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  • 公開日:2016.11.30
  • 最終更新日: 2025.03.21
規格外野菜を使用したレストラン、銀座にオープン
    • 松島 香織

    規格外とされ廃棄される野菜で作ったカレー。規格外の野菜は、流通される野菜と比べて味のバランスが良いという科学的なデータもある

    「ソトコト」を発行する木楽舎(小黒一三社長)と、APECなどの国際会議の装花を手掛ける華道家の前野博紀氏は、11月30日、フードロスを考える「Thank FOOD プロジェクト」を発足した。12月1日から期間限定で、規格外で廃棄される野菜を使った料理を提供するレストランをオープンする。曲がったキュウリや、二股に分かれた大根などをアートとして楽しみながら食事し、多くの人に規格の概念を改めて考えてもらうきっかけをつくる。

    国連食糧農業機関(FAO)の資料(注1)によると、「人の消費のために生産された食料のざっと3分の1が世界中で失われ、捨てられており、その量は1年当たり約13億トンになる」とある。農林水産省は、日本では年間約1,700万トンの食品廃棄物が排出され、このうち本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」は、年間約500~800万トン含まれると推計している(注2)。

    器に野菜を盛り付ける前野博紀氏。「工作の感覚で、子どもたちにフードロスを考えてもらうアプローチになるのではないか」

    木楽舎は銀座一丁目にあるバー&レストラン「赤道倶楽部」を運営しており、「食品廃棄に対し、問題意識があった」と、同社広報部・企画制作部の井出純子部長は話した。規格外の野菜は、マルシェなどで知り合った東京近郊の農家から仕入れているという。来年はECサイトで販売できるよう準備中だ。

    個性的な形をした野菜を、生け花のようなアート作品に仕上げた前野博紀氏は、曲がっている野菜に「光に向かって曲がっていくエネルギーや意志を感じる。形の良い野菜より『命』を感じる」と語った。また食料問題に言及し、「食料生産確保の問題がある一方、飢餓が起きている国がある、という矛盾がある。これを機会に多くの人にフードロスを意識してほしい」と力を込めた。

    レストランは12月1日から9日までの平日に赤道倶楽部でオープンする。ランチは持ち帰りできるメニューがある。

    (注1)2011年発行「世界の食料ロスと食料廃棄 その規模、原因および防止策」
    (注2)食品ロス削減に向けて~「もったいない」を取り戻そう!~ 平成25年9月農林水産省

    written by

    松島 香織(まつしま・かおり)

    サステナブルブランド・ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして参画。その後2022年12月から2025年3月まで、デスク(記者、編集)を務める。

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