• 山岡 仁美
  • コラム
  • 公開日:2016.11.30
  • 最終更新日: 2025.03.02
第6回:ダイバーシティは創意工夫で推進を

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    2015年秋、アベノミクスの新たな三本の矢が放たれました。それは言わずと知れた、(1)希望を生み出す強い経済、(2)夢を紡ぐ子育て支援、(3)安心につながる社会保障の3項目。それぞれGDP600兆円、出生率1.8人や介護離職ゼロ、と目安となる数値目標も掲げています。この「三本の矢」はダイバーシティ推進と大きな関わりがあります。

    三本の矢については、賛否両論様々な意見があることでしょう。その中身や細かい点を観ると、疑心難儀になることも然りです。しかし、「1億総活躍社会」というキーワードも含め、アベノミクスは、ダイバーシティと大変密接しているということが言えます。

    そもそも、日本社会は、超少子高齢化を迎え、それに伴う労働人口の減少という、国家でも経験の無い状況に直面しています。労働人口が減少するということは、より人的生産性をあげる必要があります。ひとりひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織のバックアップはもちろんです。

    これに加え、家事に専念している女性をビジネスパーソンとして活用する・定年退職者を再雇用することや、障害者や外国人の能力及び労働力を活かすこと、短時間勤務者にも権限を与える、など多様な人財を活かす施策を講じるのは早急に取り組むべき課題といえます。つまり、ダイバーシティ推進は国家にとっても極めて重要な責務になります。

    となると、職務遂行に特段制限のない人財を対象にしている場合ではありません。育児中や介護中、障がい、年齢、キャリアなどの違いを活かすことが必然です。

    旧三本の矢のひとつ女性活躍推進や若者の雇用開発支援、新三本の矢のひとつ介護離職ゼロ、などは、育児中の女性、非正規社員やニート、フリーター、家族に要介護者がいる人たちのような、それぞれ制限のある人財を活かすことに光を当ててきました。しかしながらその道はまだまだ険しい状況です。

    そのような中、私たちは、国の施策や制度をあてにしすぎない、依存しすぎないことも必要です。育児休暇や介護休暇が普及しても、実業務の生産性が下がるなど、当人はじめ関係者の能力を発揮する機会が奪われては意味がありません。

    ある銀行では、フルタイムの正社員から時間制限のあるパートナー社員への転換が本人の申請ひとつで適い、しかも正社員もパートナー社員も同等級として組み込まれているため、昇進や昇格にハンディキャップがないという工夫を設けています。

    弊社のクライアント事例では、育休・介休取得者や時短勤務者が、同僚などフルタイム正社員にタスクの委譲・委任をした際に、ポイントを寄与しています。しかも、委譲・委任された側にも、同時にポイントが寄与されます。そのポイントは、人事評価制度と連動しているものです。つまり物理的な制限の垣根を越えて、職務遂行を図る行為を会社として評価するという仕組みを設けているということです。

    創意工夫あってこそ、多様性が活かせる=ダイバーシティ推進なのです

    written by

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    グロウス・カンパニー+ 代表取締役

    航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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