廣末 智子(ひろすえ ともこ)

4種類のオーガニックコットンを使用したプリスティンの布ナプキン

今でこそサステナブルな観点から、使い捨てずに繰り返し使用するタイプの商品も多く存在する女性の生理用品。だがそれは当たり前のことではなかった。オーガニックコットンの原綿を輸入し、日本でつくることにこだわった企画製造販売を行うアバンティ(東京・新宿)は今日、1月17日を“布ナプキンの日”と定める。28年前のこの日に起こった阪神淡路大震災で被災し、避難所生活を余儀なくされた女性の「災害時用のナプキンをつくってほしい」という声から誕生したのが同社の布ナプキンだからだ。(廣末智子)

4種類のコットンで、夏は「気持ちよく」冬は「温かい」商品に

当時はオーガニックコットンの原綿を取り扱う“生地屋”だった同社に、被災した女性から寄せられたのは、避難所のトイレに山積みになった使用済みのナプキンを目にし、それがいかに不衛生で不快であったかということ、そして、非常時用として備蓄しておくため、「使い捨てではない、布のナプキンをオーガニックコットンでつくってほしい」という切実な声だった。

そこから始まった布ナプキンの開発を、同社の奥森秀子社長は、自身、紙ナプキンしか知らず、生理について憂鬱なものだという思いしかなかった中で、「布でナプキンなんてできるのか」と疑問に思いながら試作に入ったと振り返る。

約8カ月かけてできあがったのは、吸水性の観点からワッフル素材の生地を2種、肌に当たる部分には「からみ織り」という特殊な技法によるメッシュ素材の生地を合わせ、裏側にはガーゼのような風合いの生地を貼り合わせた4種類のコットンによる布ナプキンだ。奥森氏自身が試用する中で、夏を迎えると「通気性がよく気持ちいい」と、また肌寒い季節には「温かい」と体感し、納得がいって初めて商品化したという。

ブランドの歩みと重なる布ナプキンの歴史

1996年はオリジナルブランド「プリスティン」誕生の年でもあり、同社の布ナプキンの歴史は同ブランドの歩みとも重なる。まだまだ地球環境のためにオーガニックコットンを使用していると言っても伝わりにくかった時代、生理用品を繰り返し洗って使用するという発想自体がまるでタブーのように受け取られることも。当時の厚生省からは「洗って使う生理用品は不衛生であり、ナプキンという名前を用いてはいけない」と言われ、急きょ「サニタリーパッド」という商品名で販売し、百貨店から「売り場に置かないでくれ」と釘を刺されたこともあったという。

その後、商品は消費者のニーズで、ショーツからずれないようにするための“羽”をつけ、防水シート入りのものを追加するなど改良を重ねた。サニタリーパッドではなく、布ナプキンと表示できるようになったのは2010年のこと。翌年の東日本大震災では被災地に布ナプキンとして寄付をした。今では百貨店からも品切れがないよう要望のある人気商品として定着し、奥森氏は「非常時用で開発したものが、28年経ってこれほどの市民権を得、多くの皆さんに日常で使ってもらえるようになるとは想像もしていなかった」と語る。

あくまで災害時を想定してつくった布ナプキンの延長線上としては、現在、おりものシートや軽失禁用シートとしても使える不織布できたマルチクロスやショーツなどを詰め合わせた「緊急時の女性のための防災セット」も販売中だ。

インスタライブで布ナプキンへの思いを語る奥森氏

今年の布ナプキンの日を前にインスタグラムのライブ配信を行なった奥森氏は、多くの視聴者に布ナプキンの誕生秘話を紹介。そして女性にとって“小さな出産”とも言われる生理は、個人差もあるが初潮から閉経まで約40年間続き、「1人の女性が紙ナプキンを1日5、6枚使うとすると、生涯で約1万4000枚使うことになる。これがごみになり焼却されると考えた時、改めて布ナプキンの環境負荷低減効果は大きい」と強調した。

その上で、布ナプキンの良さについて「何よりも経血を通じて自分の体と向き合うことができる。この1カ月もよく頑張ったね、と自分を愛おしく思えるのが素晴らしいところだと思う」と奥森氏ならではの言葉で熱く語った。

written by

廣末 智子(ひろすえ ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。

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