![]() |
全国に先駆けて東京都が制定した「東京都女性活躍推進白書」には、ダイバーシティ推進のヒントが多く盛り込まれています。白書のなかでは、具体例のほか、変化をもたらすための方向性も示しており、従来の大企業では難しい、中小企業ならではのスキームを推進しています。女性の働き方にスポットを当てた白書ではありますが、好例の根幹には生き方や働き方の多様性に適応しているのが特徴です。
経営戦略として、ダイバーシティ推進に取り組む企業が増加する中、2016年2月、全国に先駆け「東京都女性活躍推進白書」が策定され、舛添前都知事が会見で公表していました。
ダイバーシティ推進=女性活躍推進ではないと常々提唱している当方です。が、女性の活用は、私たち日本におけるダイバーシティの試金石であり一翼を担うものとして、注視しています。
白書の中には、現状や女性ならではの生き方、ライフイベントなどの特質も記載されていますが、注目したいのは「第2部多様な女性が活躍する現在と未来の姿」と「第3部東京に変革をもたらすための取組の方向性」 です。
「第2部多様な女性が活躍する現在と未来の姿」では、エピソードとして、個人がどのようにキャリアアップや自身の能力開発を図るのか、合わせて、企業が導入・実施している施策や制度、仕掛けなどが具体的に紹介されていました。個人にとっても企業にとっても、また他の地方自治体にとっても大変参考になることでしょう。
「第3部東京に変革をもたらすための取組の方向性」では、東京に集積する中小企業を応援・働く女性や起業を支援・若者のキャリア教育を推進と、3つの方向性を示しています。それらの具現化のために、男性をどのように巻き込むか、働き方をどのように変革していくかなど、具体的な施策やサポートについては、曖昧で非現実的な面も見受けられますが、変革を目指していることはうかがえます。
白書の策定公表前には、「東京都女性活躍推進大賞」の授賞式もありました(白書の内容とは無関係です)。それは決して、大手企業が対象ではありません。個人や中小企業、学校法人、社会福祉法人など、効果的影響力を発揮された取り組みが授与されたものです。
組織に属さずとも、起業という形で活躍できるファームづくりをするNPO法人、女性役員が半数を占め生産性を高めた中小企業、理系大でありながら多くの女子学生を社会に輩出できるスキームなど、むしろ従来の大手企業では難しい取り組みを推進しているものばかりです。
東京都の「女性活躍推進白書」「女性活躍推進大賞」は、たまたま、女性の活用に着目してのアウトプットのひとつですが、その中身の好例に触れると、根幹には、生き方や働き方の多様に適用していることが共通しています。
企業が大きくなればなるほど、経営戦略として取り組むダイバーシティ推進の速度が、個人や働く側の変革の速度に追いついていけなくなるのは、もはや時間の問題でしょう。
旧式の組織や経営では、優秀な人材は雇用も活用もできない、となれば、事業運営がうまく運ばれるわけはありません。つまり、企業の発展も社会的信頼も成さなくなることは、既に十分認知されているはずです。あらためて、今まさに生き方や働き方の多様に適用していく変革が急務です。

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)
グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。