• 足立 直樹
  • コラム
  • 公開日:2017.05.17
  • 最終更新日: 2025.03.02
第11回:炎上するCM、しないCM、その違いは? (上)「日本とアメリカの子育てはこんなに違う!?」

    足立 直樹 (あだち・なおき)

     こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立です。今回は最近ちょっと話題になっているテレビCMに関連した話題を取り上げたいと思います。

     既にご存知の方も多いかと思いますが、とある日本企業のオムツのコマーシャルがSNSで炎上しました。初めての育児に奮闘するママを応援する感動的なCMを意図していたのだと思うのですが、赤ちゃんの世話や家事でてんてこ舞い、すべてを1人でこなすお母さんの姿を見た視聴者からは「ワンオペ育児を推奨するのか!?」と非難轟々なのだそうです。

     実際このCMではお母さんが1人でなんでもしていて、一瞬「もしかして母子家庭?」と思ってしまうほどなのですが、よく見てみると、父親らしき人の後ろ姿も少しだけ登場します。けれどもそのお父さんや周りの人が、お母さんを助けてくれる状況はなぜかまったく出て来ません。

     そして「ママは泣いちゃダメだって思ってた」「ママは強くなきゃダメだって思ってた」という歌詞が流れる中、苦しげな表情のお母さんがポロッと涙を流し、最後に「その時間が、いつか宝物になる」というキャプションが出て終わります。

     子育て経験のない私が見ていても「お母さんは大変だ…」と胸が締めつけられるほどですが、子育てをした女性からは「その頃のことを思い出して辛くなる」とか、「気分が悪くなる」といった感想がSNSに書き込まれています。

     もちろん子育てが大変なのはその通りでしょうし、実際に多くのお母さんがかなりの部分を1人でこなしているのが日本の現実なのかもしれません。しかし、それにしてもお父さんはまったく出て来ないので、「時間が経てば良い思い出になるんだから今は一人で頑張りなさい」と言っているように見えてしまったのでしょうね。

     さて、前置きがとても長くなってしまいましたが、今回取り上げたいのはこの日本企業(A社としましょう)ではなく、競合するアメリカのP&G社、そしてそのオムツのブランドであるパンパースのCMです。こちらの方が前に作られていますから、意図的に対抗したわけではないのは明らかですが、実に対照的なのです。まずは以下の動画をご覧ください。

    「パンパース│キミにいちばんのこと│#キミにいちばん」

     お母さんが歌う優しい子守唄の歌詞にのせて、家族や親戚、そして見知らぬサラリーマンやバスの運転手、さらには道路工事の作業員の方々まで、この小さな赤ちゃんを見守って大切にしてくれることが伝わってきます。
     「こんなのおとぎ話だ」とあなたは思うかもしれませんが、見ているだけで温かな気持ちになってきませんか? そして、こんな社会を一緒に作れたら素敵だと思いませんか?
     「世界でいちばん大切なキミのためなら、いつだって、いちばんのことをしてあげる」という歌詞は、これを歌うお母さんの言葉であると同時に、パンパースの思いでもあるのではないでしょうか? (英語の歌詞は”there is nothing we wouldn’t do”と主語がweになっていて、そのことがよくわかります。なので、本当は日本語のキャプションも「私たちはどんなことだってしてあげる」とした方が良かったかもしれませんね)
     そして私たち視聴者は、パンパースの「私たちはどんなことだってしてあげる」という言葉にグッと来て、共感を感じるのではないでしょうか。
     後日更新する「2つのCMの明暗を分けたものは?」に続きます。

    written by

    足立 直樹 (あだち・なおき)

    サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー 株式会社レスポンスアビリティ代表取締役

    一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

    News
    SB JAPAN 新着記事

    水素を活用する社会の実現へ ホンダが進める多元的で多面的な取り組みとは
    2025.04.03
    • ニュース
    • #リジェネレーション
    自社の歴史から学ぶ、人の感動起点の製品開発とサステナビリティ
    2025.04.02
    • ニュース
    • #リジェネレーション
    米国の現状から何を学ぶべきか、「リジェネレーション」の可能性とは――米SBの創設者とCEOが語る
    2025.04.01
    • ニュース
    • #リジェネレーション
    SB-Jの発行元がSincに移行――サイトリニューアルでコンテンツを一層充実へ
    2025.04.01
    • ニュース

      Ranking
      アクセスランキング

      • TOP
      • ニュース
      • 第11回:炎上するCM、しないCM、その違いは? (上)「日本とアメリカの子育てはこんなに違う!?」