セ・デュ・ジャルダンはオーガニック食材で料理を提供する (C)ビオセボン
|
仏オーガニックスーパー大手のビオセボン(本社:パリ市)がレストラン事業に参入した。仏中部のディジョンに続き、2016年12月にパリ郊外の高級住宅地ブローニュに2軒目の100%オーガニックレストラン「セ・デュ・ジャルダン」を開店した。フランスではオーガニックスーパーがレストランを併設する例は珍しい。(羽生 のり子)
「菜園から採れたもの」を意味する「セ・デュ・ジャルダン」は、ビオセボンの店舗に隣接にしている。入り口奥がオープンキッチンで、その前にサンドイッチバーやサラダバーがある。
植物性タンパク、調理した野菜、生野菜、チーズ、ハムなどから好みの材料を3種類入れてもらい、ソースとトッピングを選ぶ。飲み物はスムージーなど。昼食時は日替わりの前菜、主菜、デザートも出す。「食材は隣の店から。すべて自家製料理です」とニコラ・シャイニュン店長は言う。
アレクサンドラ・フェサール・シェフは料理とホテル学の名門校「フェランディ」で学び、プロになって1年目という若いシェフだ。
「食店業界の持続可能性を専門にするジャーナリストの父(NPO「ボン・プール・クリマ」のジャン=リュック・フェサール事務局長)の影響で、以前からオーガニックに関心がありました。オーガニックが普通の人の手の届くものになってほしい」と、オーガニックにかける情熱を語った。
「魚はサケを使っているが、より環境負荷が少ないシロイトダラに替えていきたい」とも言う。「知らなかった食材を食べてみて、レシピを教えてほしいという客もいます」とシャイニュン店長は説明する。レシピはシェフが教えている。
ビジネス街にあるので来店はビジネス・パーソンが多いが、地元住民も増えてきた。平均客単価は12.5ユーロ(約1540円)。「2軒目ですが、ここがアンテナショップの役割を果たしています」と店長。この店がビオセボンの新設店舗に併設されることが多くなるだろう。
関連記事:仏NPO、料理のCO2排出量計算ソフトを開発
http://www.sustainablebrands.jp/news/os/detail/1188603_1531.html
羽生 のり子(はにゅう・のりこ)
環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。